著者
西村 豪生 中田 秀基 松岡 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.73-78, 2006-07-31
被引用文献数
5

グリッド環境の不均質性を隠蔽するために,分散した資源上に仮想計算機と仮想ネットワークを用いて仮想クラスタを構築する手法が注目されている.仮想クラスタ構築のためには,必要な環境構成を備えた仮想計算機(VM) イメージを実計算資源に配布する必要がある.しかし,一般的にVM イメージのサイズは数100MBytes から数GBytes に及ぶため,その転送時間は無視できない.既存研究ではある程度高速な仮想クラスタ構築システムを提供しているものの,実行環境に制限がある.そこで我々は,ユーザが望む環境を備えたVM イメージを動的に高速に作成する仮想クラスタ構築システムを提案する.本システムでは利用頻度の高いパッケージ構成を含んだキャッシュイメージを自動的に生成する.また,事前に構築時間を見積もってキャッシュを用いることにより,構築に103 秒程度要していた仮想クラスタを,75 秒程度に短縮できることを確認し,高速化への指針を得た.Recently, a virtual cluster constructed by using a virtual machine and a virtual network attracts attention as the technique of hiding heterogeneous of the grid environment. It is necessary to distribute a VM image which has requested environment to the real computing resources for constructing proper virtual cluster. However, the transfer time of the VM image cannot be generally disregarded, since those sizes have several GBytes from 100MBytes. In an existing research, there is a limitation in the execution environment though a comparatively high-speed virtual cluster construction system is advocated. Then, we propose the virtual cluster construction system that makes the environment for which the user hopes at dynamically and high speed. This system automatically generates cache images that contain packages composition frequently used. Moreover, due to estimating the construction time beforehand and using cache, we confirmed the construction time was shortened from about 100 seconds at about 75 seconds, and obtained the indicator to speed-up.
著者
入江 道生 西村 豪生 金子 雅志 別所 寿一 飯尾 政美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.448, pp.407-410, 2011-02-24

コンシステント・ハッシュ法を適用したスケールアウト型のセッション制御サーバにおいて,複数のクラスタメンバを同時に追加する際,追加前にセッションデータを収容していたクラスタメンバの特定に時間やコストがかかるといった問題が生じる.セッション制御サーバにおいては,このようなメンバ追加時のコスト増や遅延増は,セッションの切断や不成立に繋がりサービス品質を損ねる.本研究では,セッションデータの収容位置の高速・低コストな特定のためのアドレス表の管理方式として,2つの方式を提案し,それぞれの特徴について比較・考察を行う.
著者
西村 豪生 岩佐 絵里子 入江 道生 金子 雅志 福元 健 上田 清志 片山 悦子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.5, pp.393-406, 2014-05-01

設備コストの低減や運用柔軟化を目的として,セッション制御サーバシステムの仮想化プラットホームへの移行が行われつつある.本環境では,仮想化されたハードウェアリソースをリソースプールとして共有化し,各サーバシステムの要求に応じて動的なリソース割り当てを行う.本論文では,仮想化プラットホーム上のセッション制御サーバシステムを前提とし,リソースプール中のハードウェアリソースを一時的に活用することにより,キャリア網の構成装置に求められる無停止ソフトウェアアップデートを実現する手法を提案する.具体的には,現用のシステムとは独立して更新済みのソフトウェアが動作するシステムを構築し,動的な移行を行うことで冗長性を維持したまま無停止ソフトウェアアップデートを実現する.また,セッション制御アプリケーションがリソースプールや複数世代のシステムを意識することなくソフトウェアアップデートを実施可能とするミドルウェアを提案し,プロトタイプ実装によって提案するソフトウェアアップデート方式がサービスに深刻な影響を与えることなくセッション制御サーバをアップデート可能であることを示した.
著者
西村 豪生 森谷 高明 大西 浩行 飯尾 政美
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.4, pp.510-522, 2012-04-01

対外インタフェースがオープン化されているNGNにおいては,インターネットとテレコム網のサービスを連携させたWeb-テレコム連携サービスが利用可能である.従来のWeb-テレコム連携サービスは,Web端末によるアクション契機で,Web端末とは独立したテレコム端末に対してテレコムサービスが提供される形態が一般的であった.既存のインターネットユーザに対する親和性を考慮した場合,テレコムサービスもWeb-テレコム連携サービスの開始契機を与えたWeb端末にシームレスに提供可能とすることが望ましい.本論文ではテレコム端末機能と連携するリッチインターネットアプリケーションをWeb端末上で実行することにより,単一Web端末によりWeb-テレコム連携サービスを利用可能とするアーキテクチャを提案する.提案アーキテクチャは,テレコム端末機能を共通コンポーネント化し,テレコム網の詳細が隠ぺいされた抽象APIによって利用可能とする.共通コンポーネントをサービス利用時に端末に動的配備する方式と,外部装置に静的配備する方式について,プロトタイプ実装による性能評価を通じてその実現性を確認した.