著者
小切間 美保 中西 朋子 林 芙美 大久保 公美 北島 幸枝 掃部 美咲 鈴木 志保子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.Supplement, pp.S70-S77, 2019-12-01 (Released:2020-03-25)
参考文献数
10

【目的】多様な職域に所属している管理栄養士が,現在の仕事で必要と考える資質・能力について調査し,職域別,年代別の分析をもとに,求められる資質・能力について検討した。【方法】2017年7月に公益社団法人日本栄養士会会員で,年代5区分における8分野・領域の管理栄養士取得者203名を対象とした。調査は,現在の仕事で求められる資質・能力(19項目)の重要度について5段階で評価を依頼し,それぞれを点数化した。因子分析を行い,得られた因子の下位尺度得点を用いて,医療,行政,食育・教育,高齢者福祉,給食,企業,フリーランスの7職域別に比較した。また,年代別の検討も行った。【結果】因子分析により4因子が得られ,各因子の下位尺度得点は「職業意識」4.8点,「課題対応力」4.7点,「組織運営力」4.0点,「研究力」3.3点の順であった。職域別の特徴では,「課題対応力」が食育・教育に比べ企業,行政,給食で高かった。また,フリーランスは最も低い値であった。給食では,「組織運営力」の重要性が高かった。年代別の特徴では,50,60歳代で「課題対応力」「研究力」が他の年代より高く,「組織運営力」は,40歳代以下より50歳代で高い値を示した。【結論】管理栄養士の職域別,年代別に,必要な資質・能力の重要性が示され,管理栄養士に必要な資質・能力は,職域や年代によって特徴があることが示唆された。
著者
林 芙美 野口 真希 宇野 薫 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.24-36, 2020-02-01 (Released:2020-03-19)
参考文献数
39

【目的】妊婦を対象に,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度と栄養・食物摂取状況との関連を検討し,さらに食知識,食態度,食行動,周囲のサポート等との関連を把握すること。【方法】2015年1~3月,群馬県T市S病院にて妊婦健診・母親学級に訪れた妊婦(11~20週)に研究参加を呼びかけ,141名から自記式質問紙及び簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)に回答を得た。身長,妊娠前体重,調査時体重はカルテより把握した。最終的に118名を分析対象者とし,主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度別に3群(1日2回以上,1日1回,1日1回未満)間で,年齢,妊娠期区分,妊娠回数,世帯構成,暮らし向きを調整した共分散分析を用いて栄養・食物摂取状況を比較した。関連要因の検討には,多重ロジスティック回帰分析を用いた。【結果】主食・主菜・副菜がそろう食事の頻度が高い者ほど,いも類,野菜類,肉類の摂取量が多かった(p for trend<0.05)。1日1回未満群に比べて,1日2回以上群は1食の量とバランスの知識があり,調理が好きで大切だと感じており,食事を整える自信があり,欠食がなく,家族との朝食共食がほぼ毎日で,専門的な学習の経験者が多かった。また,1日1回群でも食事を整える自信がある者が多かった。【結論】主食・主菜・副菜がそろう食事の実現には,適切な食知識や食事づくりに対する前向きな姿勢が重要であると示唆された。
著者
會退 友美 赤松 利恵 林 芙美 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.181-187, 2012 (Released:2012-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
8 4

