著者
近田 亮平
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.24-33, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
16

本稿は、2019年に誕生したボルソナロ新政権の特徴や施策から、ブラジルの社会福祉が転換しつつある点について考察するものである。はじめに、おもに1990年代以降におけるブラジルの社会福祉の制度や政策の展開を概観し、1985年の民政移管後のブラジルでは1988年憲法を礎石として社会民主主義的な福祉レジームの構築が志向されてきた点を論じる。そして、右派・保守イデオロギー色が強いというボルソナロ政権の特徴、および、同政権がすでに実施した社会分野に関する施策や措置についてまとめ、ボルソナロ政権下のブラジルにおける福祉レジームが家族主義的なレジームに転換しつつあるとの見解を示す。
著者
近田 亮平
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.73-85, 2022 (Released:2022-01-31)
参考文献数
14

社会的マイノリティのなかでもLGBTと総称される性的マイノリティに関しては、社会において差別や偏見がより強く脆弱な存在でもあり、国や地域により状況は異なるが、権利の保障は遅れるとともに現在でも不十分である。ブラジルでは1985年の民政移管後、民主主義の定着とともに、社会的マイノリティを擁護する左派の政策や政治勢力が支持されたことにより、多様性を尊重する方向で社会が変化した。本稿はこのようなブラジルにおいて、性的マイノリティの権利を保障すべくどのような制度が整備され、どのようなアクターが行為し、それらがどのように相互作用してきたかを明らかにしようとするものである。先行研究とブラジル地理統計院のデータ、および、筆者が現地で行ったインタビュー調査をもとに、日本よりも先進的なブラジルの性的マイノリティの権利保障の変遷や課題について論じる。そして、多文化主義が民主化後の新憲法で唱導されたブラジルで、セクシャリティをめぐり多様性と排他性が衝突し合っている現状を指摘する。
著者
畑 恵子 渡部 奈々 近田 亮平 松久 玲子 尾尻 希和 磯田 沙織
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では文化的同質性が高いにもかかわらず、LGBTの法的権利保障において異なったレベルにあるラテンアメリカ主要6カ国を対象とし、地域横断的な比較分析を行う。政党、カトリック教会・宗教組織、市民組織・当事者団体、ジェンダー・セクシュアリティ研究者等をこの問題に関わる主要なアクターと捉えて、資料調査・聞き取り調査を通して、単なる個別研究の寄せ集めとならないよう配慮しながら、ラテンアメリカ諸国に共通する促進/阻害要因と各国固有の要因を析出する。その成果は積極的な発信に努め、学術的貢献にとどまらず、多様性と寛容さの保障を求められている日本社会への提言へとつなげる。