著者
岡村 健志 筒井 啓造 熊谷 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.23, pp.717-724, 2006
被引用文献数
2

高知県においては安全島がなく道路上に直接戦を引いたノーガード電停が多く存在し, 日常的に路面電車利用者やドライバーが危険を感じている. このノーガード電停においてIT技術を用いた安全対策を行なった.この対策によって以下のような結果が得られた1. ドライバーの運転挙動は夜間において大幅に改善された2.モニタードライバーのアンケート調査からドライバーの安全運転意識の改善が見られた3.利用者が安心感を持って乗降できるようになった4.アンケートの結果利用者のほぼ全員から本対策の継続を望む声がよせられた
著者
岡村 健志 那須 清吾 熊谷 靖彦
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
no.6, pp.159-167, 2009

地方部における道路基盤や公共交通などのモビリティ環境は,都市部に比較すると十分に整備されておらず,さらに事業主体の財務状況が芳しくないことなどから,インフラ整備などの抜本的な対策は満足に進まない.このようななかで地方部の道路交通問題に対して,抜本的対策に比べ低予算で実行可能なITSは,実践的な対策として注目を浴びている.本稿では,高知県下で実施された「トンネル歩行者問題」と「ノーガード電停問題」をケーススタディに,それぞれの固有の道路交通問題を構造化し,ロジックモデルによりITSの効果構造を明らかにするとともに,ITSの効果を紹介する.また,それらを踏まえ,地域固有の道路交通問題を解決する手段として,地方部におけるITSの位置づけと重要性について考察する.
著者
朴 啓彰 熊谷 靖彦 永原 三博 片岡 源宗 北川 博巳
出版者
高知工科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

一般ドライバーと同質サンプリングと考えられる健常中高年の脳ドック検診者2193名(男性1196名,女性997名;平均年齢53.84±9.67 歳)を対象として、過去10年間における交通事故歴に関するアンケート調査を行い、頭部MRI所見の大脳白質病変と交通事故との関連性について多変量ロジスティック解析を行った。運転走行中の衝突事故など大きな事故に対して白質病変は、グレードに応じて有意の高い関連性を示した(年齢調整オッズ比は2.937:95%信頼区間1.260-6.847; P=0.013)。白質病変は、軽度でも大脳半球両側に存在すれば、視覚情報処理能力や注意機能の反応速度が有意に低下することを既に報告しているが、白質病変によるこれらの高次脳機能低下が、白質病変ドライバーと交通事故との因果関係を説明するものと推察された。因って、脳ドック受診者1150名(男性642 名、女性508 名、平均年齢52.1±8.9歳)に対して、警察庁方式CRT 運転適性検査におけるアクセル・ブレーキ反応検査結果と白質病変との関連性を調べた。アクセル・ブレーキ検査は、選択的反応動作の速さ、反応むら(変動率)、反応動作の正確さ(見落とし率)を測定する検査である。白質病変のグレードを説明変数に、見落とし率・変動率の高低を目的変数にして、多変量ロジスティック解析を行うと、見落とし率では、オッズ比1. 530(95%信頼区間;1.094-2.140、P=0.013)であり、変動率では、オッズ比1.348(95%信頼区;0.991-1.834、P=0.013)となった。安全運転に必要と考えられる認知判断機能の不正確さと反応むらに白質病変が有意に影響することが、交通事故の発生機序の一つとして想定された。頭部MRI で定量評価される白質病変グレードに応じた安全運転対策の可能性が示唆された。