著者
杉本 希映 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.289-299, 2006-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
32
被引用文献数
9 7

本研究では,「居場所」の心理的機能の構造とその発達的変化について検討した。「居場所」の心理的機能の構造を分析するために, 自由記述により得られた居場所の選択理由と先行研究を検討して作成した尺度を用いて, 小・中・高校生を対象に調査を行った。その結果,「居場所」の心理的機能には, 「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」の6因子があることが明らかとなった。「居場所」を他者の存在により,「自分ひとりの居場所」「家族のいる居場所」「家族以外の人のいる居場所」に分類した結果, 小学生では「家族のいる居場所」, 中・高校生では「自分ひとりの居場所」が多いことが明らかとなり, 発達段階により選択される「居場所」が異なってくることが示された。この3分類により心理的機能の比較分析を行った結果, それぞれの「居場所」の固有性が明らかとなった。
著者
小野 雄大 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.438-452, 2015-12-30 (Released:2016-01-28)
参考文献数
30
被引用文献数
6 5

本研究の目的は, 中学校と高校の部活動における先輩後輩関係の構造を明らかにし, また学年や性別, 部活動のタイプやレベルによって先輩後輩関係にどのような違いが生じているのか, さらに先輩後輩関係が, 部活動の活動内容や特徴によってどの程度予測されるのか明らかにすることであった。そのため, 全国の中学生と高校生711名を対象に質問紙調査を実施した。その結果, 中学生・高校生ともに1年生が最も先輩後輩関係を感じやすい立場にあり, 中学生では男子よりも女子の方が先輩後輩関係を厳しく捉える傾向にあることが明らかになった。また, 部活動のレベルやタイプ別の検討では, 競技・コンクール等で高いレベルで活躍する部活動や, 文化部よりも運動部において, 先輩後輩関係が明確になることが明らかになった。さらに, 部活動の方針や性格等が, 先輩後輩関係の各側面を高く予測することが明らかになった。
著者
小野 雄大 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.438-452, 2015
被引用文献数
5

本研究の目的は, 中学校と高校の部活動における先輩後輩関係の構造を明らかにし, また学年や性別, 部活動のタイプやレベルによって先輩後輩関係にどのような違いが生じているのか, さらに先輩後輩関係が, 部活動の活動内容や特徴によってどの程度予測されるのか明らかにすることであった。そのため, 全国の中学生と高校生711名を対象に質問紙調査を実施した。その結果, 中学生・高校生ともに1年生が最も先輩後輩関係を感じやすい立場にあり, 中学生では男子よりも女子の方が先輩後輩関係を厳しく捉える傾向にあることが明らかになった。また, 部活動のレベルやタイプ別の検討では, 競技・コンクール等で高いレベルで活躍する部活動や, 文化部よりも運動部において, 先輩後輩関係が明確になることが明らかになった。さらに, 部活動の方針や性格等が, 先輩後輩関係の各側面を高く予測することが明らかになった。
著者
杉本 希映 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.289-299, 2006-09-30
被引用文献数
2

本研究では,「居場所」の心理的機能の構造とその発達的変化について検討した。「居場所」の心理的機能の構造を分析するために,自由記述により得られた居場所の選択理由と先行研究を検討して作成した尺度を用いて,小・中・高校生を対象に調査を行った。その結果,「居場所」の心理的機能には,「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」の6因子があることが明らかとなった。「居場所」を他者の存在により,「自分ひとりの居場所」「家族のいる居場所」「家族以外の人のいる居場所」に分類した結果,小学生では「家族のいる居場所」,中・高校生では「自分ひとりの居場所」が多いことが明らかとなり,発達段階により選択される「居場所」が異なってくることが示された。この3分類により心理的機能の比較分析を行った結果,それぞれの「居場所」の固有性が明らかとなった。
著者
中井 大介 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.453-463, 2006-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
34
被引用文献数
20 3

本研究では, 中学生の教師に対する信頼感の内容を尺度を作成する中で明らかにし, 中学生の教師に対する信頼感とその規定要因について検討した。中学生345名を対象に調査を実施した。分析1では, 生徒の教師に対する信頼感尺度を作成し, 信頼性と妥当性を検討した。その結果,(1) 生徒の教師に対する信頼感尺度には「安心感」,「不信」,「正当性」の3つの下位尺度があること,(2)「安心感」,「不信」,「正当性」については, 学年によって有意に得点が異なることが明らかになった。分析2では, 生徒の教師に対する信頼感とその規定要因について検討した。その結果,(1) 各学年とも「基本的信頼感」「保護者の信頼感」が「不信」に影響しており, 生徒の教師に対する信頼感には家庭の要因も関連すること,(2)「安心感」「正当性」においては, 各学年とも共通して「ソーシャル・サポート」が影響を与えており, 生徒の教師に対する信頼感には教師からのソーシャル・サポートが重要な要因であること,(3)「不信」には,「STT尺度」のポジティブな2因子である「安心感」「正当性」と比べ, より多くの要因が関連していること, などが明らかになった。
著者
中井 大介 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.57-68, 2008-05-10 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
18

