著者
岩佐 絵里子 入江 道生 金子 雅志 福元 健 上田 清志
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.1, pp.19-30, 2014-01-01

本論文では,大規模分散処理技術を適用したクラスタ構成の高可用システムにおける動的構成変更方式について示す.動的構成変更とは,サーバの動的な追加や削除によってシステム構成を変更することである.通信事業者の提供するネットワーク内の高可用システムでは,高い信頼性を確保すること,リアルタイム処理が保証されることが必要があり,動的構成変更時においても,これら2要件が満たされる必要がある.本論文では動的構成変更に伴う処理を通常処理に影響を与えない範囲に抑制することを目的に,新たに追加されるサーバがデータを引継ぐ処理による負荷を抑制する2方式及びデータの再配置・再冗長化を通常処理に影響のない範囲に抑制し実施する方式を提案し,それらの特性を実験環境にて評価する.評価結果から,提案方式により高可用システムに求められる要件を満たしながら,動的構成変更が実現できることを確認する.
著者
金子 雅志 入江 道生 四七 秀貴 飯尾 政美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.448, pp.321-324, 2010-02-25
参考文献数
3
被引用文献数
1

データ通信と音声通信を統合したIPネットワークである次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)では、多様なサービスの登場が期待されている。NGNのサービスを実装するアプリケーションサーバの開発において、開発効率の向上を目的としてJavaを採用する動向がある。一方で、高信頼・高品質な通信サービスの提供が求められる通信事業者向けサーバにおいては、ガベージコレクションに伴う停止時間が招くリアルタイム性への影響が懸念される。近年、ガベージコレクションの停止時間を改良したリアルタイムGC等の技術によってリアルタイム処理性能についての改善が見られるが、フルGCの発生確率を完全に無くすことはできないため、十分な解決策とはなっていない。本稿では、ガベージコレクションによるリアルタイム処理性能への影響を低減させる方式について、ロードバランサと連携する方式と、ネイティブコードを利用する方式を提案する。そして、後者の方式の有効性を示すため、応答時間の改善効果と処理に必要なオーバーヘッドを試作によって実機評価した結果を示す。
著者
入江 道生 西村 豪生 金子 雅志 別所 寿一 飯尾 政美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.448, pp.407-410, 2011-02-24

コンシステント・ハッシュ法を適用したスケールアウト型のセッション制御サーバにおいて,複数のクラスタメンバを同時に追加する際,追加前にセッションデータを収容していたクラスタメンバの特定に時間やコストがかかるといった問題が生じる.セッション制御サーバにおいては,このようなメンバ追加時のコスト増や遅延増は,セッションの切断や不成立に繋がりサービス品質を損ねる.本研究では,セッションデータの収容位置の高速・低コストな特定のためのアドレス表の管理方式として,2つの方式を提案し,それぞれの特徴について比較・考察を行う.
著者
西村 豪生 岩佐 絵里子 入江 道生 金子 雅志 福元 健 上田 清志 片山 悦子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.5, pp.393-406, 2014-05-01

設備コストの低減や運用柔軟化を目的として,セッション制御サーバシステムの仮想化プラットホームへの移行が行われつつある.本環境では,仮想化されたハードウェアリソースをリソースプールとして共有化し,各サーバシステムの要求に応じて動的なリソース割り当てを行う.本論文では,仮想化プラットホーム上のセッション制御サーバシステムを前提とし,リソースプール中のハードウェアリソースを一時的に活用することにより,キャリア網の構成装置に求められる無停止ソフトウェアアップデートを実現する手法を提案する.具体的には,現用のシステムとは独立して更新済みのソフトウェアが動作するシステムを構築し,動的な移行を行うことで冗長性を維持したまま無停止ソフトウェアアップデートを実現する.また,セッション制御アプリケーションがリソースプールや複数世代のシステムを意識することなくソフトウェアアップデートを実施可能とするミドルウェアを提案し,プロトタイプ実装によって提案するソフトウェアアップデート方式がサービスに深刻な影響を与えることなくセッション制御サーバをアップデート可能であることを示した.
著者
岩佐 絵里子 入江 道生 金子 雅志 福元 健 飯尾 政美 上田 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.408, pp.65-70, 2012-01-19

N-Active型を採用したスケールアウト型セッション制御サーバでは,クラスタを構成するメンバ数を増減することで,多様なトラヒック処理にも柔軟に対応することが可能である.増設されたクラスタメンバでは,既存セッションに関するメッセージ処理を実施する際に,セッションデータを格納しているクラスタメンバを特定し,セッションデータを取得した後に処理を継続する.このように,増設メンバでは通常のメッセージ処理に加えて既存セッションデータを取得する処理が加わり負荷が高くなるため,既存セッションの切断や新規セッションの不成立に繋がりサービス品質を担保することができない恐れがある.本稿では,クラスタメンバの増設に伴う増設メンバへの負荷軽減方式を提案し,実機検証により提案方式の負荷軽減効果を検証する.
著者
中島 求 金子 雅志 片山 悦子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.101-104, 2007-03-01
参考文献数
3

現在、テレコムNWのプレゼンス情報とインターネットサービスを連携させることが注目されているが、プレゼンスサービスの普及に伴い、プレゼンスに関するトラヒック量の増加が問題となっている。プレゼンストラヒックを削減する様々な手法は提案されているが、インターネットとテレコムNWという異なるNWを結ぶ、テレコムNWのゲートウェイ装置(GW)への適用方法は課題であった。また、GWは高負荷になるため、分散構成は必須であるが、分散構成時におけるプレゼンストラヒック削減手法の実現方式は課題であった。本稿では、プレゼンス情報を利用するインターネット上のサービス(APL)と、テレコムNW内に収容されている端末をそれぞれ分散収容するGW群と、APLと端末を振り分ける装置を用意し、APLおよび端末を動的に収容分散するGWの分散構成実現方式を提案し、この方式でプレゼンストラヒックを削減する手法が適用可能なことを示した。