著者
松田 咲子 西田 顕郎 大手 信人 小杉 緑子 谷 誠 青木 正敏 永吉 信二郎 サマキー ブーニャワット 戸田 求
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.44-56, 2000
被引用文献数
2

タイの熱帯モンスーン地域において,NOAA/AVHRRデータを用い,植生地域を対象として正規化植生指標NDVIと輝度温度Tsの関係と地表面状態との対応について検討した.その結果, NDVI-Ts関係は地表面状態の乾雨季の変化に対応して明瞭な季節変化を見せた.また対象地域においてNOAA/AVHRRの各ピクセルは,植生面,湿潤土壌面,乾燥土壌面といった特徴的な地表面の混合ピクセルとして扱えることが示唆された.この混合ピクセル的解釈に基づきNDVI-Ts関係を地表面の熱収支的観点から表現するモデルを提示した.本モデルによる定量的な解析からは, NDVI-Ts関係には土壌水分条件が反映することが示唆された.またこの混合ピクセル的解釈に基づくフラックス観測データの広域的拡張の一例として,広域潜熱フラックス推定マップを試作した.そしてこの方法を用いて観測データを拡張する際には,密な植生面上と裸地面上といった,いくつかの極端に異なる地表面上で観測する必要があることが示唆された.
著者
西田 顕郎 小橋 澄治 水山 高久
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.9-16, 1997-03-15 (Released:2010-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
5

Landslides during an earthquake often occur at peculiar topography, that is, steep and convex slopes. We examined these features by two parameters using digital terrain models of actual mountain slopes which had suffered from earthquake-induced landslides. These parameters, one is slope gradient and the other is mean curvature, worked well distinguishing those landslide slopes among all slopes. Especially when these parameters were derived on particular node distances, they had significant effects. These special node distances should reflect dominant scales of principal mechanisms or factors of initiation of the landslides. The dominant scales were lOm for gradient and 50m for curvature. Using these results, we developed an evaluation method concerning the susceptibility of slopes to earthquake landslides.
著者
恒川 篤史 鈴木 雅一 森田 茂紀 飯山 賢治 篠田 雅人 西田 顕郎
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、多様な生態系を対象としてさまざまなタイプの数値シミュレーションモデルを適用し、その生態系で生じている現象の理解を深め、新たな現象を解明すると同時に、モデル自体についてもさまざまな改良や開発を続けてきた。主要な研究対象と成果は以下の通りである。1.日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林において、Komatsu et al.(2006)によって開発された生態系プロセスモデルを用いて、斜面部による蒸散開始時刻の違いがどのような要因によって生じるかを解明した。2.米国モンタナ大学で開発されたBiome-BGCを日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林袋山沢に適用した結果、幹材積炭素含有量の、植栽から現在までのモデルによる計算値の推移は、千葉演習林のスギの収穫表と袋山沢での観測値をほぼ再現した。3.Centuryモデルを富士山における一次遷移のデータに適用し、その適用性を検討した。いくつかのパラメータを変更する必要があったが、パラメータを変更することでCenturyモデルは富士山における一次遷移のデータを良好に再現することができた。4.Biome-BGCモデルをモンゴル中央県のバヤンウンジュールの典型草原に適用した。さまざまなチューニングにより実測値の正確な予測が可能となった。このモデルを用いて干ばつに対する植生影響のシミュレーションを試みた。5.広域スケールの生態系プロセスモデルとして、光合成有効放射吸収率(FPAR)、葉面積指数(LAI)、4種類の気候データ(純放射、日最低気温、日平均気温、飽差)および土地被覆図を用いた生産効率モデルを用いて、1982年から1999年までの全球陸域NPPを推定した。