【目的】成人を対象とした食に関する主観的QOL(subjective diet-related quality of life (SDQOL))の信頼性と妥当性を検討する。【方法】平成21年11~12月に内閣府が実施した「食育の現状と意識に関する調査」に回答した2,936名分のデータを用いた(回収率58.7%)。対象者の性別は,男性1,344名(45.8%),女性1,592名(54.2%)であった。SDQOLの項目として作成された6項目について,信頼性の検討では,内的整合性としてクロンバックα係数を確認し,妥当性の検討では,構成概念妥当性と基準関連妥当性を検討した。基準関連妥当性の検討には,生活のゆとり感と生活満足度の項目を用いてSpearmanの順位相関係数(rs)を求めた。【結果】探索的因子分析,確証的因子分析を行った結果,4項目から成るモデルで適合度が良いことが示された(モデル適合度指標:GFI=0.99,AGFI=0.96,CFI=0.99,RMSEA=0.08; 90%CI: 0.06~0.10)。クロンバックα係数は,0.72であり,信頼性も確認された。また,基準関連妥当性の検討では,SDQOLと生活のゆとり感(rs=0.16,p<0.001)および生活満足度(rs=0.38,p<0.001)の間に正の相関がみられ,これらが高いと回答した者の方が,SDQOLの合計得点が高かった。【結論】本研究により,SDQOLの信頼性と構成概念妥当性,基準関連妥当性が確認された。今後は,SDQOLと食生活との関連を検討する必要がある。
著者
赤松 利恵 林 芙美 奥山 恵 松岡 幸代 西村 節子 武見 ゆかり
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.225-234, 2013 (Released:2013-11-08)
参考文献数
24
被引用文献数
2

【目的】特定保健指導を受診し,減量に成功した男性勤労者を対象に,減量のために取り組んだ食行動を質的に検討した。【方法】対象者は,栃木県,埼玉県,和歌山県,及び大阪府にある5つの職域健康保険組合が委託した機関において,特定保健指導を受診し,4%以上減量した者に研究協力を依頼した。同意が得られた27名を対象に,インタビューガイドを用いた約30分間の個別半構造化面接を実施した。分析は6ヶ月評価時に実際に4%以上の体重減少があった26名を対象とした。逐語録を作成しグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行い,本研究では,概念的枠組みの大分類【取り組み方】に分類された食生活に関する内容を食行動と行動技法の観点から,カテゴリ化した。【結果】逐語録から,食行動の観点では,31のサブカテゴリと7つのカテゴリ,行動技法の観点からは,17のサブカテゴリと9つのカテゴリが抽出された。減量成功者の取り組んだ食行動は多様であり,多くの対象者が行動技法を用いて,支援時に立てた目標に取り組んでいた。【結論】減量に成功した男性勤労者は,食行動の実践において行動技法を用いており,その内容は具体的で実行しやすく,勤労者特有のものであった。
著者
小岩井 馨 武見 ゆかり 林 芙美 緒方 裕光 坂口 景子 嶋田 雅子 川畑 輝子 野藤 悠 中村 正和
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.13-28, 2019-02-28 (Released:2019-02-28)
参考文献数
51
被引用文献数
1

目的:効果的な減塩対策のためには食塩摂取源を把握する必要がある.食塩摂取源を食品群で把握するだけでなく,家庭内・家庭外由来かを特定し,さらに疾病の指摘の有無別に食塩摂取源の特徴を検討することとした.方法:平成29年神奈川県真鶴町の特定健診受診者を対象とした横断研究を行った.3日間の食事調査により出現した食品や料理を食品群別・加工度別に分類後,家庭内・家庭外(菓子・嗜好飲料・中食,外食)に整理した.その後,食事記録日数の不足者等を除外した213名を対象に,3日間の平均食塩摂取量に占める各々の食塩摂取量の割合(以下,「食塩摂取割合」)を算出した.さらに,循環器疾患の指摘または降圧剤の使用有無別(以下,「循環器疾患の有無別」)に食塩摂取割合を比較した.結果:食品群別の食塩摂取割合が最も高い食品は,男女とも調味料(約60%)であり,このうち,約75%が家庭内,約25%が家庭外であった.循環器疾患の有無別では,中食からの食塩摂取割合は男性の有り群は26.8%と,無し群14.3%に比べ,有意に高かった(p=0.029).結論:地域在住特定健診受診者では,家庭で使用する際の調味料からの食塩摂取割合が高いこと,男性の循環器疾患有りの者は中食の食塩摂取割合が高いことが示された.減塩対策を検討する上で,家庭内・家庭外の視点を取り入れること,男性では中食への減塩対策も必要であることが示唆された.