著者
谷口 奈穂 桂 敏樹 星野 明子 臼井 香苗
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.91-105, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
36
被引用文献数
10 2

地域在住の高齢者のQOLを健康関連及び主観的QOLの両側面から評価し,その関連要因を前期高齢者と後期高齢者で比較した。2009年,京都府K市の老人クラブの929人に質問紙調査を実施し,596人を分析対象とした。調査項目は基本属性,健康状態,生活習慣,社会的交流,QOL (PCS,MCS,LSIK) で,多変量解析等を行なった。前期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感や外出頻度等,MCSでは性別や隣人と挨拶をする頻度,LSIKでは経済的なゆとりや睡眠時間であり,低下要因はPCSでは腰痛や隣人と手助けを依頼し合う頻度等,MCSではGDSや個人活動等,LSIKではGDSやしびれ等であった。後期高齢者において,QOLの上昇要因はPCSでは主観的健康感,MCSでは心疾患,LSIKでは経済的なゆとりであり,低下要因はPCSでは腰痛や心疾患,MCSではGDS,LSIKではGDSや腰痛等であった。高齢者のQOLを高める支援では,健康を高めること,抑うつ及び腰痛の予防的な対応や緩和を促す必要があると推察される。
著者
武輪 鈴子 谷口 奈穂 田中 幸代 中野 崇秀 蓮井 正史 金子 一成 野津 寛大
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.147-151, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2

腎性低尿酸血症は,human urate transporter1の異常により低尿酸血症をきたす疾患で,運動後急性腎不全の合併が多い。その発症機序について二つの仮説,すなわち「急性尿酸腎症説」および「活性酸素関与説」が提唱されているが,詳細は不明である。 本論文では,腎性低尿酸血症の患者において運動後急性腎不全の合併しやすい理由を過去の文献を参考に考察するとともに,筆者らが経験した腎性低尿酸血症患児において,運動負荷の上で酸化ストレス度と抗酸化力を測定した結果を紹介した。患児は対照成人と同様,運動負荷直後から酸化ストレス度の上昇を示したが,抗酸化力は対照成人と異なり,運動負荷後,急激に低下した。すなわち対照に比して運動負荷時の酸化ストレス増大に見合う抗酸化力を有していないことが示唆された。以上より,酸化ストレス急増時の抗酸化力の相対的不足が腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全発症に関与しているものと思われた。