著者
山下 洋
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.230-237, 2012-07-15 (Released:2016-05-29)
参考文献数
9

愛着理論は乳幼児期のみならず,思春期の情緒・行動障害への介入において重要な意義をもつことが精神保健の領域でも認識されてきている。本論文では,思春期の臨床における愛着の意義,その評価と介入について概観した。近年は愛着形成の過程とその障害やリスク状態までを含む次元的なスペクトラム・モデルが呈示され,ライフステージに沿った診断と評価が検討されていた。ことに思春期では,自律や性の問題に直面することが新たな脅威となり,愛着障害行動が生じることがさまざまな情緒・行動上の問題の背景として指摘されていた。治療では愛着に基づく介入として,脅威となる状況の変化とともに家族を含む支援システムが愛着対象として機能することが重要となる。
著者
嵯峨山 茂樹 川本 真一 下平 博 新田 恒雄 西本 卓也 中村 哲 伊藤 克亘 森島 繁生 四倉 達夫 甲斐 充彦 李晃伸 山下 洋一 小林 隆夫 徳田 恵一 広瀬 啓吉 峯松 信明 山田 篤 伝 康晴 宇津呂 武仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.14, pp.57-64, 2003-02-07
参考文献数
24
被引用文献数
42

筆者らが開発した擬人化音声対話エージェントのツールキット``Galatea''についてその概要を述べる。主要な機能は音声認識、音声合成、顔画像合成であり、これらの機能を統合して、対話制御の下で動作させるものである。研究のプラットフォームとして利用されることを想定してカスタマイズ可能性を重視した結果、顔画像が容易に交換可能で、音声合成が話者適応可能で、対話制御の記述変更が容易で、更にこれらの機能モジュール自体を別のモジュールに差し替えることが容易であり、かつ処理ハードウェアの個数に柔軟に対処できるなどの特徴を持つシステムとなった。この成果はソース公開し、一般に無償使用許諾する予定である。This paper describes the outline of "Galatea," a software toolkit of anthropomorphic spoken dialog agent developed by the authors. Major functions such as speech recognition, speech synthesis and face animation generation are integrated and controlled under a dialog control. To emphasize customizability as the dialog research platform, this system features easily replaceable face, speaker-adaptive speech synthesis, easily modification of dialog control script, exchangeable function modules, and multi-processor capability. This toolkit is to be released shortly to prospective users with an open-source and license-free policy.
著者
森勢 将雅 山下 洋一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.4, pp.1-6, 2012-08-02
被引用文献数
2

スマートフォン等のマイクロフォンを備えた携帯端末は,携帯電話としての機能だけではなく,音楽再生,音収録等様々な機能をユーザに提供しつつある.本研究では,スマートフォンを用いた音楽試聴スタイルの 1 つとして,タイトルやアーティスト等の情報,および歌詞が音楽に同期して表示される音楽試聴システムの実現に取り組む.本システムを実現するため,音楽に知覚的な影響を与えず情報を埋め込み,埋め込まれた情報をリアルタイムで抽出する技術を提案する.知覚に影響せず情報を埋め込むための技術として電子透かしが一般的に用いられるが,雑音に対する頑健性や通信速度の問題があり,実時間での情報伝達手段に用いることは困難であった.本研究では,モスキート音の考え方に基づくシンプルな方法を提案することで,目的とするシステムへの要求を満たす技術の確立を目指す.本稿では,モスキート音を用いた電子透かしの概要,および情報を埋め込むための仕様について説明する.次いでスマートフォン上に実装されたプロトタイプシステム,およびいくつかの音楽を用いた動作確認テストにより本システムの有効性について議論する.Smartphone that has a microphone has been used as a good tool for dairy life, and we can easily record a sound. In this research, a lyric-synchronized music listening system with smartphone is introduced to provide users with a new music listening style. The system can display the information such as title, lyric, and so on, extracted from the recorded music. The information is hidden in the music signal to avoid deteriorating the sound quality. Digital watermarking is one of the technology to hide the information, and several watermarking technologies for audio signal have been proposed. However, it was difficult for them to realize the good noise tolerance and transmission performance. In this paper, we focus on the mosquito sound to develop the digital watermarking to solve these problems. This paper shows the method to hide the information and the specification about the transmission of the information. The implemented system is introduced and tested in a real environment, and its effectiveness is also discussed.
著者
辻野 雄大 山西 良典 山下 洋一 井本 桂右
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.96-103, 2019-09-13

