著者
志村 英二 杉谷 巌 戸田 和寿 井下 尚子 佐藤 由紀子 元井 紀子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.152-155, 2013 (Released:2013-08-30)
参考文献数
14

症例は36歳女性,健康診断にて前頸部腫瘤を指摘され,甲状腺腫瘍疑いにて当科を紹介受診した。頸部超音波検査にて甲状腺左葉下極に27×22×18mm大の辺縁分葉状の低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診では,細胞質内に多数の好酸性顆粒を認めた。甲状腺腫瘍あるいは甲状腺外迷入病変を考え,甲状腺左葉切除術を施行した。病理学的所見では,腫瘍は甲状腺外軟部組織を中心に存在し,甲状腺組織にも浸潤性に増殖していた。腫瘍細胞は好酸性,顆粒状の豊かな細胞質を持つ類円形細胞よりなり,核異型は認めなかった。免疫染色の結果,腫瘍細胞はS100陽性であった。以上より,顆粒細胞腫と診断した。顆粒細胞腫の大部分は良性腫瘍と考えられているが,稀に遠隔転移や悪性症例の報告もされており,経過観察に注意を要する。
著者
大山 廉平 丸谷 巌 富田 濤児 三浦 琢磨 吉成 道夫
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.702-708, 1980

近年, 内視鏡的膵・胆管造影は胆道精査法として著しく発達したが, 小児に対しては, その特殊性から, 消極的にならざるを得ず, わずか数例の成功例をみるのみである.<br>我々は, 小児(6才, 7才)の2症例に対して, ERCPを行い, 良好な結果を得たが, その検討の結果, 小児ERCP用フアイバースコープの改良開発が望まれるが, 現在汎用されているオリンパスJF-B3でも, 小児に対して可能であることがわかつた.<br>その適応として年令6才, 体重20kg及び身長110cm以上であれば, ERCPは可能であると考える. 更に重要なことは, 麻酔の問題であり, 小児に対しては, 経鼻的気管内挿管による全身麻酔を行うことが必須である. これにより, フアイバースコープ操作が容易となり, 安全かつ有効な検査が可能である.<br>今後広く小児に対する日常検査としてのERCPの適応の拡大が期待される.
著者
壁谷 雅之 北野 睦三 齊藤 祐毅 古川 麻世 杉谷 巌
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.322-325, 2012 (Released:2013-05-01)
参考文献数
13

症例は,甲状腺乳頭癌の38歳,女性。甲状腺癌(T4aN0M1,stageⅡ)の診断で,34歳7カ月時点に甲状腺全摘,気管合併切除(気管輪1-5,端々吻合),中心領域郭清術が施行された。術後,多発肺転移に対し内照射療法を計4回施行しているが,肺転移巣は徐々に増多,増大した。38歳4カ月時点で軽い上気道炎を契機に呼吸苦が出現した。入院の上全身管理を行ったが呼吸不全のため永眠された。甲状腺乳頭癌は,非常に予後が良いことで知られ,特に若年で発症した場合は更に高い治癒率のため本疾患で亡くなることは稀有である。また,本疾患は腫瘍増殖速度が非常に緩徐である,疾患特異的治療として内照射療法が有効である,などの他の悪性腫瘍とは異なる特徴がある。これら本来治療する上で利点と言える特性は,がん終末期においては反対にその対策を困難にする。今回,生命予後が予測できず対応に苦慮した症例を経験したので報告した。
著者
杉谷 巌 藤本 吉秀
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.18-22, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
9

一般的に予後の良い甲状腺乳頭癌に対しては可及的に甲状腺を温存する手術を行って甲状腺機能を維持し,骨密度低下の懸念もあるTSH抑制療法は積極的には行わないという治療方針は,日本では主流であったが,欧米のガイドラインとは相反する。われわれの方針の妥当性を立証するためにTSH抑制療法の乳頭癌に対する再発抑制効果についてのランダム化比較試験を行った。患者登録開始から13年を要したが,無再発生存率においてTSH抑制療法非施行群の成績は,施行群に比較して10%以上劣っていないことが証明され,5%以上劣っていないことが示された。また,ランダム化試験に並行してTSH抑制の骨密度に及ぼす影響についての前向き比較試験を施行した。その結果,とくに閉経後女性ではTSH抑制による骨密度低下が顕著となる傾向があることが示された。これらの研究を通じて気づいた,高位のエビデンスを得るための研究を日本から世界に発信するうえで必要なことについて述べる。
著者
緒方 正名 長谷川 敬彦 高越 良明 竹久 亨 長尾 逸子 寺谷 巌 大隈 義文 人見 硬 長尾 寛 粟屋 研吾 高橋 武夫
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1supplement, pp.1-29, 1966-01-30 (Released:2009-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1

1) Data has been presented on the trend of Japanese B. Encephalitis from 1959 to 1965 in Okayama, Miyazaki, Kagawa, Tokushima, Kochi, Ehime, Hyogo and Aichi Prefectures, middle and western parts in Japan.2) The prevalence started from Miyazaki, most southern part in Japan, and progressed succesively to Kochi, Okayama, Tottori and Miyagi. The difference in date between Okayama and Miyazaki was 20 days, Okayama and Kochi was 10 days, Okayama and Tottori, adjacent to northern part in Okayama, was 2 days and also the difference in date between northern and southern part in Okayama was 7 days. We woulld like to call this phenomenon “Tendency towards northeast”.This tendency can be arranged in the order of its average atmospheric temperatures. However, there is no correlation between the date of incidence in each year and the temperature gradient.3) From 1950 to 1959, the incidence rate was higher in the southern district than in the northern district, and from 1960 to 1965 it became higher in the northern district than in the southern district of Okayama Prefecture.4) The incidence rate by age from 1960 to 1965 was higher in the old over 60 ages in northern district and in the child below 10 ages in the southern district of Okayama Prefectuve. A marked tendency to decrease the incidence rate in the child has been seen since 1959. This downward tendency would be caused by the J. B. E vaccination.5) There is some indication from the geographycal distribution that the prevalence spreaded from focus to other villages contiguously, except for the town.6) In past five years the district where the incidence rate exceeded over 10/100, 000 peoples three times or exceeded over 20 was shown by the following districts, Northern district in Okayama. PrefectureEastern and western district in Tottori. PrefectureNorthwest district in Hyogo. PrefectureEast and west parts in Kochi. PrefectureSouthern district in Miyagi. PrefectureIn general, the high incidence was observed in the plain near mountain or the basin but not in the town.7) There is a phenomenon that when the incidence rate was over 20 in the year, the incidence rate next year became low.