著者
西山 伸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

より高い変換効率を持つセラミックス焼結体を作製することを目的としてCuOを添加したAgSbO_3をはじめとするナノ粒子の金属を分散させた半導体焼結体について調べた。まず、AgSbO_3系が高い熱電変換特性を示す理由を解明すべく、焼結体中の銀の粒径や分布の状態を調べるため、焼結時間の異なる試料を作製し、熱電特性とその中の銀の微粒子の関係について調べ、作製方法に関して、(a)か焼条件の影響と、(b)原料粉末作製法の影響について検討した。また、CuO以外に、ZnO, CoO, Fe_2O_3, PdO, WO_3を添加した系についても評価した。また、金属ナノ微粒子を半導体に分散させた系として、LaCoO_3中へのCa_3Co_4O_9についても実験を行った。以上の結果、次のような知見を得た。(1)AgSbO_3焼粘体作成の際の合成条件やか焼条件の検討より、この系の熱電変換効率が微細に析出している銀粒子のサイズや分布状態に影響を受けることを見出した。(2)AgSbO_3にZnO, CoO, Fe_2O_3あるいはPdOを添加すると電気伝導度が向上しゼーベック係数の絶対値が減少することを見出し、これらの酸化物の添加によりキャリアが増加したことを示した。(3)La_2NiO_4にFe_2O_3を添加することで、LaNiO_3を析出させることは成功したが、キャリア濃度が低下し、性能の向上を得られることは難しかった。(4)AgSbO_3の状態密度計算により、伝導を担っている軌道はアンチモンの5s軌道であり、この軌道の改良が、高い熱電変換効率をもたらすと考えられる。
著者
西山 伸宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.5, pp.443-447, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
5

This paper introduces the research of nanomachines utilizing boron chemistry. Boron neutron capture therapy (BNCT) has beeing attracting increasing attention as a minimally invasive cancer treatment, and p-boronophenylalanine (BPA) has been approved as a potent BNCT drug. However, intratumoral retention of BPA remains to be improved. Recently, we have developed a BPA delivery system [poly vinyl alcohol (PVA)–BPA] utilizing PVA. PVA–BPA altered the uptake pathway of BPA by cancer cells and significantly improved the intracellular retention in cancer cells. in the in vivo experiments, PVA–BPA showed improved tumor accumulation and a remarkable tumor growth inhibition upon thermal neutron irradiation. On the other hand, a useful delivery system of bioactive proteins has been strongly demanded. In this study, we have developed the ternary complex micelles for the protein delivery utilizing tannic acid (TA) and block copolymer containing a boronic acid group. The ternary micelles improved the blood retention and tumor accumulation of the loaded proteins, and realized a tumor tissue-selective enzymatic reaction in the enzyme delivery.
著者
雨宮 智宏 各務 響 岡田 祥 西山 伸彦 胡 暁
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.9, pp.244-262, 2022-09-01

トポロジカルフォトニクスとは,光工学(フォトニクス)の分野に数学の位相幾何学(トポロジー)の概念を持ち込んだものであり,これにより,円偏光(光のスピン)や光渦(光の軌道角運動量)などの光のトポロジーに起因した情報を体系的に扱うことができるようになる.本論文では,トポロジカルフォトニクスの理論的枠組みに触れつつ,その実証に向けた分析技術・作製技術,及び光回路への応用について言及する.