著者
中辻 憲夫 長濱 嘉孝 勝木 元也 西宗 義武 山村 研一 角田 幸雄 帯刀 益夫 本庶 佑
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

当研究領域においては、研究項目A01「生殖細胞系列の制御機構と発生工学」を設定し、計画研究課題7件によって研究を進め、領域代表者中辻憲夫と計画研究代表者西宗義武に外部から7名を加えた総括班を設置し、研究者間の協力と交流を推進した。平成12年11月には公開シンポジウムと班会議を開催した。平成13年11月には国外から主要な研究者7名を招聰して、生殖系列・クローン動物・エピジェネティックス・再プログラム化をテーマとする国際シンポジウム"を開催した。平成14年度には、班会議と公開シンポジウム「生殖細胞の発生プロセス・再プログラム化とエピジェネティクス」を開催した。松居靖久(大阪府母子センタ)「生殖細胞の発生運命の制御機構」、阿部訓也(理研)「哺乳類全能性細胞・生殖細胞における遺伝子発現の研究」、仲野徹(阪大)「始原生殖細胞成立のシグナル」、野瀬俊明(三菱生命研)「培養系における生殖細胞分化」、中馬新一郎・中辻憲夫(京大)「雌雄生殖細胞の分化プログラム」、尾畑やよい(群馬大)「in vitroにおける卵子分化プログラムの再生」、蓬田健太郎(阪大)「生殖幹細胞の維持と分化の制御機構」、篠原隆司(京大)「凍結精巣バンクの開発」、岡部勝(阪大)「生殖細胞における性の決定」、角田幸雄(近畿大)「化学的染色体除去法を用いた体細胞クローン動物の作出」、若山照彦(理研)「クローンマウスにおける核移植技術の問題点と応用」、小倉淳郎(理研)「体細胞クローンマウスの正常と異常-表現型を中心として」、石野史敏(東工大)「体細胞・生殖細胞クローンにおける遺伝子発現」、塩田邦郎(東大)「DNAメチル化コード:個体発生・細胞分化のエピジェネティックス」、岡野正樹(理研)「DNAメチル化パターン制御機構と再プログラム化における役割」、佐々木裕之(遺伝研)「生殖系列における一次インプリントとメチル化の獲得機構」
著者
田中 宏光 西宗 義武 奥山 明彦 辻村 晃 宮川 康 田中 宏光
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

実験動物(マウス)における精子細胞特異的遺伝子の解析からヒト男性不妊症の診断・治療法の開発を進めるため、以下の二点に焦点を絞って研究を進めてきた。1. 現在までに我々が単離したマウス精子細胞特異的遺伝子についての詳細な構造・コードする蛋白質の機能・特異的発現機構をさらに多くの新たな遺伝子について解析し、精子形成過程における役割を明らかにする。さらに、それらのヒト相同遺伝子をすべてクローニングし、その機能解析を進める。2. 精子形成機構の分子生物学的研究を通じて、ヒト男性不妊症の原因を究明する。基礎研究の成果を応用し、遺伝子変化と男性不妊症との関係を明らかにし、最新の遺伝子解析(マイクロアレー法)、蛋白質解析技術(プロテオミクス法)を用い、その診断法及び治療法の確立に役立てる。平成19年度我々は、1.マウス遺伝子の解析結果から、男性不妊症に関係することが考えられる精子細胞特異的解糖系遺伝子のヒトオーソログをクローニングし、ORF内のポルモルフィズムの解析を進めた。ヒト精液を用い、男性不妊症で有意に変化を示す蛋白質とmRNAの解析を進めた。その結果、男性不妊症特異的に変化をする蛋白質の存在を確認した。また、ヒト精液から得られたmRNAを抽出し、ヒト精子形成関連遺伝子を乗せたマイクロアレーを用いて遺伝子発現を調べる系を確立した。確立した系を用いて個体差や生活条件に影響なく妊孕性の確認された男性に安定的に発現が確認される遺伝子群を同定した。今後これら遺伝子と遺伝子産物に注目し不妊症男性不妊症特異的マーカーを確立したい。