2 0 0 0 OA 臍石について

著者
浜田 稔夫 鈴木 伸典 馬場 堯
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.112-118, 1975 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

臍石(Omphalith)の3例を報告し, 中2例は剥離摘出して組織学的検討を加えた。いずれも70 歳以上の女性で, 1~数年前に臍窩に黒褐色の疣状小結節のあるのに気付き, 放置していたところ, 漸次増大, 突出するようになった。皮膚面に固く附着するも, 剥離摘出したあとの臍窩皮膚はほぼ正常で, 剥離標本の露出部は黒褐色を呈し, 石のように硬いが, 非露出部では比較的柔らかく, 粥状で, 白色に近い。組織所見はH.E.染色でエオジンに瀰漫性に淡く染まるが, 核成分はみられない。臍窩の比較的深い者に清浄不良が重なって生じたもので, 皮脂, 角質などの蓄積によるものと考えられる。併せて鑑別診断などについても考察を加えた。
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。
著者
浅井 芳江 濱田 稔夫 鈴木 伸典 中野 和子 谷井 司 泉谷 一裕
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, 1983

背部正中部,鎖骨上部,肋骨部,前脛骨部,肘頭,膝蓋部などに褐色の色素沈着を生じた19歳から36歳の男2例,女11例,計13例について臨床的,病理組織学的に検討を行った. 臨床的には,比較的若いやせ型の女性に好発し,癈埠は無いかあっても軽度で,色素沈着は前記の骨の直上部皮膚に限局するものが多く,一部の症例では上背部,頚部に及んでおり,その性状はびまん性,表面平滑で角化傾向は示さない.病理組織学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数の melanophage を認めたが炎症性細胞浸潤は極く僅かであった.アミロイド染色では全例にアミロイドの沈着は認められなかった. このような症例の記載は成書にはみられないが,臨床的には特異であり,1つの entity と考えたい.原因はなお不詳であるがその一因として,当該部ではその直下に骨が存在し,皮下脂肪が少ないことも相まって,慢性刺激,摩擦,圧迫などの機械的刺激を受けやすいことが挙げられる.併せて皮膚アミロイドーシスの中,特に臨床像が類似する macular amyloidosis との関係について考察を加えた.