著者
石川 衛 岩本 久幸 近藤 優 森 美樹 宮本 康二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.627-630, 2017-05-31 (Released:2017-09-29)
参考文献数
13

経肛門的直腸異物を2例経験したので報告する。症例1:62歳男性。受診2日前に肛門より異物挿入し,摘出困難を主訴に当院受診。腹部X線検査で骨盤内に円筒状異物を認め,腹部CTでは異物先端は直腸Rs付近に達しており外来での抜去困難なため,脊椎硬膜外麻酔下に手術を施行。手術直前,異物はすでに経肛門的に触診されない部位に移動していたため,開腹して用手的経肛門的に携帯用ガスボンベを除去した。症例2:26歳男性。直腸異物の摘出困難を主訴に当院受診。外来での摘出困難であったため,脊椎硬膜外麻酔下に緊急手術を施行。腹部を愛護的に圧迫しつつ経肛門的にバイブレーターを除去した。直腸異物の摘出にあたっては,なるべく低侵襲な治療が望まれるが,詳細な病歴聴取や画像診断により異物の形体も考慮した適切な治療法を選択する必要がある。
著者
近藤 優美子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.164, pp.50-63, 2016 (Released:2018-08-26)
参考文献数
10

本稿では,補助動詞「しまう」のうち,現実の世界で既に実現した事態に接続するものをテシマッタとし,テシマッタが何を表すかと,そこから課される使用制約を明らかにした。 テシマッタは,実現した「事態は想定と異なる」という話し手の評価的態度を表す。そこから次の使用制約が課される。話し手は,具体的にはどのように「事態は想定と異なる」か,を表す情報を,聞き手が文脈から得られるようにする必要がある。検証は1.会話コーパスの分析,2.二種類の話し手の評価的態度「事態は想定と異なる」と事態は想定通りという文脈内での例文の自然度判定調査,3.会話作成調査の三つの手法による。2,3は母語話者調査である。 カーナビが「目的地に到着してしまいました」と言ったら不自然であるのは,機械であるカーナビが事態を評価することはない点,また目的地に着くという事態は想定通りである点でテシマッタの使用制約に反するからである。
著者
石黒 圭応 阿部 薫 近藤 優
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P2187, 2009

【目的】<BR>「身体の前進は,立脚側下肢の可動性に依存する.身体重量が足関節に載り,力は床に向かう.身体は全身の安定性を保ちながら,この力の方向を変えることで前進する.」1)このように歩行時の足関節は荷重された下向きの力を関節角度の変化で前向きの力に変換する.幅広い年齢層の女性に使用されているハイヒールは,そのヒール高により足関節に対して様々な影響を与えていると考えられる.本研究の目的は,ヒール高の違いによって歩行時の足関節の関節角度に与える影響を明らかにすることであった.<BR>【仮説】<BR> ヒールの高さが増加するにしたがって,踵接地時から足趾離地時(立脚期全般)にわたり,足関節の底屈角度が増加し,それに伴い足関節の可動範囲が減少するとした.<BR>【方法】<BR>1.対象<BR>インフォームドコンセントの得られた健常女性11名(年齢20.8±1.2歳,身長158.1±4.5cm,体重50.6±4.3kg,足長23.5~24.0cm)とした.被験者はいずれもハイヒール靴経験者であった.<BR>2.条件<BR>1)測定機器:<BR>赤外線カメラ9台を含む三次元動作解析装置(VICON MX,Oxford Metrics 社製),床反力計(OR6-6-2000,AMTI 社製)6台を用いた.<BR>2)使用靴:<BR>ヒールがないヒール高0.0cm靴,ヒール高3.5cmのローヒール靴,ヒール高6.0cmの中ヒール靴,ヒール高8.5cmのハイヒール靴の4種を設定した(図1).3.5~8.5cmヒール靴のトップリフト(ヒール接地部)の形状を直径1cmの円形に加工して形状を同一とした.<BR>3)測定条件:<BR>裸足,およびヒール高0.0cm,3.5cm,6.0cm,8.5cmの靴着用し,各々4回歩行させた.全条件とも靴は裸足で使用した.測定に先立ち,被験者には各靴を着用して歩行練習を十分に行なわせ,歩行速度はComfortable Gaitにて行った.<BR>4)測定項目:<BR>4回の歩行のうち最も安定した代表値1回を用い,歩行中の右下肢立脚期を解析区間とした.右足関節関の関節角度について,踵接地時,立脚中期時,足趾離地時,最大背屈値,足関節可動範囲を各歩行の間で比較した.<BR>【結果】<BR> ヒールの高さが増加するにしたがい,立脚期全般にわたって足関節の底屈角度が増加し,背屈角度は減少することがわかった.また6.0~8.5cmのヒール高になると足関節可動範囲が減少し,標準偏差が大きくなることが観察された.<BR>【考察】<BR>足関節可動範囲が減少することについては,足関節は最も下方に位置する関節であり,上位関節による代償動作が出現したと考えられた.またデータのバラツキについては,被験者によってヒール靴による歩行の習熟度の差も影響しているものと思われた.
著者
石川 衛 岩本 久幸 近藤 優 森 美樹 宮本 康二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.627-630, 2017

<p>経肛門的直腸異物を2例経験したので報告する。症例1:62歳男性。受診2日前に肛門より異物挿入し,摘出困難を主訴に当院受診。腹部X線検査で骨盤内に円筒状異物を認め,腹部CTでは異物先端は直腸Rs付近に達しており外来での抜去困難なため,脊椎硬膜外麻酔下に手術を施行。手術直前,異物はすでに経肛門的に触診されない部位に移動していたため,開腹して用手的経肛門的に携帯用ガスボンベを除去した。症例2:26歳男性。直腸異物の摘出困難を主訴に当院受診。外来での摘出困難であったため,脊椎硬膜外麻酔下に緊急手術を施行。腹部を愛護的に圧迫しつつ経肛門的にバイブレーターを除去した。直腸異物の摘出にあたっては,なるべく低侵襲な治療が望まれるが,詳細な病歴聴取や画像診断により異物の形体も考慮した適切な治療法を選択する必要がある。</p>