著者
谷井 司 加藤 順子 八代 典子 新藤 季佐 幸野 健 濱田 稔夫 山口 武津雄
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.155-163, 1991 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

乾燥性皮膚疾患に対するスクワランの有用性, 皮膚刺激性, 保湿性について検討した。貼布試験は73例全例陰性であった。使用試験では乾皮症, 手湿疹に有用で, 炎症を伴わないアトピー性皮膚炎にも有効であったが, 炎症を伴っている場合には慎重に使用することが望ましいと思われた。症状別では皮膚の乾燥に特に有効であった。この理由としては, 保湿能の検討より角層水分の貯留作用によるものと思われた。以上よりスクワランは, 適切に使用すれば安全性が高く, ベタつくという不快感がほとんどなく, 使用感も良好で, 乾燥性皮膚疾息の治療に有用と思われた。
著者
浅井 芳江 濱田 稔夫 鈴木 伸典 中野 和子 谷井 司 泉谷 一裕
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, 1983

背部正中部,鎖骨上部,肋骨部,前脛骨部,肘頭,膝蓋部などに褐色の色素沈着を生じた19歳から36歳の男2例,女11例,計13例について臨床的,病理組織学的に検討を行った. 臨床的には,比較的若いやせ型の女性に好発し,癈埠は無いかあっても軽度で,色素沈着は前記の骨の直上部皮膚に限局するものが多く,一部の症例では上背部,頚部に及んでおり,その性状はびまん性,表面平滑で角化傾向は示さない.病理組織学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数の melanophage を認めたが炎症性細胞浸潤は極く僅かであった.アミロイド染色では全例にアミロイドの沈着は認められなかった. このような症例の記載は成書にはみられないが,臨床的には特異であり,1つの entity と考えたい.原因はなお不詳であるがその一因として,当該部ではその直下に骨が存在し,皮下脂肪が少ないことも相まって,慢性刺激,摩擦,圧迫などの機械的刺激を受けやすいことが挙げられる.併せて皮膚アミロイドーシスの中,特に臨床像が類似する macular amyloidosis との関係について考察を加えた.
著者
幸野 健 石井 正光 濱田 稔夫 谷井 司
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.699-707, 1991 (Released:2010-08-25)
参考文献数
33

自律神経失調症を合併する皮膚科疾患患者12図に対して, 自律神経調整剤トフィンバム (グランダキシンR) の有効性を検討した。トフィンバムは1日150mgを2週間以上投与した。蕁麻疹では, 著効2例, 有効1例, 皮膚癌痒症では有効と無効各1例, 多汗症では, 著効2例, やや有効と無効が各1例, 円形脱毛症では, 著効とやや有効が各1例, ヘルペス後神経痛1例では, やや有効であった。すなわち, 12例中7例に有効以上 (58.3%), 10例にやや有効以上 (83.3%) の効果を認めた。皮膚科的症状に伴い, 種々の身体的・精神的症状も軽快が見られた。副作用は1例にのみ軽度の眠気が見られた。以上の如く, 症例を選べば, トフィソパムは皮膚科領域においても有用な薬剤と考えられた。
著者
石井 正光 幸野 健 北島 淳一 谷井 司 細井 洋子 庄司 昭伸 依藤 時子 浅井 芳江 濱田 稔夫
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.74-81, 1986 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

顔面に湿疹・皮膚炎を有する30症例に対して酪酸クロベタゾン (キンダベート®) 軟膏の外用を行ない, その臨床効果と副作用について検討した。外用期間は平均47.0日, 最長, 175日と比較的長期にわたり, 薬剤の総使用量は1.8gから100gであった。30例中2例はやや改善と評価されたがその他の全例にて改善以上の効果が認められ, 有効率は93%と高い値を示した。副作用は全症例において認められなかった。このため有用度も有用以上94%と高値を示した。以上の結果より, 本剤は, 顔面などのステロイド外用剤により比較的問題を生じやすい部位にも使いやすい薬剤であると考えられる。