著者
越沢 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.121-132, 1987

本稿は1895~1945年に目本の統治下にあつた台湾の都市計画の特徴について最大の都市である台北を例にとって取りまとめたものである。<BR>台北の市区改正の実施の契機は、不衛生な都市環境の改善であり、そのために下水道の敷設と道路の改良が実行された。それを推進したのは、後に日本内地の都市計画の発展に大きな功績を残す後藤新平であり、下水道敷設のプランをつくったのは日本の近代上下水道の基礎をつくったパルトンであった。<BR>1932年に郊外地の開発を目的とする近代的な都市計画が策定された。そのプランは公園道 (ブールバール) を重視し、新市街地の軸線として用いている。1937年の都市計画法制度の整備以降、土地区画整理により、新市街の開発が着手されている。<BR>戦後、中華民国になってからの台北都市計画の街路、公園は戦前のプランがほぼそのまま継承されている。また法令もそのまま採用され、用途地域、土地区画整理など、制度而でも今日の台湾の都市計画に影響を与えている。
著者
越沢 明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.265-276, 1985-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
28

1937年の芦溝橋事件から1945年の敗戦までの間、中国大陸の一部は日本軍の占領下にあった。この時期、華北の現地政府 (曰本のカイライ政権) には、日本の内務省・地方庁より大量の土木技術者が派遣され、占領地の土木事業に従事した。なかでも北京では増加する日本人を収容し、また都市住民のための軽工業を立地させるため、都市計画が立案され、西郊と東郊にそれぞれ新市街が建設された。この日本が立案、実施した北京都市計画は、近代都市計画理論 (住区構成、市街化禁止区域の設定等) を導入しながら、かつ北京という都城としての構成原理を尊重し、明解な軸線を有していた (東西軸は長安街の延伸、南北軸は万寿山を起点とする)。この日本による都市計画は、現在の北京の都市形態に大きな影響を与えている。
著者
越沢 明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.181-192, 1989-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

戦前の昭和期 (1930年・40年代) は戦時色が強くなる時代の特徴から、都市計画はあたかも何の進歩もなく、暗い時代であったかの印象を持たれているが、これは事実に反する。むしろ日本初の本格的な都市計画事業である帝都復興事業の完成の後、その経験を生かし、また欧米都市計画の動向を踏まえて、日本の都市計画は新たな展開が図られている。函館は1934年の大火を契機として、全市街を広幅員の防火緑樹道路によって分断する構想が樹てられ、実現をみた。またこれは都市計画事業によってつくられた初の本格的なブールバールである。札幌はすでに既成市街地の街路が完成していたが、1936年、公園系統の考え方にもとづき、広幅員の放射環状道路を配置する雄大な街路網が計画された、また合わせて風致地区も計画されたが、これらの計画は戦後廃止されてしまった。帯広では1944年、街路網が決定された。これは斜路と広場を配置するなど従来の帯広の都市形態を発展させた都市デザインであったが、この計画も戦後、ほとんど継承されなかった。これらの市街地構成の原理と街路設計の思想は今日、なお学ぶ点が少なくない。
著者
越沢 明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.73-78, 1997

Ise (former Uji-yamada) City is the Sacred Ground in Japan because the Shrine has been located for two thousand years more. In 1930's the Shrine City Plan was made by the Government in order to extend the Shrine Gardens and Forests and improve urban infrastructure not only for the residents but also for enormous worshipers. The characteristics and significance of this peculiar plan are as follows: 1. implementation by the Government, 2. making of comprehensive master plan prior to planning decision and projects, 3. strict regulations and large scale park system for city beautiful and shrine solemnness.
著者
越沢 明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.54-65, 1988-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
56
被引用文献数
1

札幌、仙台、名古屋、広島の都心部に存在する幅員50m以上の大通は、広い植樹帯やオープンスペースを有し、都市のシンボルとして祭典やバレードの会場となるなど多目的に使用されている。本稿は広幅員道路が近代日本都市計画においてどのような目的と思想によって計画され、実施されたのか、その系譜を明らかにすることを目的としている。幕末から明治にかけて居留地、開拓地では防火帯として広幅員道路が設けられている。しかし、既存の大都市の市区改正道路は最大36mであり、大正末期から昭和初期にかけての都市計面事業によって東京、大阪でそれぞれ幅員44mの道路が出現した。当時は、都市計画事業は災害復興の機会しか実施できず、函館、静岡では大火後、防火区画を形成するよう植樹帯を広く採つた道路がつくられている。欧米の地方計画論、緑地思潮の影響を受けて、公園道路の考え方が日本に導入され、湘南海岸では遊歩道、乗馬道を合わせもった公園道路が整備され、東京では保健道路という名称の河川沿い緑道が都市計画決定されている。公園系統、公園道路を本格的に取り入れた都市計画は1930年代になり満州、台湾、中国本土の植民地・占領地で大々的に試みられ、実現したものも少なくない。一方、日本国内では戦争末期、防空のため建物疎開を実施するにあたり、各地で50~100mの空地帯がつくられた。戦後、京都、名古屋、広島では疎開跡地を広幅員道路として整備したのに対して、東京ではほとんど有効活用されなかった。
著者
越沢 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
日本土木史研究発表会論文集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.223-234, 1986

「満州国」が中央政府直轄で都市建設を実行したのは、新京と大東港の2都市である。前者は新首都の建設であり、後者は大規模な臨海工業都市の建設であった。<BR>大東港は朝鮮と国境を流れる鴨緑江の河口帯に計画された。大東港の計画はぐ満州唯一の不凍港をこの地に建設し、地下資源と水力発電を活かして、人口100万人の臨海工業都市を新規に建設しようとするものであった。<BR>この計画岸信介、直倫太郎の支持によって進められ、現地機関では近藤三郎、黒田重治、米田正文らが事業を推進した。<BR>大東港にられる港湾と工業地帯のセット開発、高速道路の建設、土地経営による事業償還などの方式は、戦後日本の大規模開発プロジェクトの方式を先取りしていたと言えるものである。
著者
越沢明
雑誌
年報 近代日本研究
巻号頁・発行日
vol.9, pp.257-288, 1987
被引用文献数
1
著者
越沢 明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.223-234, 1986-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
19

「満州国」が中央政府直轄で都市建設を実行したのは、新京と大東港の2都市である。前者は新首都の建設であり、後者は大規模な臨海工業都市の建設であった。大東港は朝鮮と国境を流れる鴨緑江の河口帯に計画された。大東港の計画はぐ満州唯一の不凍港をこの地に建設し、地下資源と水力発電を活かして、人口100万人の臨海工業都市を新規に建設しようとするものであった。この計画岸信介、直倫太郎の支持によって進められ、現地機関では近藤三郎、黒田重治、米田正文らが事業を推進した。大東港にられる港湾と工業地帯のセット開発、高速道路の建設、土地経営による事業償還などの方式は、戦後日本の大規模開発プロジェクトの方式を先取りしていたと言えるものである。
著者
越沢 明
出版者
国際交通安全学会
雑誌
IATSS review = 国際交通安全学会誌 (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.60-69, 1997-09-30
参考文献数
32
被引用文献数
1
著者
越沢明著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1991