著者
谷川 二郎
出版者
サイコアナリティカル英文学会
雑誌
サイコアナリティカル英文学論叢 (ISSN:03866009)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.18, pp.1-15, 1997

There is necrophilious taste in the scenes where Romeo meets Juliet, who is thought to be dead for him, in her familiy's semetry, and Othello talkes to himself, looking at Desdemona sleeping in her deathbed. In Othello's words: " I will kill thee / And love thee after ", we clearly see the protagonist's necrophilious desire. This necrophilious desire is caused by Othello's misunderstanding of his wife's disloyalty which causes him strong mysogyny at the same time. Othello's necrophilious desire is, as it were, the inversion of mysogyny caused by Desdemona's misundrstood disloyalty. Among the plays of around 1600, turning point of the playwright's dramatic vision from comic to tragic, the dramatic setting of heroine's disloyalty in Troilus and Cressida proves true unlike that of Othello. Troilus is shocked to see and hear Cressida's unbelievable disloyalty, while Hamlet severely criticises his mother's early remarriage with his uncle, which means the disloyalty against her ex-husband, his father. And Lear's unquenchable agony and anger caused by his two daughter's ingratitude lead him to the extreme of cursing feminity as a whole. In the Romance Plays, the last group of tragi-comedies, which are characterized with the happy-endings of forgiveness, reunion and reconciiation, the theme of protagonists' jealousy caused by heroine's supposed disloyalty is persistently repeated. Their jealousy is always 51accompanied with strong sense of mysogyny when they misunderstand they are betrayed by their wives or lovers. It is so strong that it never is healed till it leads them to decide to kill their wives or lovers. True reconciliation and reunion only comes after this bitter process of killing heroines once. Leontes in The Winter's Tale meets the happy case of reunion and reconciliation between husband and wife where the protagonist's necrophilious desire enjoys a happy ending under the theme of jealousy, while the playwright shows us a twisted, grotesque scene of necrophilious desire in Cymbeline.
著者
福井壽男 向井 正視 篠田 了 長谷川 二郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯材器 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.685-690, 1992
被引用文献数
8

12%金-パラジウム-銀-銅合金は, 金, パラジウムの量はそれぞれ12%と20%と一定している.しかし, 銀の含有量は45〜55%で銅の含有量は10〜20%とメーカーによって異なる.この合金の銀と銅の組成比と金の添加量の増加の影響を知ることは材質評価だけでなく, 合金開発の指針としても重要である.本研究は銀と銅の比率が異なる12%金-20%パラジウム-銀-銅合金のS-12(石福金属)とCastwell M.C(GC)と20%金-パラジウム-銀合金のAlba 20を用いて, 熱処理の影響と硬化機構との関係を調べた.その結果, 12%金-20%パラジウム-銀-銅合金では銀と銅の組成比の違うS-12とCastwell M.Cの熱処理と機械的性質の特性は類似している.12%金-20%パラジウム-銀-銅合金の硬化機構は時効硬化型と固溶体硬化型の2つである.一方20%金-パラジウム-銀-銅合金の硬化機構は時効硬化型のみであった.
著者
高橋 志郎 新家 光雄 福井 壽男 小林 俊郎 長谷川 二郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.577-584, 1996-11-25
被引用文献数
12

種々の熱処理を施した歯科用金銀パラジウム銅合金につき, 引張試験および動的破壊靱性試験を行い, 引張および衝撃破壊特性に及ぼす熱処理条件の影響について検討した.引張強さおよび0.2%耐力は, 溶体化まま材および溶体化時効材とも, ほぼ溶体化温度の上昇に伴い増加する傾向にある.溶体化時効材では, いずれの溶体化温度でも時効温度の上昇に伴い, 引張強さおよび0.2%耐力が増加する傾向にある.一方, 伸びは, 溶体化まま材では, 強度特性値とは逆に, 溶体化温度が高いほど低下する傾向にある.動的破壊靱性値は, 一部の例外を除き, 強度特性値の場合と同様に, 溶体化温度の上昇とともに増加する傾向にある.これは, 本合金の動的破壊靱性値に対して, 延性の低下に比べ, 強度の増加がより大きく寄与したためであると考えられる.動的破壊靱性値は, 溶体化まま材の方が溶体化時効材に比べ大きい.強度, 靱性, 延性バランスを考慮すると, 溶体化温度1073Kの熱処理条件がより適切である.特に, 溶体化まま材で, 溶体化後空冷の熱処理は, 冷却工程が簡便で, 時効工程を省略でき, より有利な熱処理条件といえる.
著者
福井 壽男 國井 崇 藤城 吉正 守田 有道 新家 光雄 山田 史郎 長谷川 二郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-55, 2000-01-25
被引用文献数
6

