- 著者
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近藤 倫生
- 出版者
- 龍谷大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2007
数理モデリングの手法と食物網のネットワーク解析を組み合わせることで、生物を特徴づける適応的行動の、食物網構造やその個体群動態への影響を研究した。主な成果は以下の通りである:(1)捕食者の適応的採餌や被食者の適応的対捕食者防御によって、食物網における複雑性-安定性の間に成立する関係が質的に変化することを理論的に示した;(2)食物連鎖長とその生態系生産性への反応は適応的採餌の結果として理解が可能であることを理論的に示した;(3)自然食物網は適応的餌選択から予測されるようなネスト構造をもつ栄養モジュールの集合として理解できることを明らかにした;(4)自然生態系における捕食者と被食者の脳サイズにはいくつかの特徴的なパターンが見られることを発見した;(5)カリブ海の食物網は複数の栄養モジュールが、そこでの生物多様性を維持するような規則に従って配置されていることを発見した。