著者
横山 哲也 深井 稜汰 辻本 拓司
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.201, 2017 (Released:2017-11-09)

従来、太陽系に存在するr-核種の起源は重力崩壊型超新星爆発であると考えられてきたが、いくつかの理論モデルや天文観測からは、質量数130以降の重いr-核種の起源として、連星中性子星の合体が示唆されている。本研究では、未だ不明点の多いr-核種の起源に関し、隕石全岩に見られる重元素同位体異常から制約することを試みた。コンドライト隕石はSr, Zr, Mo, Ruといった元素に関し、地球に比べr-核種に富む傾向を持つ。これは微惑星形成以前の初期太陽系において、これら元素の同位体が不均質分布していたことを意味する。地球組成で規格化したr-核種の濃縮度をコンドライト隕石について計算したところ、濃縮度はZrで最大となった後、質量数の増加とともに低下し、Sm以降はほぼゼロとなった。従って、超新星粒子はSm以降のr-核種を含んでいなかった可能性が高く、太陽系内のSm以降の重いr-核種の起源は連星中性子星の合体が有力である。
著者
辻本 拓司 和南城 伸也 石垣 美歩 西村 信也 戸次 賢治 Gerhard Hensler
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

金やプラチナに代表される中性子を素早く捕獲して形成されるr過程元素の天体物理学的起源については、未だ同定できていない。2017年の夏、連星系にある2つの中性子星の合体がその起源であるという極めて有力な手掛かりを我々は掴むこととなったが、まだ断定できる状況には程遠い。さらに、中性子星合体が唯一の起源であることに対し、複数の観測事実が疑問を呈している。本研究は星の化学組成という独自の視点からr過程元素の起源に迫ろうとするものであり、我々は中性子星合体が支持されること、しかし一方で銀河形成初期では特殊な超新星(磁気駆動型超新星)が出現していたことを突き止めた。