著者
眞子 裕友 小針 統 久米 元 兵藤 不二夫 野口 真希 一宮 睦雄 小森田 智大 河邊 玲 中村 乙水 米山 和良 土田 洋之
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.18-24, 2022-02-25 (Released:2022-03-06)
参考文献数
38

The prey of whale sharks (Rhincodon typus) visiting the northern Satsunan area (western North Pacific Ocean) was investigated using microscopic and metabarcoding analysis of their faecal pellets. The stable isotope ratios of the dorsal fin and faecal pellets from the whale sharks were compared with those of their potential prey (plankton and fish larvae). Microscopic analysis identified protozoans (foraminifera) and metazoans (copepods, ostracods, and amphipods) but unclassified material was predominant in their faecal pellets. Metabarcoding analysis detected metazoans in the faecal pellets, represented by copepods, ostracods, amphipods, hydrozoans, and tunicates. Comparison of stable isotope ratios (δ13C and δ15N) from their dorsal fin and faecal pellets with those of zooplankton in the northern Satsunan area showed different feeding histories for the whale sharks appearing in the northern Satsunan area.
著者
林 竜馬 兵藤 不二夫 占部 城太郎 高原 光
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.5-17, 2012-06-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
53

鉛-210とセシウム-137法による高精度の年代決定が行なわれた琵琶湖湖底堆積物の花粉分析によって,過去100年間のスギ花粉年間堆積量の変化を明らかにした.また,戦後の造林によるスギ人工林面積の増加と花粉飛散量との対応関係を検討するために,琵琶湖の近隣府県における31年生以上のスギ人工林面積の変化を推定し,琵琶湖湖底堆積物中のスギ花粉年間堆積量の変化との対比を行なった.花粉分析の結果,1900年以前ではスギ花粉年間堆積量が900〜1400grains・cm^<-2>・year^<-1>と比較的少なかったことが明らかになった.1900年以降になるとスギ花粉の年間堆積量が若干の増加傾向を示し,1920〜1970年頃には2800〜3700grains・cm^<-2>・year^<-1>の堆積量を示した.1970年頃以降になるとスギ花粉年間堆積量の増加が認められ,1970年代には4200〜4400grains・cm^<-2>・year^<-1>,1980年代前半には6300〜7100grains・cm^<-2>・year^<-1>に増加した.1980年代後半から1990年代にかけて,スギ花粉年間堆積量はさらに増加し,8300〜13400grains・cm^<-2>・year^<-1>に達した.このような琵琶湖湖底堆積物中のスギ花粉年間堆積量の増加は,31年生以上のスギ人工林面積の増加と同調したものであり,戦後の造林による成熟スギ人工林増加の影響を大きく受けて,多量のスギ花粉が飛散するようになったことを示している.また,琵琶湖湖底堆積物中のスギ花粉年間堆積量の推定値は,相模原市における大量飛散年の空中花粉量の経年変化との整合性も高く,これまで蓄積されてきた空中花粉調査のデータを補間し,より古い時期からの花粉飛散量変化の情報を提供しうるものと考えられる.さらに,琵琶湖堆積物の花粉分析結果を基にした地史的なスギ花粉年間堆積量との比較から,1980年代以降に増加したスギ花粉飛散量と同程度の飛散は3000〜2000年前頃ならびに最終間氷期の後半においても認められた.本研究では,鉛-210とセシウム-137法によって高精度での年代決定が行なわれた過去数100年間の堆積物についての花粉分析を行なうことにより,数10年から数100年スケールでの花粉堆積量変化の記録を復元できる可能性を示した.今後,各地で同様の研究を進めていくことにより,20世紀における全国的なスギ花粉飛散量の変化について明らかになることが期待される.
著者
日下 宗一郎 五十嵐 健行 兵藤 不二夫 藤澤 珠織 片山 一道
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.9-17, 2011 (Released:2011-06-21)
参考文献数
41
被引用文献数
8 8

