著者
金子 裕子 村井 邦彦 舛田 昭夫 湯田 康正 槇田 浩史
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.118-121, 2006-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
15

症例: 患者は47歳女性で, 20歳頃より右眼窩深部と右側頭部から後頭部にかけて拍動性の激しい頭痛が出現した. 頭痛は右眼球結膜充血, 流涙, 鼻閉, 嘔吐を伴っていた. 血管性頭痛との診断で, 発症当初より近医で星状神経節ブロック (stellate ganglion block: SGB), トリガーポイントブロック, エルゴタミン製剤頓服等の治療が行われたが, 効果は一時的であった. 右側頭部および後頭環椎関節部の圧痛を認めたため, SGBを2回施行した後, 透視下に右耳介側頭神経ブロック, 右後頭環椎関節ブロックを施行した. ブロック直後より頭痛は消失し, 夜間睡眠も良好となった. 5日後より軽度の右後頭部痛が再び出現したが, SGBとエルゴタミン製剤の内服により改善した. 以後1年以上の間, 頭痛発作は生じていない. 結語: 群発頭痛に対し, 耳介側頭神経ブロックと後頭環椎関節ブロックの併用が有効であった.
著者
伊藤 昌子 渡辺 弘道 金子 裕子 井上 由実 肥川 義雄
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.523-526, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
8

左下肢切断後に発症した幻肢痛に対して,硬膜外ブロックと坐骨神経パルス高周波療法が奏効した症例を経験したので報告する.症例は73歳女性,下肢閉塞性動脈硬化症を罹患し膝下で左下腿切断術を受けた.術直後より下腿の断端痛と幻肢痛が出現した.薬物療法でも痛みのコントロールがつかず,術後15日目に持続硬膜外ブロックを試みたところ痛みは回数,程度ともに軽減した.その後超音波ガイド下に局所麻酔薬による坐骨神経ブロックを施行し効果を認めたので5日後に坐骨神経に42°C180秒のパルス高周波療法を行った.それにより断端痛と幻肢痛は完全に消失した.
著者
伊藤 重彦 大江 宣春 草場 恵子 金子 裕子 藤武 隆文
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.285-288, 2002-08-28 (Released:2010-07-21)
参考文献数
13

病院職員の鼻腔内MRSA保菌率の推移とムピロシンによる除菌効果を検討した.隔年3回の保菌調査の参加者はそれぞれ407名 (1997), 54.名 (1999), 547名 (2001) である.職種別保菌率の推移では医師9.6%, 9.0%, 6.2%, 看護師6.9%, 3.2%, 3.6%で, 医師, 看護師以外の職員保菌率は3.98 (1999), 0.8% (2001) であった, 看護師の保菌率は初回調査後に手洗いの励行および感染対策マニュアルの遵守, 徹底を図ることで有意に低下した.保菌者に対するムピロシン軟膏による除菌率は3回の調査全体で94.4% (68/71) であった.除菌効果の持続時間を検討するため, 医師保菌者7名に対して完全除菌後3ヵ月後に再調査を行ったところ再保菌者は1名 (再保菌率14.2%) であった.保菌率調査は職員の感染予防への意識を高める良い機会であるが, それを契機に感染対策マニュアルの遵守を継続的に行うことがより重要である.
著者
樋口 キエ子 原田 静香 カーン 洋子 山口 和枝 金子 裕子
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.42-49, 2008-03
被引用文献数
1

退院後の患者・家族の退院支援への要望・意見から退院支援のあり方を検討することを目的とした。方法は,地域特定機能大学付属病院に入院し,退院支援部署で指導を受けた患者家族の「退院支援への要望・意見」の記述データを分析した。その結果,患者家族が希望する退院支援は,【対象者の意思を尊重した退院準備】【療養継続に向けたケアの計画的指導】【退院後の生活を見据えた社会資源の紹介】【対象者にわかる連携体制】【対象者に伝わる診療看護体制】の5コアカテゴリーとそれを構成する内容が明らかになった。特にケアの継続に向けた指導の要望が最も多く,対象特性は高齢者夫婦や医療ニーズが高い療誉者が多い結果から,退院支援の開始時期,患者・家族にわかる退院支援システムづくり,関係者間のチームケアの必要性が示唆された。患者・家族の求める継続ケアの実現には,退院後の生活を見据えた退院支援体制づくりが求められる。