- 著者
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近藤 章夫
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:13479555)
- 巻号頁・発行日
- vol.77, no.10, pp.649-674, 2004-09-01 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 41
- 被引用文献数
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本稿では,松下電器のテレビ事業部門を事例にして,国内生産の縮小に伴う工場間分業の再編成と地域的に形成されてきた外注連関の変容を検討した.松下電器テレビ事業部門の生産体制は大阪府にある茨木工場と栃木県にある宇都宮工場で担われてきた.長らく両工場は量産拠点として機能してきたが,1990年代に入ると海外生産の進展から国内生産は縮小することになり,両工場の生産機能が明確に分化することとなった.また外注連関も工場間分業の変化と密接に連動しながら変化が生じている.外注連関は茨木工場と宇都宮工場とでおのおの形成されてきた.このことは,両工場の立地展開と密接に関連しながら協力企業が地域的に組織化されてきたことを意味した.しかし,国内生産の減少に伴い外注取引量が減少して域内の外注連関は縮小する一方で,協力企業の選別と淘汰が進み外注連関が広域化するなど,これまで地域的に形成されてきた外注連関は変容しつつある.