ダンスゲーム譜面は,操作を要求される頻度,リズム構成の複雑さなど,複数の要素によって特徴づけられる.これらの要素によって,ダンスゲーム譜面の難しさおよび「面白さ」に影響する特性が形成される.この特性を客観的かつ多次元で表現する特徴量を提案する.提案した特徴量に基づいてk-means法によるクラスタリングを実施し,特性が類似した譜面のクラスタを得る.クラスタ毎に楽曲と譜面の関係を深層学習させることによって,クラスタの特性を備えた譜面の自動生成が可能となり,多様な「面白さ」に対応した特徴的な譜面の提供を実現した.
著者
吉益 光一 山下 洋 清原 千香子 宮下 和久
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.398-410, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
86
被引用文献数
1 1

児童の注意欠陥多動性障(attention-deficit/hyperactivity disorder; ADHD)は,年齢あるいは発達に不釣合いな注意力および/または衝動性,多動性を特徴とする行動の障害で,社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されているが,詳しい発症機序は不明である。近年学習障害および高機能自閉症とともに文部科学省による特別支援教育の対象に選ばれるなど,日本でも社会的関心が高まっている。しかしながら疫学的視点からみると統一された疾病概念や診断基準が長く確立されなかったため,有病率やその性比などの数値も過去の研究では一致していない。日本に比べて精神疾患の診断・統計マニュアルなどの客観性に秀でた操作的診断基準が臨床現場で普及している欧米においても同様である。近年欧米を中心とする疫学研究によって,ADHD は遺伝・環境要因による多因子疾患であることが明らかになりつつある。環境要因では主に妊娠中毒症や出産時の頭部外傷などの周産期障害が重視されてきたが,近年では妊娠中の母親の喫煙や飲酒など,胎生期における中毒性物質への曝露や家庭の社会経済的状況が注目されている。一方遺伝要因では両親の精神疾患の既往や,ドーパミン関連遺伝子多型との関連性が指摘されている。しかし,これら環境および遺伝要因と ADHD との関連性についての研究は日本をはじめ非欧米圏では全く行われておらず,要因間の交互作用の検証も含めて今後の研究結果が待たれている。 一方,臨床場面においては,子どもの注意や行動の制御機能とそれに関わる成育環境の発達経過に沿った変容を踏まえて,治療の開始時期やその際に標的となる問題を的確に捉える必要がある。とくに行為障害や反抗挑戦性障害などの併存障害は重要な要因であり,包括的視点を要する問題である。したがって ADHD の治療についても,前述の環境的・遺伝的な病因論を踏まえ,医療,教育,司法,行政なども含有した多次元モデルに基づく包括的治療プログラムの重要性が唱えられており,その有効性について今後の実証的な検証が求められている。
著者
山田 秀秋 佐藤 啓一 長洞 幸夫 熊谷 厚志 山下 洋
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.249-258, 1998-03-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
34
被引用文献数
31 32

Stomach contents of juvenile Japanese flounders were studied from 3 sheltered and 3 exposed bays. Newly settled flounders (15-20mm in TL) mainly consumed mysids regardless of the availability of food organisms. In sheltered bay areas where mysid densities were low, flounders larger than 60mm preyed mainly on juvenile fish. In exposed inshore areas mysids were abundant and con-stituted the major dietary item of flounder until 200mm. The amount of the stomach contents was not significantly different between the two area types. From monthly investigations it was found that seasonal changes in the feeding activity of juvenile flounders is closely associated with water temperature and mysid abundance. Analysis of the relationship between the total length of flounders (from 15mm to 600mm) and the size and number of prey consumed suggest that small mysid individuals are the most suitable prey items for flounders until 50mm and fish prey items are essential for larger flounders.
著者
加藤 圭介 野沢 和典 山下 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.124, pp.223-228, 2003-12-18

