著者
谷藤 幹子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.372-384, 2015-08-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
22

オープンアクセスという新たな論文配信を転機として,日本政府は,日本発学術誌の国際発信力強化を支援し,同時に日本発論文のオープンアクセス化を後押ししている。学協会,図書館,大学・研究機関は,この政府方針を受けて何らかのオープンアクセス化に取り組み,何らかの方法でその成果を示す期待の中に置かれている。本稿では,投稿者負担金(APC)を含めオープンアクセスジャーナルの今後の課題や可能性を視野に,物質・材料研究機構(NIMS)が支援する材料科学分野でのゴールドオープンアクセスジャーナル『Science and Technology of Advanced Materials(STAM)』誌を例に,前稿からの5年の歩みに学ぶ安定的運営と発展するための出版条件を考察する。
著者
高久 雅生 谷藤 幹子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.29-41, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
35
被引用文献数
3 1 2

物質・材料研究機構(NIMS)では,2008年よりデジタルライブラリー構想に基づく機関リポジトリNIMS eSciDocの開発と運用を始めた。eSciDocは柔軟な拡張可能性と豊富なWeb APIを併せ持つドイツ製のオープンソースのリポジトリソフトウェアであり,単に文献リポジトリにとどまらず,eサイエンスのための汎用ツールとしての機能を持ち合わせている。このような利点を活かして開発,運用してきた機関リポジトリNIMS eSciDocの現状と課題を報告する。あわせて,機関リポジトリと対をなして取り組んでいる研究者総覧SAMURAIについても報告する。SAMURAIは,NIMS研究者約500人を対象に,その連絡先や業績文献,研究内容などをわかりやすく伝えるサービスとして,機関リポジトリや外部データベースと密に連携しながら,2010年より運用を開始した。本報告では,これらのサービス内容と利用動向とともに,今後の展開について述べる。
著者
谷藤 幹子 田辺 浩介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.107-116, 2015-05-01 (Released:2015-05-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1

2010年に物質・材料研究機構(NIMS)が公開を開始した研究者総覧「SAMURAI」は,広い材料科学分野にわたるNIMS研究者を対象として,分野やキーワード検索からプロフィール情報を参照するサービスである。NIMS内の関係部署が個別にもつ独自データベースから,所属や業績などの情報を機械的に取得し,CrossRefなどの外部データベースと照合してタイトルや著者情報を正確に修正し,論文のフルテキストや特許情報源にリンクするまでのデータフローは,当時としては先端的なデータ処理のアルゴリズムをもつ,日本初の本格的な研究者プロフィールサービスであった。本稿では‘次世代’と呼ぶことのできるプロフィールサービスとはどのようなものかという視点で,IDという情報の同定の仕組みからソーシャルネットワークとのシナジー効果までを,SAMURAIに次ぐ「Ninja」構想を例として,(1)SNSを利用した個人プロフィールのリアルタイムな拡散,(2)グループプロフィールへの拡張,(3)DOIやORCIDという識別子をベースにしたモビリティー機能への展開として述べる。併せて機関リポジトリ,学会会員サービスとしての可能性を提案する。
著者
谷藤 幹子 高久 雅生 大塚 真吾 轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.888-901, 2009 (Released:2009-03-01)
参考文献数
26
被引用文献数
4 1

研究成果の蓄積と公開は,独立行政法人たる研究所においても重要な任務だが,それを図書館が担うという考え方はつい先ごろまでまったく浸透していなかった。そもそも図書館は,本を買って置く場所という認識である。専門職員が充分にいるわけでもない。しかしさすがに情報社会の波が研究現場にもさまざまな形で押し寄せてくるに至り,組織全体としての情報の流通・発信力に不足感を感じてきたところといえる。物質・材料研究機構(NIMS)では,購読図書の電子化が進んでいることとも合わせ,いっそのことバーチャルな世界でデジタルライブラリーを考えようということになった。未来のライブラリーとは(人も含め)どのようなものか? 研究者が使いたくなる機能とはどのようなものか? そうした問いかけを重ねる中で,単なる蓄積・公開にとどまらず,蓄積された情報が確かな手応えを伴って発信できる仕組み,より能動的なライブラリーシステムを目指してNIMS eSciDocの研究開発に着手したところである。第一期はシステムの「発信する力」に焦点をあて,その具現化にふさわしいソリューションを追求し,改良と試験運用を開始した。本稿はその概要を述べるとともに,他の文書/動画共有サイトとの発信力の比較を行ったNIMS研究者の声も紹介する。
著者
谷藤 幹子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.323-333, 2009
被引用文献数
1 2

