著者
野村 直樹 橋元 淳一郎 明石 真
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-50, 2015 (Released:2017-02-28)

本稿は、時間を存在するもの、すでにあるものとしてではなく、むしろ作られていくもの、つまり、区切り、記述として見ていくことで、どのようにわれわれの時間概念が書き換わるかを説明しようとする。すべての時間が何らかの区切り(punctuation)をもとにするところから、区切るという行為やリズムから時間論を組み立てていく。区切る、リズムを刻む、記すという行為をとおして世界を秩序立てていくという意味で「物語としての時間」という呼び方をする。人間世界、生物の世界のみならず、物理的世界(例、振り子の同期)にも共通してある同期という現象に焦点を当てることで、新たな時間が立ち現れることを、マクタガートの時間論をベースに理論化していく。この時間世界を拡張していく主役は、E系列と呼ばれる時間であり、詩人やアーティスト、宗教家の直観として古来より語られてきたものではあるが、これを科学の枠組みの中に位置づけようとするのが本稿の目的である。相互作用し、同期するものが作る「生きた時間」という視点がもたらす広がりを説明したい。
著者
碓井 茂夫 野村 直樹 熊谷 光 関根 浩史
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.383-389, 2017 (Released:2018-01-30)
参考文献数
3
被引用文献数
4

SUBARU has developed EyeSight, which has Autonomous Emergency Braking (AEB), “Pre-Collision Braking System”. The concept is to minimize collision damage or if conditions allow, prevent the collision. Through a trial-and-error process, SUBARU has, and continues to enhance the performance of Pre-Collision Braking System. The latest Pre-Collision Braking System was refined to two points. The first is to hasten the reaction to crossing pedestrians coming out from behind obstacles to heighten the speed reduction effect. The other point is to improve the reaction to night-time pedestrians. The effectiveness has been raised by suppressing the drop in the recognition performance caused by peripheral darkness or the color of pedestrians' clothes. These improvements will offer a high level of safety. This report also describes details of traffic accident data, and comparing results of “with EyeSight” and “without EyeSight”.
著者
牛山 浅美 小島 淳夫 鎌田 順道 日野 浩司 神山 公希 高坂 佳宏 中 正剛 野村 直樹
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.127-134, 2021-08-06 (Released:2021-08-06)
参考文献数
14

【目的】抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)に対する圧迫療法の有用性を検討した.【方法】CIPNを有する20例40肢を対象とした.弾性着衣で圧迫した30肢と圧迫しない10肢について,圧迫前,直後,1カ月後,半年後,1年後の,CIPN症状として「しびれと痛み」をフェイスペインスケール(FPS)で評価した.【結果】圧迫肢は,圧迫前のFPSスコア(平均値)3.0と比較し,圧迫直後1.7, 1カ月後1.6, 半年後1.8, 1年後1.8と全て有意に低下した(p<0.01).非圧迫肢は,FPSスコアの変化を認めなかった.FPSスコアの変化は,浮腫肢,下肢,圧迫前FPS高スコアにおいて大きい変化を認め,年齢,蜂窩織炎の既往,抗がん剤の種類,抗がん剤終了後の期間との関連は認めなかった.【結論】圧迫療法による体液(血液,リンパ液,間質液)のうっ滞軽減,微小循環の改善,周辺組織の保護・支持・固定は,CIPN発現後の症状軽減および重症化予防に有効である可能性が示唆された.
著者
山本 真実 浅野 みどり 野村 直樹
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.4_733-4_744, 2020-09-20 (Released:2020-09-20)
参考文献数
29

本稿では,時間を言語として見る立場から,療育教室に通う子どもの母親が語る我が子の成長を,時間のことばとして記述することにより,対話を通じ母親が理解する成長とはどのようなものか,成長をナラティヴとして理解するとはどのようなことかを議論する。筆者(山本)は,母親との対話と療育教室での参与観察を行い,成長がどのような刻み方(punctuation)を有した時間で語られるかに注目した。母親が語る時間のことばには,①別々に語られる時間のことば,②相反する時間のことばがせめぎ合う葛藤,③全ての時間を等価に語る時間のことば,があった。母親は,どんな時間も選ばれる価値を等しく持つとする『等価な時間』という視座を獲得し,それに沿って成長を理解していった。『等価な時間』とは,成長をナラティヴとして理解するための考え方であり,これまでの成長の理解を見つめ直すときに役立つ時間のことばのポリフォニーのことである。
著者
野村 直樹 橋元 淳一郎 明石 真
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-50, 2015

本稿は、時間を存在するもの、すでにあるものとしてではなく、むしろ作られていくもの、つまり、区切り、記述として見ていくことで、どのようにわれわれの時間概念が書き換わるかを説明しようとする。すべての時間が何らかの区切り(punctuation)をもとにするところから、区切るという行為やリズムから時間論を組み立てていく。区切る、リズムを刻む、記すという行為をとおして世界を秩序立てていくという意味で「物語としての時間」という呼び方をする。人間世界、生物の世界のみならず、物理的世界(例、振り子の同期)にも共通してある同期という現象に焦点を当てることで、新たな時間が立ち現れることを、マクタガートの時間論をベースに理論化していく。この時間世界を拡張していく主役は、E系列と呼ばれる時間であり、詩人やアーティスト、宗教家の直観として古来より語られてきたものではあるが、これを科学の枠組みの中に位置づけようとするのが本稿の目的である。相互作用し、同期するものが作る「生きた時間」という視点がもたらす広がりを説明したい。