著者
綽 宏二郎 芝山 道郎 神田 英司 板橋 直 坂西 研二 阿部 薫 木村 昭彦
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.81-89, 2016

<p>近年わが国では、突発的な豪雨が多発しており、傾斜畑における表面流出の発生頻度が高まっている。傾斜畑で発生する表面流出は、土壌中に含まれる肥料成分や重金属等を流域排水系へ流入させるため、自然生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。表面流出量の計測は、水位計などの計測機器を傾斜畑下端に設置して、直接的に流出量を計測する方法が一般的である。ところが、表面流出に伴い流出する作物残渣や土壌粒子などが計測機器周辺に堆積し、これによって生じる計測トラブルにより、取得したデータが信頼性に欠けることがあった。そこで、流出物の堆積による影響を受けない非接触的なセンシング手法として、自動で表面流出現象を動画撮影する装置を開発し、この装置を屋外の傾斜枠圃場に設置して観測実験を行った。撮影された動画に、流れの速度分布を調べる方法のひとつであるPIV 解析を適用した。PIV 解析には流れの目印(浮子)が必要であり、表面流出時に浮遊する作物残渣や土壌粒子等を浮子として利用した。解析の結果、それらの流速が推定され、表面流出量の時間的変化を把握する手がかりを得ることができた。</p>
著者
石黒 圭応 阿部 薫 近藤 優
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P2187, 2009

【目的】<BR>「身体の前進は,立脚側下肢の可動性に依存する.身体重量が足関節に載り,力は床に向かう.身体は全身の安定性を保ちながら,この力の方向を変えることで前進する.」1)このように歩行時の足関節は荷重された下向きの力を関節角度の変化で前向きの力に変換する.幅広い年齢層の女性に使用されているハイヒールは,そのヒール高により足関節に対して様々な影響を与えていると考えられる.本研究の目的は,ヒール高の違いによって歩行時の足関節の関節角度に与える影響を明らかにすることであった.<BR>【仮説】<BR> ヒールの高さが増加するにしたがって,踵接地時から足趾離地時(立脚期全般)にわたり,足関節の底屈角度が増加し,それに伴い足関節の可動範囲が減少するとした.<BR>【方法】<BR>1.対象<BR>インフォームドコンセントの得られた健常女性11名(年齢20.8±1.2歳,身長158.1±4.5cm,体重50.6±4.3kg,足長23.5~24.0cm)とした.被験者はいずれもハイヒール靴経験者であった.<BR>2.条件<BR>1)測定機器:<BR>赤外線カメラ9台を含む三次元動作解析装置(VICON MX,Oxford Metrics 社製),床反力計(OR6-6-2000,AMTI 社製)6台を用いた.<BR>2)使用靴:<BR>ヒールがないヒール高0.0cm靴,ヒール高3.5cmのローヒール靴,ヒール高6.0cmの中ヒール靴,ヒール高8.5cmのハイヒール靴の4種を設定した(図1).3.5~8.5cmヒール靴のトップリフト(ヒール接地部)の形状を直径1cmの円形に加工して形状を同一とした.<BR>3)測定条件:<BR>裸足,およびヒール高0.0cm,3.5cm,6.0cm,8.5cmの靴着用し,各々4回歩行させた.全条件とも靴は裸足で使用した.測定に先立ち,被験者には各靴を着用して歩行練習を十分に行なわせ,歩行速度はComfortable Gaitにて行った.<BR>4)測定項目:<BR>4回の歩行のうち最も安定した代表値1回を用い,歩行中の右下肢立脚期を解析区間とした.右足関節関の関節角度について,踵接地時,立脚中期時,足趾離地時,最大背屈値,足関節可動範囲を各歩行の間で比較した.<BR>【結果】<BR> ヒールの高さが増加するにしたがい,立脚期全般にわたって足関節の底屈角度が増加し,背屈角度は減少することがわかった.また6.0~8.5cmのヒール高になると足関節可動範囲が減少し,標準偏差が大きくなることが観察された.<BR>【考察】<BR>足関節可動範囲が減少することについては,足関節は最も下方に位置する関節であり,上位関節による代償動作が出現したと考えられた.またデータのバラツキについては,被験者によってヒール靴による歩行の習熟度の差も影響しているものと思われた.
著者
今井 弘一 武田 昭二 阿部 薫明 赤坂 司 宇尾 基弘 亘理 文夫
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, 2009-09-10

ES-D3 cells and mouse iPS (Induced Puripotent Stem ) cells were cultured by employing an embryonic stem cell differentiation technique using the Embryonic Stem Cell Test (EST). The differentiation rate into myocardinal cells was examined using SWCNT and MWCNT. The differentiation rate with MWCNT was not marked in either cell type, but was moderate with SWCNT. This discrepance may have been due to the difference in thickness between the two carbon nanotubes.
著者
水田 一枝 阿部 薫 尾崎 保夫
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.568-572, 1998-12-01
参考文献数
9
被引用文献数
3

パピルス, マリーゴールド, アシ, ペパーミント, ソルガム, インパチェンス, ケナフの7種類の有用植物を, 富栄養化した溜池を想定した人工汚水を流入させた水路で育て, 各植物による窒素, リンの浄化能力や, 日射量の変化が浄化に及ぼす影響をみた.これらの植物は窒素, リンの浄化能力があり, 特にパピルス, ケナフ, ソルガムは, 窒素濃度約2.5mgL^<-1>, リン濃度約0.5mgL^<-1>の人工汚水(1日, 1m^2当たり500L供給.滞留時間は12時間)中の窒素, リンを最高70〜90%除去した.パピルス, ケナフ, ソルガムの除去速度は窒素が1.17, 1.07, 0.80gm^<-2>d^<-1>, リンが0.21, 0.16, 0.12gm^<-2>d^<-1>であった.また浄化能力は日射量の影響を受け, 遮光処理によって浄化能力は顕著に低下したが, 7日程度の遮光期間では, 浄化能力は遮光解除の1〜3日後に元の80〜90%に回復した.
著者
児玉 哲郎 松本 武夫 高橋 健郎 西山 祥行 西村 光世 山下 真一 石塚 真示 林辺 晃 西脇 裕 阿部 薫
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.507-516, 1992-08-20
被引用文献数
7

過去19年間の杯細胞型肺腺癌切除例29例にっいて, 臨床病理学的に検討した.男性12例, 女性17例で, 発生年令は42才から78才, 平均63.8才であった.自覚症状発見は10例で, 喫煙歴は不明1例を除いて, 喫煙者14例, 非喫煙者14例であった.胸部X線写真及び肉眼所見により, 結節型19例と, びまん型10例とに分類された.原発部位では下葉原発が19例(66%)と多く, ことに右下葉原発は15例(52%)であった.手術は全摘1例, 二葉切除5例, 一葉切除22例, 区域切除1例であった.術後病理病期は, I期14例, IV期15例で, IV期はすべて肺内転移例で, びまん型では10例中9例がIV期であった.多発癌2例を除いた杯細胞型腺癌切除例27例の予後をみると, びまん型9例と結節型18例の5年生存率は各々85.2%と26.7%で, 有意差があった(p<0.01).細胞亜型別にはpure type17例とmixed type10例の5年生存率は各々65.9%と30.0%であったが, 有意差はなかった.杯細胞型腺癌27例と性, 年齢, 病期を一致させたクララ細胞型或いは, 気管支表上皮型腺癌切除例81例の5年生存率は各々57.2%と40.5%で, 杯細胞型腺癌の方が予後がやや良好であったが, 有意差はなかった.杯細胞型腺癌は特異な進展形式と細胞性格を示す腺癌の一亜型である.