本報告では、日本人英語学習者の英文発話における韻律を自動評定する手法について述べる。学習者と英語母語話者の発話を比較し、基本周波数、パワー、発話長の類似度を算出して韻律パラメータとする。2つの発話を比較する際には単語や単語境界部などさまざまな比較単位ごとに比較し、比較単位による結果の違いを考察した。また、基本周波数とパワーに関してはパターン距離などの従来手法に加え、回帰曲線近似誤差を用いた評定手法を提案し、評定結果の妥当性を検証した。さらに、複数の韻律パラメータを組合せ、学習者発話の韻律を評定するモデルを作成した。In this paper, we describe techniques to score prosody of sentence speech uttered by English learners. Based on the comparison between learners' speech and native speaker's speech, we make prosodic parameters by calculating the similarity of learners' speech and native speaker's speech about F0, power and duration. The comparison is carried out every comparison unit, such as a word, a word boundary, and so on. We try a new scoring measure in terms of approximate error of regression fitting, as well as pattern distance, for F0 and power. Moreover, we make a multiple regression model for scoring prosody of English learners' speech by combining two or more prosodic parameters.
著者
入江 一樹 山下 洋史 荒川 豊 岡本 聡 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.233, pp.25-30, 2008-10-02

本論文では,大容量コンテンツ配信におけるコンテンツサーバ側の負荷軽減を目的とし,コンテンツの一部を,すでにダウンロード済みのコンテンツ保持ノード(協調ノード)から受信し,それらをコンテンツを要求するノード(要求ノード)間において協調し,互いにコンテンツの残りの部分を補完しあう二段階配信方式を提案する.提案方式を用いることによりコンテンツサーバの配信負荷を軽減すると共に,複数の協調ノードおよび要求ノードのアップロード帯域を有効利用することによりダウンロード速度向上を実現可能である.シミュレーションにより特性評価を行い,ダウンロード時間の低減の効果を明らかにした.
著者
金子 勝一 小田部 明 山下 洋史 上原 衛 松田 健
出版者
山梨学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

若年者の離職・転職および失業の問題が深刻化している。これらの問題を大卒者に限定した場合、入社後3年以内の離職率は3割を超えている。また、若年者が仕事に対する理想と現実のギャップに悩んでいるという指摘がなされている。一方、情報技術(ICT)の急速な進展やグローバル化の流れの中で、多くの日本企業は、これまでのジェネラリスト重視の単線的な採用活動から脱却し、スペシャリストを含めた複線的な採用を進めようとする動きである。このような状況をふまえて、大学や企業・行政が学生の就業意識や職業能力の向上を図るための取り組みの一つとしてインターンシップに注目し、その導入を進めている。本研究では、インターンシップに着目し、大学と企業・行政・地域との関係におけるインターンシップの位置づけについて、人的資源管理論・組織論・情報管理論といった経営学的立場からその理論的枠組みの構築を試みている。研究期間の3年間に、インターンシップ導入大学の増加要因フレームワーク,インターンシップ導入による相互準アウトソーシング・モデル,'インターンシップの準インハウスソーシング・フレームワーク,低賃金アルバイト的インターンシップ・フレームワーク等、多くの研究成果を生み出し、それらの成果を学会発表や学術雑誌の論文として、公表してきた。これらの研究成果は、インターンシップに焦点を当て、学生、大学および企業間のコラボレーションの関係の議論を展開し、インターンシップに関する新たな視点を提示したものである。今後も、研究メンバーと共同で継続的に研究を進め、研究成果を公表するとともに、積極的に教育へ還元していく予定である。
著者
本藤 聡仁 鈴木 啓太 中西 麻美 山下 洋
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.31-42, 2023 (Released:2023-04-27)
参考文献数
20

