著者
轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.79-86, 2012 (Released:2012-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

研究成果著作物のセルフアーカイビングが,専門分野を越えて幅広い読者を対象とするアウトリーチ活動として機能した例を紹介する。所属機関のリポジトリで公開した2つの英文原著論文の著者最終稿のダウンロード数が,出版してから3年経つにも関わらず,それに続く3年間で約1,500に達した。どちらも掲載雑誌を購読していない読者からのものと考えられ,研究従事者に広く興味を引きやすい内容を有していたことや,実験ビデオ映像をYouTubeで公開して文献に誘導したことが功を奏したと思われる。機関リポジトリの登録文書数を研究者の協力を得て拡大しようとするならば,研究者に登録文書への反響を知る楽しみを認識してもらった上で,自発的にセルフアーカイビングしたくなる環境を構築するのが早道であろう。そのためには,登録した文書に対するアクセス統計が欲しいときにすぐ見られるサービスが求められる。
著者
谷藤 幹子 高久 雅生 大塚 真吾 轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.888-901, 2009 (Released:2009-03-01)
参考文献数
26
被引用文献数
4 1

研究成果の蓄積と公開は,独立行政法人たる研究所においても重要な任務だが,それを図書館が担うという考え方はつい先ごろまでまったく浸透していなかった。そもそも図書館は,本を買って置く場所という認識である。専門職員が充分にいるわけでもない。しかしさすがに情報社会の波が研究現場にもさまざまな形で押し寄せてくるに至り,組織全体としての情報の流通・発信力に不足感を感じてきたところといえる。物質・材料研究機構(NIMS)では,購読図書の電子化が進んでいることとも合わせ,いっそのことバーチャルな世界でデジタルライブラリーを考えようということになった。未来のライブラリーとは(人も含め)どのようなものか? 研究者が使いたくなる機能とはどのようなものか? そうした問いかけを重ねる中で,単なる蓄積・公開にとどまらず,蓄積された情報が確かな手応えを伴って発信できる仕組み,より能動的なライブラリーシステムを目指してNIMS eSciDocの研究開発に着手したところである。第一期はシステムの「発信する力」に焦点をあて,その具現化にふさわしいソリューションを追求し,改良と試験運用を開始した。本稿はその概要を述べるとともに,他の文書/動画共有サイトとの発信力の比較を行ったNIMS研究者の声も紹介する。
著者
谷藤 幹子 高久 雅生 大塚 真吾 轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.888-901, 2009
被引用文献数
3 1

研究成果の蓄積と公開は,独立行政法人たる研究所においても重要な任務だが,それを図書館が担うという考え方はつい先ごろまでまったく浸透していなかった。そもそも図書館は,本を買って置く場所という認識である。専門職員が充分にいるわけでもない。しかしさすがに情報社会の波が研究現場にもさまざまな形で押し寄せてくるに至り,組織全体としての情報の流通・発信力に不足感を感じてきたところといえる。物質・材料研究機構(NIMS)では,購読図書の電子化が進んでいることとも合わせ,いっそのことバーチャルな世界でデジタルライブラリーを考えようということになった。未来のライブラリーとは(人も含め)どのようなものか? 研究者が使いたくなる機能とはどのようなものか? そうした問いかけを重ねる中で,単なる蓄積・公開にとどまらず,蓄積された情報が確かな手応えを伴って発信できる仕組み,より能動的なライブラリーシステムを目指してNIMS eSciDocの研究開発に着手したところである。第一期はシステムの「発信する力」に焦点をあて,その具現化にふさわしいソリューションを追求し,改良と試験運用を開始した。本稿はその概要を述べるとともに,他の文書/動画共有サイトとの発信力の比較を行ったNIMS研究者の声も紹介する。<br>
著者
轟 眞市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J96-B, no.3, pp.243-248, 2013-03-01

通信用光ファイバ(SMF及びNZ-DSF)におけるファイバフューズの伝搬速度と損傷形状の供給光強度依存性に基づき,その伝搬モードを次の3種類に分類した.供給光強度が小さくなる順に,コア領域に閉じ込められたプラズマがファイバ軸方向に長く広がって伝搬する円筒状モード,その広がりが前者より狭い単峰状モード,及び半径方向の広がりが前二者よりも小さい不安定モードである.ファイバフューズの損傷形状としてよく知られた弾丸形状の周期的空孔列は円筒状モードで現れ,単峰状モードでは空孔列が不連続につながりあった線状の損傷が残される.これらの伝搬モードでは,プラズマは半径方向に最大限広がった状態で伝搬するのに対し,不安定モードではそれより狭い領域を伝搬するので,供給光がプラズマに吸収されない比率が大きく,導波路構造の乱れの影響を受けやすい.