本研究の目的は,学校教育における教師と生徒の信頼関係の重要性と,思春期における特定の他者との信頼関係の重要性を踏まえ,中学生の教師に対する信頼感と学校適応感との関連を実証的に検討することであった。中学生457名を対象に調査を実施し,「生徒の教師に対する信頼感尺度」と「学校生活適応感尺度」との関連を検討した。その結果,(1)生徒の教師に対する信頼感は,生徒の「教師関係」における適応だけではなく,「学習意欲」「進路意識」「規則への態度」「特別活動への態度」といった,その他の学校適応感の側面にも影響を及ぼすこと,(2)各学年によって,生徒の教師に対する信頼感が各学校適応感に与える影響が異なり,1年生では教師に対する「安心感」が一貫して生徒の学校適応感に影響を与えていること,(3)一方,2年生,3年生では「安心感」に加えて,「不信」や「役割遂行評価」が生徒の学校適応感に影響を与えるようになること,(4)各学年とも,生徒の教師に対する信頼感の中でも,教師に対する「安心感」が最も多くの学校適応感に影響を及ぼしていること,(5)「信頼型」「役割優位型」「不信優位型」「アンビバレント型」といった生徒の教師に対する信頼感の類型によって生徒の学校適応懸か異なること,といった点が示唆された。
著者
松永 恵 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本学校保健学会
雑誌
学校保健研究 (ISSN:03869598)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.226-234, 2022-10-20 (Released:2022-11-09)
参考文献数
31

Background: Yogo teachers (school nurses) face difficulties in dealing with children's unidentified complaints. In general, the Yogo teachers support children in aspects of identifying the causes and accepting children in order to encourage them to resolve their problems independently. However, Yogo teachers often feel difficulties in listening to children and paying attention to their signs of danger. In particular, when Yogo teachers deal with children's unidentified complaints, they also feel difficulties in identifying the causes and returning them to the classroom. Objective: The purpose of study was to elucidate the difficulties that Yogo teachers faced in dealing with children's unidentified complaints. Methods: A 20-item questionnaire was designed based on data from interviews with Yogo teachers. Seven hundred seventy Yogo teachers were surveyed. Data collected from 304 Yogo teachers were conducted on exploratory, confirmatory factor analyses, and compared for attributes. Results: The results of the factor analysis revealed two potential factors for the difficulties of Yogo teachers in dealing with children's unidentified complaints. One was that they felt unable to help children to resolve their problems independently, and the other was that they felt unable to help children aware of the cause for the unidentified complaint. Confirmatory factor analysis revealed that the goodness-of-fit of this model was generally acceptable (GFI=.95, AGFI=.92, CFI=.96, RMSEA=.08). It was found that younger Yogo teachers with less age or experience were likely to face difficulties in supporting children. Conclusion: The results suggest that Yogo teachers felt more difficulty in aspects of accepting children in order to encourage them to resolve problems independently rather than identifying the causes of unidentified complaints. There is a need to investigate the practical knowledge of experienced Yogo teachers in supporting children.
著者
中井 大介 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-61, 2009-03-30 (Released:2012-02-22)
参考文献数
26
被引用文献数
8 4

本研究では, 中学生の教師に対する信頼感の規定要因を検討するため, 中学生の過去の教師との関わり経験と教師に対する信頼感との関連を検討した。中学生374名を対象に調査を実施した。その結果, (1) 生徒の教師に対する信頼感のポジティブな側面である「安心感」「正当性」と, 「教師からの受容経験」「教師との親密な関わり経験」が正の関連を示すこと, (2) 生徒の教師に対する信頼感のネガティブな側面である「不信」と, 「教師との傷つき経験」が正の関連, 「教師からの受容経験」が負の関連を示すことが明らかになった。また, 「教師との関わり経験尺度」の下位尺度得点で調査対象者を類型化し, 教師に対する信頼感との関連を検討したところ, (3) ポジティブな経験をしている群は教師に対する信頼感が高いこと, (4) ネガティブな経験のみしている群, ポジティブな経験・ネガティブな経験共に少ない群は教師に対する信頼感が低いことが明らかになった。以上, 本研究の結果から, 生徒の教師に対する信頼感には, 従来指摘されてきた教師の信頼性の側面だけではなく, 生徒側の個人的な心理的要因も関連している可能性が明らかになった。
著者
小野 雄大 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese Journal of Educational Psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.438-452, 2015
被引用文献数
5

