著者
齋藤 いずみ 遠藤 紀美恵 笹木 葉子 坂梨 薫 成田 伸 水流 聡子
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

目的:分娩時の看護人員配置の現状を把握し、根拠に基づく安全と質の保証された看護人員配置にするために、以下の4病院の分娩基礎データを収集した。地方の複数病院の分娩を集約化した公立病院の産科、専門特化した大規模産科病院2施設、混合科が進む産科の計4病院において、2003年1年間の全分娩事例約2500事例を調査した。文部科学省疫学研究の倫理指針に基づき実施した。方法:カルテ、分娩記録、助産録などからデータべースを作成し、月別・曜日別分娩数、曜日別入院数、曜日別異常分娩数、曜日別母体搬送数、曜日別緊急帝王切開数、曜日別児の体重別出生数、曜日別妊娠集数別出生数など、24時間分布としては分娩数、入院数、緊急帝王切開数、母体搬送数などを調査した。結果:月別分娩数は特に有意な差は見られなかった。曜日別分析:曜日別分娩数はハッピーマンデイ政策などにより、週の中盤に分娩が集中し、有意に人手の少ない週末は少なかった。妊娠週数の早い32週以前の分娩、出生体重1500g未満の異常分娩では、母体と児の安全のために週末に意思決定するためか金曜日に分娩が有意に高かった。特に母体搬送、緊急帝王切開では金曜日に高かった。曜日別時刻別分析では金曜日の午後から夕方までの時間帯に緊急帝王切開や分娩のリスクが高い分娩が多いことが明らかになった。24時間分布別分析:時刻別分析では、管理分娩の傾向が高い施設では日勤帯の分娩が多く、自然分娩が多く介入の少ない施設では24時間に分布していることが、統計的にも明らかになった。緊急帝王切開は人手のいない夜間帯にも少なくない現状である。考察及び課題科学的根拠に基づく分娩時の看護人員配置のデータとして非常に有益と思われる。また金曜日の午後から緊急性の高い児の出生や帝王切開が行われることは産科のみならず、NICUにも本情報を共有することが重要である。NICU の実態調査も必要性が高いと思われる。
著者
島本 由紀子 山本 弘子 今井 純好 遠藤 紀雄 亀谷 徹
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.432-440, 1988-08-31

1971年から1984年までの13年間に当院で入院加療した小児悪性腫瘍125例(1部121例)について,種類,年齢別患者数,年度別患者数,5年生存率,ALL及びnon-Hodgkinリンパ腫については予後解析を行なった。ALLは,悪性腫瘍の41%,AMLは22%を占め,急性白血病で全悪性腫瘍の63%を占めた。固形腫瘍の中では,神経芽細胞腫の頻度が最も高く,全腫瘍の16%を占めた。神経芽細胞腫は副腎原発のもの,初発時年齢1歳以上のものは極めて予後不良であり,各々5年生存率は12.5%,15%であった。non-Hodgkinリンパ腫ではmodified LSA_2-L_2療法が極めて有効な治療法と考えられた。ALLにおいては予防的頭蓋背椎放射線照射群が他の治療群に比して生存率,骨髄再発率,中枢神経系浸潤率においても有効と考えられた。