江戸時代は,急激な人口増加とその後の人口安定,また陸・海路による交易網の発達によって特徴づけられ,コメや野菜や魚介類を主要な食物としていたと言われる。そのような江戸時代の人々の食性を,遺跡から出土した人骨を用いて実証しようとするのが本研究である。伏見城跡遺跡(京都市)より出土した江戸時代人骨および動物骨からコラーゲンを抽出して,炭素および窒素の安定同位体比を測定した。合計で27個体(男性9個体,女性12個体,子ども6個体)の人骨を分析に用いた。それにより,伏見江戸時代人の食性,その性差を検討することを目的とした。江戸時代の伏見の人々は,タンパク質源を淡水魚類に強く依存した食生活,もしくは陸上生態系から得られるC3植物と海産あるいは淡水魚類などを主たるタンパク質源とする食生活を送っていた可能性を示した。江戸時代の都市では,食生活が米,野菜,魚介類からなり,アワやヒエ,キビなどC4植物の消費が少ないとする古記録を考慮に入れると,後者の食生活像が支持される。また,男性の炭素同位体比は女性よりも高く,より多くの海産魚類や貝類などを摂取していた可能性がある。また,年齢が上がると子どもの窒素同位体比は下がる傾向があり,これは母乳の摂取と離乳の開始に関連していると考えられる。
著者
木庭 啓介 木下 桂 大西 雄二 福島 慶太郎 尾坂 兼一 松尾 奈緒子 舟川 一穂 瀬古 祐吾 目戸 綾乃 平澤 理世 小川 奈々子 兵藤 不二夫 由水 千景
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.291-299, 2021-07-15 (Released:2021-07-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

微量試料での炭素窒素安定同位体比を測定可能とする連続フロー型元素分析計連結式安定同位体比質量分析計(EA-IRMS)への改良について検討を行った。通常使用されている反応管の口径を小さくするなどの簡易的な改良を実施することで,通常の約1/5の試料量(約6 µg窒素,10 µg炭素)で十分な精度と確度を得られることが明らかとなった。
著者
上田 昇平 渡邊 琢斗 池田 健一 兵藤 不二夫
出版者
公益財団法人 自然保護助成基金
雑誌
自然保護助成基金助成成果報告書 (ISSN:24320943)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.76-80, 2020-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
10

アルゼンチンアリ(以下,本種)は,南米を原産地とする世界的な侵略的外来種であり,国内の12都府県で定着が確認されている.本種は侵入先で在来アリ類を駆逐することで生態系機能を撹乱するとされる.本研究では,安定同位体分析を用いて本種の食性を検証し,本種と在来アリ類の競合機構を明らかにすることを目的とした.2015年,大阪府堺市では本種の侵入が確認されており,本研究グループは,環境省・地方行政と連携して本種のモニタリング調査と防除に継続して取り組んでいる.2017年10月から2018年6月にかけて本調査地から採集した本種と在来アリ8種を用いて安定同位体分析を行い,δ15N値の種間比較から,アリ類が動物質と植物質のどちらを餌として利用しているかを推定した.本種のδ15N値は,同所的に分布するアリ類の中で2番目に高く,捕食者であるオオハリアリやウロコアリ類と同程度であったこの結果は,本調査地において本種は高次消費者であり,動物類を餌として利用していることを示している.
著者
日下 宗一郎 五十嵐 健行 兵藤 不二夫 藤澤 珠織 片山 一道
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.9-17, 2011
被引用文献数
8

江戸時代は,急激な人口増加とその後の人口安定,また陸・海路による交易網の発達によって特徴づけられ,コメや野菜や魚介類を主要な食物としていたと言われる。そのような江戸時代の人々の食性を,遺跡から出土した人骨を用いて実証しようとするのが本研究である。伏見城跡遺跡(京都市)より出土した江戸時代人骨および動物骨からコラーゲンを抽出して,炭素および窒素の安定同位体比を測定した。合計で27個体(男性9個体,女性12個体,子ども6個体)の人骨を分析に用いた。それにより,伏見江戸時代人の食性,その性差を検討することを目的とした。江戸時代の伏見の人々は,タンパク質源を淡水魚類に強く依存した食生活,もしくは陸上生態系から得られるC3植物と海産あるいは淡水魚類などを主たるタンパク質源とする食生活を送っていた可能性を示した。江戸時代の都市では,食生活が米,野菜,魚介類からなり,アワやヒエ,キビなどC4植物の消費が少ないとする古記録を考慮に入れると,後者の食生活像が支持される。また,男性の炭素同位体比は女性よりも高く,より多くの海産魚類や貝類などを摂取していた可能性がある。また,年齢が上がると子どもの窒素同位体比は下がる傾向があり,これは母乳の摂取と離乳の開始に関連していると考えられる。
著者
兵藤 不二夫
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

寒帯林の遷移過程における植物の窒素源の変化を明らかにするために、スウェーデン北部において約400年と5000年の遷移系列を対象にし、その植物及び土壌窒素の窒素同位体分析を行った。その結果、2つの遷移系列において植物の窒素同位体比が有意に変化することが明らかになった。土壌の溶存有機態窒素や無機態窒素の同位体分析の結果と合わせると、この植物の窒素同位体比の変化は、植物が溶存態有機窒素やコケによる窒素固定、そして菌根菌へとその窒素源を変化させていることを反映しているものと考えられる。