著者
畑 恵子 渡部 奈々 近田 亮平 松久 玲子 尾尻 希和 磯田 沙織
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では文化的同質性が高いにもかかわらず、LGBTの法的権利保障において異なったレベルにあるラテンアメリカ主要6カ国を対象とし、地域横断的な比較分析を行う。政党、カトリック教会・宗教組織、市民組織・当事者団体、ジェンダー・セクシュアリティ研究者等をこの問題に関わる主要なアクターと捉えて、資料調査・聞き取り調査を通して、単なる個別研究の寄せ集めとならないよう配慮しながら、ラテンアメリカ諸国に共通する促進/阻害要因と各国固有の要因を析出する。その成果は積極的な発信に努め、学術的貢献にとどまらず、多様性と寛容さの保障を求められている日本社会への提言へとつなげる。
著者
松久 玲子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1920年代から30年代の広義のメキシコ革命期における公教育制度の形成過程で、女性の教育についても議論が行われた。職業教育として家庭学校が設立され、農村教育において、家庭科カリキュラムが策定された。フェミニスト教育官僚エレナ・トーレスの活動に沿って、主婦役割がカリキュラムにおいて定式化された過程を明らかにし、学校教育におけるジェンダー規範の形成を考察した。女性が家庭での再生産活動を通じ国家に接合されるとともに、一方で女性の自立的身体管理を含意する性教育が社会的反発により学校教育から排除された。
著者
水谷 智 平野 千果子 有満 保江 三ツ井 崇 永渕 康之 松久 玲子 板垣 竜太
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本共同研究では、日本(朝鮮、台湾、沖縄等)とヨーロッパ(イギリス、フランス、オランダ、スペイン、ドイツ等)の植民地史を、「医療」「官僚制」「人種主義」といった<近代性>の問題系に属する主題を軸に再検討した。植民地主義をグローバルな文脈で共同研究するにあたっての<比較>の必要性と危険性の両方に十分に注意を払いながら、様々な支配経験に関する実証研究を突き合わせ、相互参照を可能にする枠組および概念の創出を目指した。その結果、近年の植民地研究の鍵となっている「植民地近代性」(colonial modernity)の概念の可能性と限界が明らかになった。また共同討議の過程で、議論の対象とした植民地帝国のそれぞれが、他国との<比較>によって自国の支配を正当化し統治政策を策定していた歴史像が浮かび上がってきた。<比較>それ自体を歴史研究の対象として主題化し、植民地主義の一部としてそれを根底的に検証し直す必要性が理解されるに至ったのことも、本研究の重要な成果の一つである。