- 著者
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浅井 芳江
濱田 稔夫
鈴木 伸典
中野 和子
谷井 司
泉谷 一裕
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.93, no.4, 1983
背部正中部,鎖骨上部,肋骨部,前脛骨部,肘頭,膝蓋部などに褐色の色素沈着を生じた19歳から36歳の男2例,女11例,計13例について臨床的,病理組織学的に検討を行った. 臨床的には,比較的若いやせ型の女性に好発し,癈埠は無いかあっても軽度で,色素沈着は前記の骨の直上部皮膚に限局するものが多く,一部の症例では上背部,頚部に及んでおり,その性状はびまん性,表面平滑で角化傾向は示さない.病理組織学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数の melanophage を認めたが炎症性細胞浸潤は極く僅かであった.アミロイド染色では全例にアミロイドの沈着は認められなかった. このような症例の記載は成書にはみられないが,臨床的には特異であり,1つの entity と考えたい.原因はなお不詳であるがその一因として,当該部ではその直下に骨が存在し,皮下脂肪が少ないことも相まって,慢性刺激,摩擦,圧迫などの機械的刺激を受けやすいことが挙げられる.併せて皮膚アミロイドーシスの中,特に臨床像が類似する macular amyloidosis との関係について考察を加えた.