著者
西尾 知己
出版者
関東学院大学人文科学研究所
雑誌
関東学院大学人文科学研究所報 = Transactions of the Institute of Humanities (ISSN:03867919)
巻号頁・発行日
no.44, pp.21-42, 2020

近年、日本中世後期の寺社強訴に関する研究では、通説的な強訴の認識に再検討を迫る重要な見解が提示されている。しかし、強訴の研究では各時代の政治史における位置づけを明確にしようとする傾向が強く、時系列的な変遷に焦点を当てるような視点が形成されにくい。そのため、中世後期の強訴論で示された見解が中世前期を盛期とする通説的見解と切り結ぶことなく並存している点に問題を残す。そこで本稿では、中世を通じた強訴事例の分布を示したうえで、中世後期の強訴に関する近年の成果を整理し、これまでの通説的な見解を再検証するとともに、中世後期強訴論が直面する課題を明確にしようとした。その結果、〔1〕通説的見解では院政期をピークとするが、鎌倉後期から南北朝期こそが強訴が最も多様性を備えた最盛期とみなすことができること、〔2〕通説で中世後期の強訴終焉の原因として強調された武家政権の武威による圧倒という点が、必ずしも直接的な原因とは言えないこと、を指摘した。このほか中世後期の強訴をめぐる課題を5点提示した。
著者
西尾 知己
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:甲3080号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2010/2/24 ; 早大学位記番号:新5340
著者
三松 謙司 大井田 尚継 西尾 知 堀井 有尚 野中 倫明 越永 従道 宗像 敬明 富田 涼一 天野 定雄 福澤 正洋
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1023-1028, 1998
被引用文献数
13 14

目的 : 1971年1月から1996年12月までの25年間に経験した小児腸重積症713例について年齢, 性差, 症状, 診断, 治療方法, そして重積型式, 重積原因疾患, 再発に関して臨床的に検討した.結果 : 年齢は平均15.2カ月で男児に多く, 症状では, 腹痛, 嘔吐, 血便の三主徴が半数に認められた.非観血的整復率は平均61.0%であったが, 発症から12時間以内では平均83.7%と高く, 早期診断, 早期治療が重要であると思われた.観血的整復術施行例において, Hutchinson法のみ施行した症例が71.2%, 腸管切除例は11.5%であった.重積型式は, 回腸結腸型, 回腸回腸結腸型が多く, また重積原因として器質性疾患によるものは2.4%と少なく, 器質性疾患のうちではMeckel憩室が10例と最も多かった.結論 : 再発率は観血的整復後の4.0%に比べ, 非観血的整復後は10.0%であった.このことは, 高圧浣腸による不完全整復と器質性疾患が関与している可能性が考えられた.