著者
飯田 利博 森 弥生 西山 千秋
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.76-79, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6

症例は26歳, 男。水族館職員。右第5指基節背面に淡紅色結節 (16×14mm) が単発した。病理組織学的に真皮浅層に肉芽腫性細胞浸潤をみとめ, 病巣よりM.marcnumを分離した。オフロキサシン内服と温熱療法にて治癒し, 治療中止12カ月後も再発を見ない。感染源の検索のため水族館施設を調査したところ, 主に濾過水槽内の濾過砂から同菌を分離した。感染予防に綿製手袋の使用と, 作業後5分間の手, 前腕の温浴 (42℃-45℃) が有効と考えた。
著者
清 佳浩 滝内 石夫 渡辺 晋一 本田 光芳 伊東 文行 西川 武二 小川 秀興 原田 敬之 西山 千秋 加藤 卓朗
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-97, 1997-02-28 (Released:2009-12-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

フケ症を対象に,0.75%硝酸ミコナゾールシャンプー(MZS)の有用性を,シャンプー基剤(BSS)を対照として8施設による二重盲検比較試験により検討を行った.また,フケおよびかゆみに対する症状の改善とMalassezia furfurの菌数の減少,すなわち真菌学的効果との関係についても併せて検討した.その結果,総症例数134例中,安全性解析対象症例は130例,有効性および有用性解析対象症例は108例であった.有用率はMZS群58例中34例(58.6%),BSS群50例中19例(38.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.020).フケの改善率では,MZS群58例中42例(72.4%),BSS群50例中26例(52.0%)であり,MZS群がBSS群に比し有意に優れる成績であった(p=0.017).M.furfurに対する真菌学的効果とフケに対する有効性に関して,効果の発現がみられた症例においては,菌数の有意な減少が認められた(p=0.0001).これに対し,無効の症例では試験開始前と終了後の菌数の変化に有意差を認めなかった.また,試験開始時の菌数による有効性の層別解析では,菌数が比較的多い症例において,MZS群がBSS群に比し有意に優れていた(p=0.038).副作用は130例全例において全く認められなかった.以上より,MZSはフケ症に対して有効であり,フケの改善とM.furfur菌数の減少とも比較的一致する極めて有用なシャンプー剤であると考えられた.