- 著者
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雨宮 智宏
荒井 滋久
- 出版者
- 公益社団法人 応用物理学会
- 雑誌
- 応用物理 (ISSN:03698009)
- 巻号頁・発行日
- vol.85, no.6, pp.501-506, 2016-06-10 (Released:2019-09-26)
- 参考文献数
- 24
光学迷彩を実現するにあたっては,立体的な構造をもつ3次元メタマテリアルを作ることが必須となる.このような3次元メタマテリアルを簡易に作り上げる手法として,我々は「メタマテリアルを内包した有機薄膜フィルム(Metafilm)」を開発した.Metafilmの特長は,膜厚1µm以下の有機薄膜内にメタマテリアルを実装することで,所望の光学特性(誘電率・透磁率)をもったフィルムを実現できる点にある.本フィルムを重ね合わせることで,光学迷彩に必要な光学特性の3次元分布を,容易に作り出すことが可能となる.また,本稿の後半では,従来型の光学迷彩の枠組みを超える「非対称性」をもった迷彩を作り上げるための理論を述べる.本理論は,「空間の歪(ゆが)み」の代わりに「電磁場下における電子の動き」を介して光の軌道を考えることで,さまざまなタイプの非対称光学迷彩を汎用的に構成可能とする.