著者
金子 哲夫 山脇 奈見子
出版者
一般社団法人 日本微量元素学会
雑誌
Biomedical Research on Trace Elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.235-242, 2004 (Released:2005-04-08)
参考文献数
28

In Japan, Recommend Dietary Allowance (RDA) and Dietary Reference Intake (DRI) of trace elements were first specified in 1999. More than 4, 000 human milk samples were collected during 1998 and 1999 from Japanese lactating women at different postpartum and were individually analyzed for composition of nutrients including trace minerals. The latest data on zinc, copper, and selenium concentrations was summarized. The daily intake status of the trace elements by breast- and bottle-fed infants was investigated in reference to the 6th edition of RDA and DRI for Japanese nation.
著者
神野 慎治 中村 吉孝 菅野 貴浩 金子 哲夫 木ノ内 俊
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.63-69, 2014 (Released:2014-08-12)
参考文献数
31
被引用文献数
1

1/2-6 ヵ月齢の完全人工栄養児のエネルギー,たんぱく質および微量栄養素の摂取量を算出し,評価した。2006-2007年に33,642名の乳児を対象とした発育・哺乳量に関する全国横断調査を実施し,578名の 6 ヵ月齢までの完全人工栄養児の栄養摂取量を評価した。1 日の平均哺乳量は,1/2-1, 1-2, 2-3, 3-4, 4-5,および 5-6 ヵ月齢でそれぞれ819, 834, 869, 864, 869,および928 mL であった。調粉 A 哺乳児のエネルギー摂取量(1-2 ヵ月齢で128 kcal/kg/日,5-6 ヵ月齢で84 kcal/kg/日)は,FAO が示している人工栄養児の推定エネルギー必要量と同水準であった。たんぱく質の摂取量およびビオチン・セレン・ヨウ素以外の微量栄養素の摂取量は,日本人の食事摂取基準で示されている目安量を各月齢とも上回っていた。ビタミン A およびビタミン D の摂取量は,日本人の食事摂取基準で示されている耐容上限量を各月齢とも下回っていた。我々は前報で,これらの完全人工栄養児の発育が 6 ヵ月齢まで母乳栄養児と同等であることを確認している。以上のことから,今回評価対象とした完全人工栄養児のエネルギー摂取量は推定エネルギー必要量との比較による評価において過不足のない量に保たれていること,および各栄養素の摂取量については,ビオチン・セレン・ヨウ素以外は,日本人の食事摂取基準に対して過不足がないことが示された。
著者
柳樂 明佳 芦田 欣也 真壁 昇 宮澤 靖 富田 則明 秋山 和宏 川島 昭浩 金子 哲夫 山地 健人
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.711-716, 2012 (Released:2012-05-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

経管栄養時の胃食道逆流の発生に栄養剤の胃内滞留量が関与すると考えられている。そのため、本試験ではラットを用いて酸性半消化態流動食の胃排出を、類似の栄養組成をもつ中性半消化態流動食と比較評価した。流動食固形分の胃排出は中性半消化態流動食より酸性半消化態流動食の方が速かった。さらに、胃内容物の液相部分の胃排出には両者に差はなかったが、固相部分の胃排出は中性半消化態流動食より酸性半消化態流動食の方が速いことが示唆された。そこで各流動食の人工胃液消化試験を行ったところ、中性半消化態流動食では酸によるカード化のため、凝固物の形成が認められたのに対し酸性半消化態流動食では認められなかった。以上の結果から、酸性半消化態流動食は中性半消化態流動食と比較して胃排出が速く、その理由の一つとして、酸性半消化態流動食では中性半消化態流動食で観察される胃内でのカード形成が起こらないことが考えられた。