著者
加藤 伸子 奥野 智江 狩野 均 西原 清一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1104-1112, 2000-04-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では仮想都市生成の第1段階である道路網生成をL-systemで行う手法を提案する.ここ?linebreakでは実際の道路網が自己相似性を持つことから,自己相似図形の表現に適したL-systemを用いて道路網を生成する.すなわち,道路網の交差点の形状をL-systemの書き換え規則で表現し,確率L-systemを適用する.この際,その特徴の違いから,幹線道路網では枝分かれ型L-systemを,区画道路網では領域分割型L-systemを用いる.ここでは,道路網の生成手法と実際に道路網を生成した例について述べ,自動的に多様な道路網が生成できること,幹線道路網,区画道路網の2つの生成手法により,自然発生的で不規則なパターンの道路網と計画的で規則的なパターンの道路網が各々生成できることを示す.This paper proposes a novel method that enables automatic modeling of road networks that provides the basic structure of the virtual cities. We show a set of rewriting rules of an L-system works very well to produce realistic road networks including road shapes, block shapes, and graphical topology. The road networks are composed of two types of roads -- arterial roads which are generated by using the Tree L-system and access roads which are generated by using the Map L-system. The fundamental structure of real road networks and generation procedures for road networks are described. Examples of road networks verify following: various type of road networks can be generated, and both of the irregular pattern and regular pattern of the road networks are generated successfully by using Tree L-system and Map L-system respectively.
著者
矢原 弘樹 高橋 瑛逸 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.44-52, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

近年,3次元計測技術の発展に伴って,3次元身体モデルを利用した身体に適合する製品設計が注目されてきている.しかし,3次元スキャナ等で計測された身体の表面形状データは座標系が定められていない.そこで,従来は座標系を定めるために必要な身体の部位に,3次元スキャナで計測可能なマーカーを専門家があらかじめ貼る事で解決していた.しかし,マーカーを貼ることは手間や顧客への心理的負担がかかるという問題があった.本稿では,足部モデルの座標系を定義するのに必要な身体の部位MT(脛側中足点)とMF(腓側中足点)の位置を,すでにそれらの位置が定められているサンプルモデルセットをあらかじめ用意しておき,それらの統計的な情報を基にマーカーの位置情報無しの表面形状データのみの足部モデルのマーカーの位置を推定することで,座標系を設定する手法を提案する.そして,FFD法を用いた身体モデル生成法を用いることで,推定されたMT,MFの位置推定の精度向上を試みる.
著者
水野 一徳 山田 雅一 福井 幸男 西原 清一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.23-32, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

近年の計算機性能の向上に伴い, 道路交通における様々な現象を再現しようとする試みが盛んに行なわれている. 本論文では, マルチエージェントを用いて道路交通問題をモデル化し, 交通流を微視的にシミュレートする方法について述べる. 本モデルは, 道路交通を構成する要素 (車両, 交差点, 道路, 信号) をエージェントとして表現しこれらの相互作用によって交通流を再現するものである. 本論文では特に, 実際の交通流を動的かつ直接的に形成する車両エージェントについて詳しく述べる. 車両エージェントは, 行動決定, 個性という2つの知識ベースを持ち, これらに基づいて各単位時間の行動を決定する. また, 決定された行動の候補は, 3つの単位運転操作 (アクセル, ブレーキ, ハンドル) の繰り返し組み合わせることにより達成される. 交通流を3次元的に可視化してシミュレートすることにより, 車両エージェントの相互作用によって渋滞等の現象が発生していることを示す.
著者
矢原 弘樹 水野 一徳 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.168-175, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

本稿では3次元スキャナ等で計測された身体形状データから,製品設計に用いるための解剖学的特徴点情報を持った身体モデルを自動生成する手法について述べる.解剖学的特徴点は3Dスキャナによって得られた身体の表面形状から自動抽出することは非常に困難である.我々は以前の報告で,FFD法を用いて解剖学的特徴点のテンプレートを推定対象の形状に変形させることで,解剖学的特徴点位置を自動推定する手法を提案した.しかし,この手法で推定された解剖学的特徴点は,まだ実用的な精度で推定できていなかった.そこで,この手法における誤差の要因を分析し,その対策をすることで誤差を減少させることを試みた.足部モデルの中でも特に表面形状に解剖学的特徴が現れにくく,自動推定が難しいくるぶしの解剖学的特徴点の推定に注目する.
著者
西森 雄一 狩野 均 西原 清一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1094-1102, 1997-06-15
被引用文献数
4 1

時間割編成問題は,制約条件を満たすように,科目を時間帯に割り当てる探索問題である.従来のシステムでは,カリキュラムが単純な高校の時間割編成が対象であったが,本論文では,より複雑な大学の時間割を制約充足パラダイムにより編成する方法を提案する.大学の時間割編成問題は,課せられる制約条件が多種多様であり,また探索空間が膨大である,という問題点がある.そこで本論文では,制約を,個別に科目への制約,2科目間の関係に関する制約,時間割表全体の整合性に関する制約に分類整理することにより,前者の問題点を解決する.また,後者に対しては,制約に違反点数を与え,その違反点数の最小化を規範とする山登り法を導入し,さらに対話によってユーザと協調して探索を進めることにした.本システムは,編成の基になる時間割を作成する初期割当作成と,その時間割から不具合のある割当を反復改善する割当改善の2段階より成る.本システムを筆者らの大学の実際の時間割編成に適用した結果,人手による編成では数時間かかるところを,数十分で編成ができることを確認した.Timetabling is a search problem to assign the subjects to the time-slots so that various constraints are satisfied.Conventional timetabling systems are applicable to comparatively simple problems such as high school timetabling.In this paper,we propose a method for scheduling univerisity timetables,which have two major problems:first,it is hard to represent concretely all various kinds of constraints,and,second,the search space is extremely large.To resolve the first problem,we classify all the constraints into three groups:the constraints claimed per each subject,the binary constraints to be satisfied between two subjects,and the constraints concerning the total consistency of the timetables for the second problem,we introduce penalty per constraint to make the min-conflicts hill-climbing strategy try to minimize the total penalty.Further,our system interacts with the user to exchange suggestions each other.Timetabling is performed in two steps:generation of an initial assignment and iterative improvement of the total penalty to optimize the timetable.Applying our interactive method,we actually constructed timetables for our university,where the planning time is considerably reduced.
著者
川田 亜矢子 狩野 均 西原 清一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.347-348, 1994-03-07

近年、2値画像から図形の幾何情報を抽出する技術が様々な分野で望まれている。例として、紙上図面からのCADデータ生成などがある。幾何情報を得るための前処理として2値画像から線画を抽出する細線化が多く利用されている。これにはHilditchによるものなどいくつかの技法が開発されている。しかし、通常の技法では画素間の連結性を保つのみで図形の形状が考慮されていないため、認識上重要である分岐・屈折などの特徴点付近で歪んでしまうという問題がある。つまり、細線化結果が、元の図形とは異なる幾何情報を与えてしまうのである。これを解決するものに張らの研究があるが、45度の倍数方向のマスクパターンを用いた技法であるため、一般の図面に利用するには不十分といえる。本稿では図形の直線形状に注目し、歪みを除去する細線化の新しい技法を提案する。これは、歪みのない直線部分を特徴点まで延長し、その線上の画素は削除しないというものである。本稿では以下、次節で延長のために必要な直線の表現方法である勾配数列と、直線延長による細線化技法を提案する。3節で細線化アルゴリズム、4節で実験結果を示し、最後に今後の課題を述べる。