著者
眞子 裕友 小針 統 久米 元 兵藤 不二夫 野口 真希 一宮 睦雄 小森田 智大 河邊 玲 中村 乙水 米山 和良 土田 洋之
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.18-24, 2022-02-25 (Released:2022-03-06)
参考文献数
38

The prey of whale sharks (Rhincodon typus) visiting the northern Satsunan area (western North Pacific Ocean) was investigated using microscopic and metabarcoding analysis of their faecal pellets. The stable isotope ratios of the dorsal fin and faecal pellets from the whale sharks were compared with those of their potential prey (plankton and fish larvae). Microscopic analysis identified protozoans (foraminifera) and metazoans (copepods, ostracods, and amphipods) but unclassified material was predominant in their faecal pellets. Metabarcoding analysis detected metazoans in the faecal pellets, represented by copepods, ostracods, amphipods, hydrozoans, and tunicates. Comparison of stable isotope ratios (δ13C and δ15N) from their dorsal fin and faecal pellets with those of zooplankton in the northern Satsunan area showed different feeding histories for the whale sharks appearing in the northern Satsunan area.
著者
和田 英太郎 野口 真希
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.331-342, 2017-09-15 (Released:2017-09-15)
参考文献数
36
被引用文献数
2 3

我が国で著しい進展のあったδ15N, δ13Cを用いた窒素・炭素安定同位体精密測定法(SI法)による食物網解析法の進捗についてまとめた。特に,食物連鎖に見出された,窒素・炭素同位体効果に関する二つの経験則に注目し,近年のアミノ酸レベルのδ15Nに関する成果を考慮に入れて,その成立の境界条件を考察した。経験則1:栄養段階(TL)が1段階上がるごとに3.4±1.1‰高くなる事が過去の研究で示されている。この経験則は動物の筋肉タンパクについて得られているが,±1.1‰の変動について本稿で考察した。経験則2:海洋と陸域の代表的な食物連鎖について,窒素・炭素同位体効果の比(Δδ15N/Δδ13C)が動物の種類に関わらず,ほぼ一定であることが示唆されている。一般的に,食物連鎖に沿ってδ15Nはδ13Cと統計的に有意な回帰直線の関係を示す。この関係の成り立ちの可能性について代謝系の共通性から考察した。
著者
林 芙美 野口 真希 宇野 薫 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.24-36, 2020-02-01 (Released:2020-03-19)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

【目的】妊婦を対象に,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度と栄養・食物摂取状況との関連を検討し,さらに食知識,食態度,食行動,周囲のサポート等との関連を把握すること。【方法】2015年1~3月,群馬県T市S病院にて妊婦健診・母親学級に訪れた妊婦(11~20週)に研究参加を呼びかけ,141名から自記式質問紙及び簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)に回答を得た。身長,妊娠前体重,調査時体重はカルテより把握した。最終的に118名を分析対象者とし,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度別に3群(1日2回以上,1日1回,1日1回未満)間で,年齢,妊娠期区分,妊娠回数,世帯構成,暮らし向きを調整した共分散分析を用いて栄養・食物摂取状況を比較した。関連要因の検討には,多重ロジスティック回帰分析を用いた。【結果】主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度が高い者ほど,いも類,野菜類,肉類の摂取量が多かった(p for trend<0.05)。1日1回未満群に比べて,1日2回以上群は1食の量とバランスの知識があり,調理が好きで大切だと感じており,食事を整える自信があり,欠食がなく,家族との朝食共食がほぼ毎日で,専門的な学習の経験者が多かった。また,1日1回群でも食事を整える自信がある者が多かった。【結論】主食・主菜・副菜がそろう食事の実現には,適切な食知識や食事づくりに対する前向きな姿勢が重要であると示唆された。
著者
和田 英太郎 野口 真希
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.331-342, 2017
被引用文献数
3

<p>我が国で著しい進展のあったδ<sup>15</sup>N, δ<sup>13</sup>Cを用いた窒素・炭素安定同位体精密測定法(SI法)による食物網解析法の進捗についてまとめた。特に,食物連鎖に見出された,窒素・炭素同位体効果に関する二つの経験則に注目し,近年のアミノ酸レベルのδ<sup>15</sup>Nに関する成果を考慮に入れて,その成立の境界条件を考察した。経験則1:栄養段階(TL)が1段階上がるごとに3.4±1.1‰高くなる事が過去の研究で示されている。この経験則は動物の筋肉タンパクについて得られているが,±1.1‰の変動について本稿で考察した。経験則2:海洋と陸域の代表的な食物連鎖について,窒素・炭素同位体効果の比(Δδ<sup>15</sup>N/Δδ<sup>13</sup>C)が動物の種類に関わらず,ほぼ一定であることが示唆されている。一般的に,食物連鎖に沿ってδ<sup>15</sup>Nはδ<sup>13</sup>Cと統計的に有意な回帰直線の関係を示す。この関係の成り立ちの可能性について代謝系の共通性から考察した。</p>