- 著者
-
遠藤 教子
福迫 陽子
物井 寿子
辰巳 格
熊井 和子
河村 満
廣瀬 肇
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.2, pp.129-136, 1986-04-25 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 10
一側性大脳半球病変における麻痺性 (運動障害性) 構音障害患者26例 (左大脳半球病変群14例, 右大脳半球病変群12例) および, 正常者13例の発話サンプルについて, 5名の評定者が, 聴覚印象に基づき評価した結果, 以下の知見が得られた.1) 今回対象とした麻痺性構音障害群における評価成績は, 正常群とは明らかに異なっており, 話しことばの障害があると判定されたが, 障害の程度は全般に軽度であった.2) 障害の特徴は, 仮性球麻痺と類似していたが, 重症度など異なる面もみられた.3) 障害側を比較すると, 概して左大脳半球病変群の方が重度の障害を示した.4) 病変の大きさと話しことばの重症度との関係は, 明らかではなかった.5) 従来, 大脳半球病変による麻痺性構音障害は, 病変が両側性の場合に出現するとされていたが, 今回の結果は一側性病変でも出現し得るということを示唆するものであった.