本研究の目的は, 中学校と高校の部活動における先輩後輩関係の構造を明らかにし, また学年や性別, 部活動のタイプやレベルによって先輩後輩関係にどのような違いが生じているのか, さらに先輩後輩関係が, 部活動の活動内容や特徴によってどの程度予測されるのか明らかにすることであった。そのため, 全国の中学生と高校生711名を対象に質問紙調査を実施した。その結果, 中学生・高校生ともに1年生が最も先輩後輩関係を感じやすい立場にあり, 中学生では男子よりも女子の方が先輩後輩関係を厳しく捉える傾向にあることが明らかになった。また, 部活動のレベルやタイプ別の検討では, 競技・コンクール等で高いレベルで活躍する部活動や, 文化部よりも運動部において, 先輩後輩関係が明確になることが明らかになった。さらに, 部活動の方針や性格等が, 先輩後輩関係の各側面を高く予測することが明らかになった。
著者
中井 大介 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.57-68, 2008
被引用文献数
1

本研究の目的は,学校教育における教師と生徒の信頼関係の重要性と,思春期における特定の他者との信頼関係の重要性を踏まえ,中学生の教師に対する信頼感と学校適応感との関連を実証的に検討することであった。中学生457名を対象に調査を実施し,「生徒の教師に対する信頼感尺度」と「学校生活適応感尺度」との関連を検討した。その結果,(1)生徒の教師に対する信頼感は,生徒の「教師関係」における適応だけではなく,「学習意欲」「進路意識」「規則への態度」「特別活動への態度」といった,その他の学校適応感の側面にも影響を及ぼすこと,(2)各学年によって,生徒の教師に対する信頼感が各学校適応感に与える影響が異なり,1年生では教師に対する「安心感」が一貫して生徒の学校適応感に影響を与えていること,(3)一方,2年生,3年生では「安心感」に加えて,「不信」や「役割遂行評価」が生徒の学校適応感に影響を与えるようになること,(4)各学年とも,生徒の教師に対する信頼感の中でも,教師に対する「安心感」が最も多くの学校適応感に影響を及ぼしていること,(5)「信頼型」「役割優位型」「不信優位型」「アンビバレント型」といった生徒の教師に対する信頼感の類型によって生徒の学校適応懸か異なること,といった点が示唆された。
著者
江角 周子 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.268-280, 2016 (Released:2016-08-08)
参考文献数
25
被引用文献数
3

本研究の目的は, 中学生を対象に聴くことを学ぶ研修を実施し, 研修を通した中学生の聴く行動の変容プロセスを認知面の変化の点から明らかにすることであった。中学1年生から3年生計30名を対象に1回60分の研修を4回実施し, 全てに参加した14名を対象にインタビュー調査を行い, 行動変容プロセスについて認知面の変化に焦点をあて, M-GTAにより分析を行った。分析の結果, まず, 認知面の変化と行動変容を合わせて11概念と6カテゴリーが得られた。つぎに, 聴くことに関する行動変容プロセスを明らかにするため, 各カテゴリーと概念間の関連を検討した結果, 研修における聴いてもらう体験, 聴く体験, 観察体験のそれぞれで異なる行動変容の仮説プロセスが見出された。なかでも, 聴いてもらう体験は他の2つの体験に比べより多くの気づきが得られることが示された。さらに, 聴く行動の変容により, 更なる認知面の変化がもたらされ般化が維持されること, 他者との積極的な関わりが促進されることが示された。
著者
江角 周子 庄司 一子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.268-280, 2016
被引用文献数
3

本研究の目的は, 中学生を対象に聴くことを学ぶ研修を実施し, 研修を通した中学生の聴く行動の変容プロセスを認知面の変化の点から明らかにすることであった。中学1年生から3年生計30名を対象に1回60分の研修を4回実施し, 全てに参加した14名を対象にインタビュー調査を行い, 行動変容プロセスについて認知面の変化に焦点をあて, M-GTAにより分析を行った。分析の結果, まず, 認知面の変化と行動変容を合わせて11概念と6カテゴリーが得られた。つぎに, 聴くことに関する行動変容プロセスを明らかにするため, 各カテゴリーと概念間の関連を検討した結果, 研修における聴いてもらう体験, 聴く体験, 観察体験のそれぞれで異なる行動変容の仮説プロセスが見出された。なかでも, 聴いてもらう体験は他の2つの体験に比べより多くの気づきが得られることが示された。さらに, 聴く行動の変容により, 更なる認知面の変化がもたらされ般化が維持されること, 他者との積極的な関わりが促進されることが示された。
著者
庄司 一子
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2010-2012