- 著者
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福元 健太郎
中川 馨
- 出版者
- 日本選挙学会
- 雑誌
- 選挙研究
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.2, pp.118-128, 2013
本稿の課題は,現代日本政治において世襲議員が何故多いのかを考えるために,得票継承率(ある選挙である候補に投票した有権者のうち,次の選挙でその候補の後継候補にも投票する者の割合)に対する世襲の効果を推定することである。本稿はそのための統計分析の方法として,世襲新人候補と非世襲新人候補を比較することを提唱する。これにより,選挙研究におけるより大きな課題である政党投票と候補者投票の割合も,集計データから分かるようになる。小選挙区の自民党公認候補のデータを分析すると,①世襲新人候補は,前職候補と少なくとも同程度に,非世襲新人候補より有利である,②政党投票の大きさは世襲の効果と同程度だが,候補者投票の存在は確認できない,③世襲候補の特徴である若年や多選それ自体は選挙で有利に働くわけではない,ことが明らかとなった。