材料科学分野における英文学術論文誌Science and Technology of Advanced Materials(STAM)は今年第10巻を迎えた。材料研究先進国として,国際的知名度を持ちうる専門誌を日本に持とうという学者間の機運をきっかけに,材料系学協会の有志により2000年に創刊された。物質・材料研究機構(NIMS)は日本で唯一の材料科学専門の研究所として,研究のみならず研究成果の発信と普及にも力を入れており,中でも学術出版は中核的基盤整備の一つとして位置づけている。材料科学分野における顕著な研究成果や,研究の進展全体を俯瞰するレビュー論文を編集し,世界の材料研究コミュニティーで共有することが出版の目的である。そのためには研究所といえども質のよい編集,安定した出版体制を持つことが重要であり,段階的な出版体制作り,編集改革,出版工程の見直しを経て,投稿・閲覧を無料化するという新しい戦略のもと,購読型から機関負担型オープンアクセスジャーナルへ転換した。出版量よりも材料研究者必読論文を収録するという質重視への転換でもある。オープンアクセスジャーナルとして成功例の一つとされる物理分野の学術誌New Journal of Physics(英国物理学会出版局発行)を参考例として,STAM誌の創成期から成熟期へ向けた展望を俯瞰する。
著者
谷藤 幹子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.263-267, 2016-06-10 (Released:2016-06-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In respond to a trend of open science policy in Japan, authors' copyrights in journal articles under a background of open access in science and technology is reported.
著者
谷藤 幹子
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.263-267, 2016

In respond to a trend of open science policy in Japan, authors' copyrights in journal articles under a background of open access in science and technology is reported.
著者
田辺 浩介 谷藤 幹子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.200-205, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

研究機関によって運営される研究者プロフィールサービスは,オープンサイエンスの進展に代表される研究活動の多様化や,Institutional Researchの取り組みによって,その目的が研究成果の公開から研究活動の分析のための情報基盤へと広がってきている。本稿では,今後の研究者プロフィールサービスの方向性や,その構築・運用に求められる研究機関の取り組みについて論じる。
著者
谷藤 幹子 田辺 浩介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.107-116, 2015

2010年に物質・材料研究機構(NIMS)が公開を開始した研究者総覧「SAMURAI」は,広い材料科学分野にわたるNIMS研究者を対象として,分野やキーワード検索からプロフィール情報を参照するサービスである。NIMS内の関係部署が個別にもつ独自データベースから,所属や業績などの情報を機械的に取得し,CrossRefなどの外部データベースと照合してタイトルや著者情報を正確に修正し,論文のフルテキストや特許情報源にリンクするまでのデータフローは,当時としては先端的なデータ処理のアルゴリズムをもつ,日本初の本格的な研究者プロフィールサービスであった。本稿では'次世代'と呼ぶことのできるプロフィールサービスとはどのようなものかという視点で,IDという情報の同定の仕組みからソーシャルネットワークとのシナジー効果までを,SAMURAIに次ぐ「Ninja」構想を例として,(1)SNSを利用した個人プロフィールのリアルタイムな拡散,(2)グループプロフィールへの拡張,(3)DOIやORCIDという識別子をベースにしたモビリティー機能への展開として述べる。併せて機関リポジトリ,学会会員サービスとしての可能性を提案する。
著者
谷藤 幹子 高久 雅生 大塚 真吾 轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.888-901, 2009
被引用文献数
3 1

研究成果の蓄積と公開は,独立行政法人たる研究所においても重要な任務だが,それを図書館が担うという考え方はつい先ごろまでまったく浸透していなかった。そもそも図書館は,本を買って置く場所という認識である。専門職員が充分にいるわけでもない。しかしさすがに情報社会の波が研究現場にもさまざまな形で押し寄せてくるに至り,組織全体としての情報の流通・発信力に不足感を感じてきたところといえる。物質・材料研究機構(NIMS)では,購読図書の電子化が進んでいることとも合わせ,いっそのことバーチャルな世界でデジタルライブラリーを考えようということになった。未来のライブラリーとは(人も含め)どのようなものか? 研究者が使いたくなる機能とはどのようなものか? そうした問いかけを重ねる中で,単なる蓄積・公開にとどまらず,蓄積された情報が確かな手応えを伴って発信できる仕組み,より能動的なライブラリーシステムを目指してNIMS eSciDocの研究開発に着手したところである。第一期はシステムの「発信する力」に焦点をあて,その具現化にふさわしいソリューションを追求し,改良と試験運用を開始した。本稿はその概要を述べるとともに,他の文書/動画共有サイトとの発信力の比較を行ったNIMS研究者の声も紹介する。<br>
著者
谷藤 幹子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.323-333, 2009 (Released:2009-09-01)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

材料科学分野における英文学術論文誌Science and Technology of Advanced Materials(STAM)は今年第10巻を迎えた。材料研究先進国として,国際的知名度を持ちうる専門誌を日本に持とうという学者間の機運をきっかけに,材料系学協会の有志により2000年に創刊された。物質・材料研究機構(NIMS)は日本で唯一の材料科学専門の研究所として,研究のみならず研究成果の発信と普及にも力を入れており,中でも学術出版は中核的基盤整備の一つとして位置づけている。材料科学分野における顕著な研究成果や,研究の進展全体を俯瞰するレビュー論文を編集し,世界の材料研究コミュニティーで共有することが出版の目的である。そのためには研究所といえども質のよい編集,安定した出版体制を持つことが重要であり,段階的な出版体制作り,編集改革,出版工程の見直しを経て,投稿・閲覧を無料化するという新しい戦略のもと,購読型から機関負担型オープンアクセスジャーナルへ転換した。出版量よりも材料研究者必読論文を収録するという質重視への転換でもある。オープンアクセスジャーナルとして成功例の一つとされる物理分野の学術誌New Journal of Physics(英国物理学会出版局発行)を参考例として,STAM誌の創成期から成熟期へ向けた展望を俯瞰する。