著者
折橋 伸哉
出版者
産業学会
雑誌
産業学会研究年報 (ISSN:09187162)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.33, pp.39-53, 2018 (Released:2019-04-01)
参考文献数
8

The Tohoku region (Northeast region of Japan including six prefectures such as Iwate, Miyagi, and so on) has suffered from deindustrialization which has caused its population to decrease. In order to overcome this situation, high expectations for the automotive industry have been raised in the Tohoku region, since the last decade. For the last several years, automotive production in the region has exceeded five hundred thousand vehicles per year, thanks to their favorable sales. However, an overview of the current status of its production model’s supply chain, a certain amount of added value has been generated outside of the region, including Mikawa area where Toyota has its headquarters and its major suppliers are located. Thus, the economic ripple effect from the automotive industry has fallen short of local expectations.Regarding the conventional automotive industry, in order to raise the economic ripple effect from the automotive industry, there are many things to do for both parts procurement and human resource development. Researchers have pointed out these things many times, however the Tohoku region have not overcome it yet.The Automotive industry is now facing its paradigm change. In order to increase its presence in the next generation automotive business, this paper points out one of the possible measures for the Tohoku region. That is, making close tie-ups between universities and their researchers in the region and increased linkages local suppliers.
著者
折橋 伸哉
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.279-304, 2003

<p>タイの自動車産業は、1997年の通貨危機(アジア経済危機)を契機に、それまでの高成長から一転、まさに存亡の危機に立たされた。タイでは生き残りを掛けて各社が必死の対応を行った。それを概観すると共に、最近のタイ自動車産業の状況と課題を検証する。</p>
著者
李 兆華 傅 学保 折橋 伸哉 藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.171-208, 2006-03-25 (Released:2018-03-11)

台湾の自動車産業は、完成車の対中国輸出などが制限される、国内市場が小さい、国内での競争が厳しくシェア変動が大きい、1社当たりの生産量が少ないなど、厳しい制約条件の中での操業を強いられてきた。ところが、その台湾の生産拠点で、非常に高度なものづくり能力の構築が観察されている。例えばトヨタ系の国瑞汽車は、数あるトヨタの海外生産拠点の中においても、トヨタ方式(TPS)が最もよく浸透し、ものづくり能力や改善能力のみならず、進化能力(能力構築能力)が高いことで知られている。しかしながら、台湾拠点の売上高は欧米など海外の主要生産拠点に比べれば小さく、その意味ではトヨタ全体にとって戦略的に最重要な海外拠点とは言い難い。とすれば、同社のグローバル戦略の中では比較的目立たない存在であったこの台湾企業が、創業から20年で、ここまでの能力構築を行うことができた理由と経緯は何か。日本からのトヨタシステムの導入のみならず、同社の進化能力を示唆する国瑞汽車オリジナルの工夫について紹介し、今後の課題についても言及する。
著者
馬場 敏幸 苑 志佳 相澤 龍彦 河村 哲二 近藤 章夫 兼村 智也 折橋 伸哉 佐藤 隆広 田中 美和
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今年度はブラジルサンパウロ、ジョインビレ、カシアスドスルを訪問した。ジョインビレとカシアスドスルはこれまでの調査で判明したブラジルの金型クラスターである。ジョインビレはドイツ系移民による工業都市であり、ブラジル第一の金型集積地である。ブラジル金型工業会もジョインビレに位置する。ジョインビレの金型技術は大手配管メーカーと大手家電メーカーの部品成形およびそれらの成形のための金型作成を核として形成されていった。やがて蓄積された技術をもとにして自動車など他産業向けの金型作成も盛んに行われるようになった。ジョインビレでは金型メーカーおよび中核企業である家電メーカーの金型部門を訪問した。金型はドイツ・マイスター風の金型製作手法がとられ、製作される金型品質はグローバルレベルであった。カシアスドスルはプラスチック射出成形が盛んなイタリア系の移民都市である。金型製作はイタリアカロッチェリア風の金型手法がとられ、製作される金型品質は高かった。今年度の訪問により、これまでの企業のグローバル化および企業の成立・調達・技術系製などの経営学的・工学的知見に加え、ブラジル金型産業クラスターの成立という経済地理的観点からも大きな知見が得られた。特に興味深かった点は、金型クラスターごとに異なる形成経緯である。すなわち、コスモポリタン的な形成がなされたサンパウロABC地域は1950年代以降の自動車産業振興に伴って金型クラスターはコスモポリタン的に形成されたが、ジョインビレ地域はドイツ系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成され、カシアスドスル地域はイタリア系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成された。ブラジルの金型産業の形成・発展に「移民」のキーワードが重要であるとの点が明らかになった。これはアジア地域の地場民族による金型産業・クラスター形成とは異なるタイプの金型産業・クラスター形成であり、大きな発見であった。