- 著者
-
金子 正人
- 出版者
- 一般社団法人 日本原子力学会
- 雑誌
- 日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.1, pp.24-28, 2007 (Released:2019-04-05)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
-
1
1
チェルノブイリ事故による死者は, 数万とも数十万とも報道されたが, 2005年9月にウィーンで開催された国際会議では, 「事故の放射線による死亡は4,000」と発表された。事故20周年にあたる2006年4月には世界保健機関 (WHO) が, 9,000というがん死亡予測数を発表するなど, 事故の影響については議論が絶えない。国連8機関とベラルーシ, ロシア連邦, ウクライナ3ヵ国で構成する「チェルノブイリ・フォーラム」の調査報告は, 100人以上の国際的専門家がまとめたもので, 科学的であり妥当なものと考えられるが, 事故影響が過小評価されているとの批判がある。しかしながら, 事故の影響とされる健康障害の原因は放射線そのものではないことが明らかになりつつある。