著者
中野 和子 光武 元子 二木 栄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-34, 1977-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

一般に, 炊飯の際には炊飯器容量の8割炊きがおいしいといわれているが, 真実そのように言えるものか否かを検討するため, 炊き上がり容量を釜の1/5, 2/5, 3/5, 4/5, 5/5の5段階にわけ, 容量別米飯の食味について官能検査および客観的測定を行った.[官能検査] 1) 炊飯器容量からみた食味では, 5%の危険率で容量間に有意差が認められ, 4/5容量 (8割) 炊きが最もおいしく, 5/5容量 (10割) 炊きが最もまずく, 1/5, 2/5, 3/5容量炊きは両者の間に位した.2) 1釜内の部位別食味では, 4/5, 5/5容量炊きのいずれにも1%の危険率で有意差がみられ, 釜肌上部が最もおいしく, 中心底部が最もまずいと認められた.[客観的測定]1.4/5容量炊きと5/5容量炊き米飯についてa) 仮の面積比では, 前者が1.9, 後者が2.0でほとんど差がみられなかった.b) 水分含量では, 前者が64.4%, 後者が63.6%でいずれも64%前後の値を示した.c) 脱水率の経時的変化では, 常に後者が高い値を示した.2. 4/5容量炊き, 5/5容量炊き米飯の釜肌上部と中心底部については, 両者共通してa) 組織の形態的比較では, 釜肌上部が中心底部に比べて細胞膜がやや明瞭にみられた.b) 炊飯中の温度上昇曲線では, 沸騰まで釜肌上部が直線的に上昇し, 中心底部は不安定な上昇曲線を描いた.
著者
池上 隆彦 東 禹彦 山本 哲雄 中野 和子 中尾 正敏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.141-146, 1973

昭和46年から47年にMicrosporum canisによる小水疱斑状白癬の3例とケルスス禿瘡の2例を経験した。この菌による小水疱斑状白癬の皮疹の特徴は小指頭大の小型の皮疹が多発し, それらが中心性治癒傾向に乏しいことであるが, 3例のうち1例はその大きさが鶏卵大に及んだ。ケルスス禿瘡は2例とも数個の浅在性頭部白癬を併発した。<BR>同菌による本邦白癬例280余例を数えるが, 関西地方では自験例を含めて最近数年間に19例に達している。自験5例の感染源はペルシャ猫のほか雑犬, 雑猫であったが, 高価な動物ばかりでなく, 雑犬, 雑猫, にも同症が拡っていることは, 今後, 関西地方での症例の増加を強く示唆するものと言える。
著者
浅井 芳江 濱田 稔夫 鈴木 伸典 中野 和子 谷井 司 泉谷 一裕
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, 1983

背部正中部,鎖骨上部,肋骨部,前脛骨部,肘頭,膝蓋部などに褐色の色素沈着を生じた19歳から36歳の男2例,女11例,計13例について臨床的,病理組織学的に検討を行った. 臨床的には,比較的若いやせ型の女性に好発し,癈埠は無いかあっても軽度で,色素沈着は前記の骨の直上部皮膚に限局するものが多く,一部の症例では上背部,頚部に及んでおり,その性状はびまん性,表面平滑で角化傾向は示さない.病理組織学的,組織化学的所見では,表皮基底層のメラニン顆粒の増加と真皮上層に多数の melanophage を認めたが炎症性細胞浸潤は極く僅かであった.アミロイド染色では全例にアミロイドの沈着は認められなかった. このような症例の記載は成書にはみられないが,臨床的には特異であり,1つの entity と考えたい.原因はなお不詳であるがその一因として,当該部ではその直下に骨が存在し,皮下脂肪が少ないことも相まって,慢性刺激,摩擦,圧迫などの機械的刺激を受けやすいことが挙げられる.併せて皮膚アミロイドーシスの中,特に臨床像が類似する macular amyloidosis との関係について考察を加えた.