著者
湊山 梨紗 野池 賢二 鈴木 泰山 徳永 幸生 杉山 精
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.5, pp.1-6, 2010-11-27

本稿ではピアノ譜を対象として適切な譜めくりタイミングの推定法を提案する.音楽演奏では演奏中に楽譜をめくる "譜めくり" が必要となる.この譜めくりを行うタイミングは演奏曲や演奏者によって異なると考える.しかし,具体的にどのような要因が譜めくりタイミングを変化させているのかは明らかでない.そこでまず,楽譜構造における時間軸方向の音符密度に着目した推定法を考案した.本推定法では,楽譜のページ末尾に休符などによって打鍵を行わないときに譜めくりが行われることから楽譜上で時間軸方向に音符の少ない箇所を抽出し,その長さをもとに譜めくりタイミングを推定する.また,本推定法を用いて被験者実験を行い,推定した譜めくりタイミングと演奏者が望むタイミングとを比較し,推定手法の評価と考察を行った.その結果,推定した譜めくりタイミングが演奏者の望むタイミングと概ね一致したことなどから,本推定法が有用である見通しを得た.This paper proposes an estimation method of page-turning point for piano score. Page turning is necessary for performing music, and page turning point varies according to performer and score. However, what influence for page turning point is unapparent. So, we propose an estimation method which considering density of notes on time series based on score structure. We also conducted an experiment to evaluate this method by comparing estimated point with performer preferring point. Results from this experiments showed that proposed method is useful for estimating page turning point.
著者
野池 賢二 池淵 隆 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.33, pp.1-6, 2013-08-24

MIDI メッセージのパラメータの精度を拡張する MIDI 上位互換仕様がふたつある.ひとつは MIDI Manufacturers Association によって承認された The high-resolution MIDI 仕様であり,もうひとつは YAMAHA による eXtended Precision MIDI(XP MIDI) 仕様である.これらは,いままで未使用であったコントロールチェンジ番号を使用して,たとえば Note On ベロシティの精度を 128 段階から 16256 段階に拡張できる手軽で便利な仕様である.しかし,現状ではいくつかの製品で採用されてはいるものの,まだあまり普及していない.本稿では,これらの仕様の詳細について紹介し,研究分野での利用における有用性について述べる.
著者
平賀 瑠美 片寄 晴弘 小池 宏幸 鈴木 泰山 野池 賢二 星芝 貴行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.49, pp.67-70, 2000-05-31
被引用文献数
2

日本における自動演奏生成システム研究の成果を一堂に集め、システムの生成物である演奏のデモンストレーションを行う。これらは、大学の理工学系の研究室で独立に研究が進められてきており、演奏生成のモデル、手法は勿論、生成対象となる楽曲、入力情報の種類や形式、出力情報の種類は全て異なる。デモンストレーションに先立つパネル討論では、デモの各参加グループから一人がパネリストとなり、これまでに進めてきた内容から、演奏生成研究において感じた困難なことや、それに基づいた今後のための提案を発表する。今回のデモンストレーションとパネル討論は演奏生成システムを集める世界初の試みであり、今後のより円滑な情報交換と研究の発展を目指す。Researchers who have been working on performance rendering systems gather together to show their demonstration and exchange opinions for a further evolution of the reseach at a panel discussion. All the systems have been independently developed at engineering/science laboratories in universities. For the mutual understanding and sharing common issues in the research of performance rendering, representatives from each group discuss and present proposals toward the research in the next step. The special demonstration of performance rendering is the world premiere.
著者
野池 賢二 平田 圭二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.48, pp.45-50, 2003-05-16
被引用文献数
4

蓮根(Performance Rendering Contest)の演奏コンテストに参加するための"Rencon エントリキット第 1 版"の仕様について述べる."Rencon エントリキット"に含まれる,共通の土俵上でシステムを評価するための学習用データのファイル形式,提供するツールの機能について述べる.This paper reports a Rencon-Kit for Performance Rendering Contest. In this paper, we are going to examine an environment on which, the performance of the rendering systems are compared and evaluated. We illustrate the file format to describe the score and performance data and some tools, aiming at the competition of the Performance Rendering systems, which are equipped with learning or reasoning functions.
著者
橋田 光代 野池 賢二 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.100, pp.65-70, 2002-10-25
参考文献数
4
被引用文献数
6

本稿では,演奏ルールを与えて音楽に表情を付けた場合と,人間がマニュアルで表情付けを行った場合における各パラメータの与え方の差異について述べる.比較のために,あらかじめ手入力(打ち込み)で作成した演奏事例を用意し,次にその演奏を目標としたルールを考案し,音高,発音時刻,音価のみ記述したStandard MIDI File (以下,SMF)に適用した.今回はショパンの「別れの曲」に記述されている記号情報,楽語について検討を行ったところ,その多くは一般化できるのではないだろうかという手ごたえがあった.This paper describes an analysis of music performance rendering of differences between manual rendering and rule-based rendering. We rendered two types of MIDI sequences; we first made a MIDI sequence by manual with complete expressions, and then made another one by rule-based processing for targeting the manual data. This time the information clearly including a score such as slur, dynamics, and articulations are considered. We could except some of the rules created for Chopin's Etude Op.10-3 would generalize for other pieces...
著者
野池 賢二 橋田 光代 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.25-29, 2003-02-21
参考文献数
7
被引用文献数
3

二つの演奏の表情パラメータ値をモーフィングするツールMortonのWeb版を実装した.Web版MortonであるWebMortonは,演奏表情パラメータ値をモーフィングする機能に加えて,二つの演奏に対するユーザの識別境界を示す機能が組み込まれている.この機能とWeb版になったことにより,誰でも自分の識別境界を知ることができる.演奏表情パラメータ値のモーフィングという新しい考えによるこれまでにない演奏の生成は,単に実験ツールというだけではなく,音楽教育の現場,エンターテイメントの分野での活用が期待できる.
著者
野池 賢二 橋田 光代 平田 圭二 片寄 晴弘 平賀 留美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.14, pp.71-76, 2005-02-18
被引用文献数
10

NIME04のデモセッションとして行ったRencon聴き比べコンテストの模様とその投票結果、および、Rencon研究発表セッションの様子について報告する。投票結果の順位について統計的分析を加えた考察も、あわせて報告する。さらに、考慮していくべき課題と、今後の開催予定についても述べる。This paper reports NIME04 Rencon (Performance Rendering Contest) and its paper session held at the International Conference on New Interfaces for Musical Expression. This paper shows the result of NIME04 Rencon with some statistical analysis,and discusses future works.