著者
北村 達也 正木 信夫 島田 育廣 藤本 一郎 赤土 裕子 本多 清志
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.379-382, 2006
参考文献数
8
被引用文献数
13

MRI装置の普及と高磁場化に伴い,撮像時の騒音は無視できない問題となっている。しかし,装置内の騒音測定には磁性体を含む一般的な装置を利用することができない。また,強磁場下で利用可能な測定装置を使っても,その一部に導電体が含まれていればRFパルス(電磁波)に起因するノイズが混入する可能性がある。本研究では非導電体のみで構成された光マイクロホンを用いてこの問題を解決し,1.5TのMRI装置を対象にしてSpin-echo T1強調,Fast spin-echo T2強調,RF-FAST,及びSingle-shot EPIの4種の撮像シーケンスの騒音を測定した。その結果,これらの騒音の音圧レベルはそれぞれ112.6dB,112.5dB,107.8dB,110.6dBであった。
著者
西本 博則 島田 育廣 藤本 一郎 正木 信夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.99, pp.17-22, 2009-06-17
被引用文献数
2

声帯振動や歯茎ふるえ音等の高速で振動する調音器官の観測のための超高時間分解能MRI movieの撮像法を提案する.本手法では光マイクロホンを用いてMRI撮像中の被験者の音声を,さらに空芯ソレノイドコイルを用いてMRIスキャナーの傾斜磁場の磁場変動を両方同時収録することで両者の正確な時間的関係を求め,動画の各フレームを作成している.さらにMRIスキャナーの高性能化によりデータ収録時間の短縮が可能になり,MRI movieの高時間分解能化を実現した.本稿では,振動子からなるファントムによる実証実験を行い,最大6384 fpsのフレームレートの画像が得られた.さらに歯茎ふるえ音発話時の舌の振動の撮像を行い,舌の振動の様子が確認された.
著者
正木 信夫 辰巳 格 笹沼 澄子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.186-194, 1990
被引用文献数
2

発語失行症患者の発語における, 調音器官と発声器官の協調運動について検討した.純粋な症例1例と健常対照群の, [ai] および [amV] (V=a, e, i) で始まる平板型・尾高型アクセントの単語発話を発話試料とした. [ai] で始まる単語については, アクセント指令と第2拍 [i] の調音指令を, それぞれ基本周波数とフォルマント周波数から, 日本語の単語アクセント生成および調音運動生成の機能的モデルに基づいて推定した.発語失行症患者では, 発話速度が遅い場合にアクセント指令の調音指令に対する遅れが健常者に比べ著しく大きかった.また, [amV] で始まる単語の発話では, アクセント指令の, [m] の唇閉鎖時点に対する遅れが健常者に比べて大きかった.従来, 発語失行症患者の発話における調音器官同士の協調運動に異常が起こることは報告されてきた.しかし, 本研究の結果では協調運動の異常は調音器官同士ばかりでなく, 調音器官と発声器官の間にも起こりうることが示された.
著者
福迫 陽子 遠藤 教子 紺野 加奈江 長谷川 和子 辰巳 格 正木 信夫 河村 満 塩田 純一 廣瀬 肇
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.209-217, 1990
被引用文献数
2 2

脳血管障害後の痙性麻痺性構音障害患者のうち, 2ヵ月以上言語訓練をうけた24例 (平均年齢61.6歳) の言語訓練後の話しことばの変化を聴覚印象法 (日本音声言語医学会検査法検討委員会による基準) を用いて評価し, 以下の結果を得た.<BR>(1) 0.5以上の評価点の低下 (改善) が認められた上位7項目は, 順に「明瞭度」「母音の誤り」「子音の誤り」「異常度」「発話の程度―遅い」「段々小さくなる」「抑揚に乏しい」であった.<BR>(2) 重症度 (異常度+明瞭度の和) は24例中16例, 約7割に何らかの改善が認められた.<BR>(3) 一方, 「音・音節がバラバラに聞こえる」「努力性」「速さの程度―遅い」などでは評価点の上昇 (悪化) も認められた.<BR>(4) 症状の変化は症例によって多様であった.
著者
横山 徹 三木 信弘 小川 吉彦 正木 信夫 島田 育廣 藤木 一郎 中村 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.557, pp.57-64, 1999-01-22
被引用文献数
2

我々は, 声道の3次元形状を考慮した音声生成モデルの構築を目的として, 断層画像群を基に3次元声道形状のワイヤフレームモデルを構成する方法を提案した.そして声道形状を1次元縦続音響管モデルに近似することで声道伝達特性を推定した.しかし上記の変換の過程には多くの不確定な要素が含まれており, これらが伝達特性にどのように影響するかについての検討は成されていない.本稿では, その中でも特に音響的に影響すると考えられる要素として, 音波伝搬経路のずれ, およびセクション数の違い, および口唇形状を考慮することによって, 主要フォルマント周波数にどのような影響が出るかについて検討を行う.