Under the guidance of Field Science Education and Research Center of Kyoto University, Kyoto Prefectural Nishimaizuru Senior High School has conducted annual surveys in riverine and coastal environments in late July since 2006 (in early August only in 2020). The survey areas consisted mainly of Isazu River, Maizuru Bay, and Tango Bay, Sea of Japan. Although the survey data were analyzed and summarized by high school students every year, the publication of the whole data sets will contribute to meta-analyses among regions and/or periods, and to environmental education at other high schools. Here we provide the following data sets: 1) surface water quality including temperature, pH, electric conductivity, turbidity, and concentrations of dissolved oxygen, dissolved organic carbon, suspended solid, and nutrients in 2006-2021; 2) species composition and density of coastal macrobenthos including fish and invertebrates in 2012-2021; 3) latitudes and longitudes of coastal surveys in 2012-2021; 4) vertical profiles of coastal waters in 2012-2021. As an example of the application of the data sets, interannual changes in nutrient concentrations and macrobenthos communities were analyzed.
著者
砺波 紀之 井本 桂右 岡本 悠希 福森 隆寛 山下 洋一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.217-226, 2022-05-01 (Released:2022-06-01)
参考文献数
42

本論文では,音響イベント検出のための新たな評価指標を提案する。環境音分析のタスクの一つである音響イベント検出の従来の性能評価指標では,イベントの種類によらずすべての誤検出が等しく重み付けされる。提案指標では,音響イベントの種類を考慮しながら深刻な音響イベントの誤検出がより大きく罰則される。また,深刻な誤検出が発生し易いあるいは発生しにくい音響イベント検出モデルを用いて,複数の性能評価指標に対する深刻な誤検出の影響を詳細に分析する。実験結果より,従来指標と比較して,提案指標を用いることで,深刻な誤検出の多いイベント検出モデルの性能がより劣化して評価されることを確認した。
著者
亀田 豊 山下 洋正 尾崎 正明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.367-374, 2008 (Released:2010-01-09)
参考文献数
27

The occurrence of sixteen synthetic fragrance materials and nine organic UV filters was investigated in influent, effluent, and excess sludge in 47 sewage treatment plants (STPs) in Japan. Their loads into the STPs and into an aquatic environment via STPs were estimated according to their influent and effluent concentrations. Highest loads in influent into the STPs and effluent into the aquatic environment were 1.79 mg · day-1 · inch-1 for homosalate and 0.31 mg · day-1 · inch-1 for ethylhexyl methoxy cinnamate (EHMC), respectively. Removal ratios of the fragrance materials and organic UV filters in the STPs were also calculated. The removal ratios varied markedly among compounds. The minimums of the removal ratios were higher than 90 % for benzyl acetate, methyl dihydrojasmonate, octyl salicylate, homosalate, benzyl salicylate, isoamyl-p-methoxycinnamate, and octocrylene, moreover, the lowest removal ratio was approximately 50 % for EHMC. The removal ratios due to adsorption onto the sludge to the total removal ratio were evaluated from the concentrations of compounds in the return sludge. The highest ratio of the removal due to adsorption onto the sludge to the total removal ratio was 40 % for 1,3,4,6,7,8-hexahydro-4,6,6,7,8,8-hexamethyl-cyclo-penta-[g]-2-benzo-pyrane and 7-acetyl-1,1,3,4,4,6-hexamethyl tetrahydro-naphthalene. Many of the organic UV filters measured were evaluated to be less removed by adsorption because of the markedly higher adsorption to the influent sludge than to the return sludge. Further research on their adsorption and biodegradation in the STPs is required.
著者
對馬 育夫 小越 眞佐司 山下 洋正 原田 一郎
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.23-28, 2013 (Released:2013-01-10)
参考文献数
7
被引用文献数
8 8

福島第一原子力発電所事故に伴い飛散した放射性物質が,東北·関東を中心とする多くの下水処理施設において検出されている。本研究では,放射性物質により下水汚泥が高濃度に汚染されるメカニズムを解明するため,関東・東北地方の4箇所の下水処理場を対象に,流入状況の調査および各処理過程における放射性核種分析を行った。さらに,放射性物質を含む下水汚泥の埋立処分のための知見を得るため,下水汚泥焼却灰及び溶融スラグについて,溶出試験を行い,放射性セシウムの溶出特性を調査した。その結果,下水処理場内に流入した放射性物質は主に反応槽内において保持されていること,大部分の放射性物質が浮遊物とともに汚泥側に移行していることが示された。また,溶出試験において,本試験に供した12検体のうち9検体については,溶出液の放射性物質は検出限界値以下であり,残り3検体については,溶出率が0.5-2.7%と極めて小さかった。