最近チタン-タンタル系合金が歯科用インプラントや整形外科の範疇で研究されている.この種合金は無刺激性で生体親和性に富みさらに優れた機械的性質と高い加工性を有している.この系の合金化は一般に行われているアーク溶解および高周波誘導加熱方法では難しいといわれている.それはチタンとタンタルでは密度が大きく異なりチタンの4.5g/cm^3に対してタンタルは16.6g/cm^3である.しかもチタンの融点は1, 680℃であるのに対しタンタルの融点は2, 990℃と高くいずれも酸素との反応性が高いためである. 今回我々は85wt%チタン-15wt%タンタルの二元系合金の溶製に高周波誘導加熱方法の一種である浮揚融解法(CCLM)の応用を試みた.浮揚融解法は水冷るつぼに高周波誘導により渦電流を発生させてるつぼに接触しないように合金を浮揚させながら溶解する方法である. この方法で1kgの85wt%チタン-15wt%タンタルの二次元合金の溶製に成功した.この結果CCLMによれば高融点で酸素活性が高く, 密度が大きく異なる金属でも合金化が可能であることが判明した。
著者
長谷川 二郎 和田 清美
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.37-43, 1992-08-05
被引用文献数
2

On the basis of observation in 12 Japanese species of the Anthocerotae as well as of a comprehensive survey of literature, the genera of the Anthoceroate are found to have in a sporophytic cell ; (1) one chloroplast(Dendroceros, Folioceros, Notothylas and Phaeoceros), (2) two (Anthoceros) or (3) two or more (up to 12) chloroplasts (Megaceros).This fact requires correction of the generally accepted view that the Anthocerotae contain a single chloroplast in each cell of gametophytes and two chloroplasts in each cell of sporophytes. We further discuss the taxonomic significance of this character together with a distinctness of the genus Anthoceros in the Anthocerotae.
著者
岩岡 中正 首藤 基澄 吉川 榮一 谷川 二郎 中村 直美 中山 將
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、[I]人間社会基礎論研究と[II]比較地域論の二方向から、近代(化)の検証と今日的意義およびその普遍化可能性について考える。[I]の(1)の哲学・倫理学・美学部門では、近代の主観主義的人間観の射程の研究(中山)、個人主義概念の基礎的研究(岡部)、自由主義的人間観の限界と地球全体主義の提唱(篠崎)が、(2)の法哲学・政治学部門では、近代リベラリズムにおける自律概念の研究(中村)、脱近代パラダイムの視点からの、「普遍」としての「近代の研究(岩岡)、アレント研究を通しての、政治的アイデンティティの研究(伊藤)が行なわれた。[II]の(1)の「英米における近代化」では、16世紀の英語の語彙の近代化の研究(上利)、シェイクスピアの戯曲における英国近代化の萌芽の研究(谷川)、19世紀英国小説に見る労働者と近代化の影についての研究(大野)、アメリカ小説に見る、コマ-シャリズムという近代化の悪き側面についての研究(里見)、さらに(2)の「アジアにおける近代化」では、祭元培の人権意義の非西洋的由来に見る中国近代化の特殊性の研究(吉川)、夏目漱石と芥川龍之介における日本近代化の理念の比較研究(首藤)、国民国家的視点からの日本近代化の研究と近代化論の批判的考察(小松)が行なわれた。通算13回の研究発表会と11回の研究打ち合わせ会から、以下の視点を得た。つまり、[II]グループの研究から、今日、単線的進歩の近代化論は受け入れられず、西洋も含めて世界の諸地域が多様な近代化をとげてきており、したがって近代化の一義的普遍化は困難であること、しかし他方、[I]グループの研究が示すように、やはり現代社会には「近代」に共通の普遍的な成果と問題点およびその克服の試みがあるという認識に立って、地域的な多様な近代化における個別性と、真の近代がめざす「人間の善き生」という普遍性をどう止揚するかという視点の重要性を確認した。この視点から今後さらに近代についての研究を進めたい。