- 著者
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金澤 勝則
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.12, pp.1184, 2015
黄色ブドウ球菌(<i>Staphylococcus aureus</i>,以下SA)は,市中感染および院内感染の原因菌として,人類が歴史的に最も長く戦ってきた病原細菌の1つである.古くは1940年代にペニシリンの発見により画期的な治療手段を手にするも,早々にペニシリン耐性菌が出現し,その後もメチシリンをはじめとする新たな抗菌薬の開発とSA側の耐性獲得が交互に繰り返されてきた.感染症の克服において目指すべきゴールは,その予防法の確立である.メチシリン耐性株(MRSA)を含めたSAに関しても,長年多くの企業や研究組織により,予防ワクチンの研究,開発が試みられてきたが,いまだその実用化には至っていない.本稿では,SAワクチンの候補の1つであるNDV-3ワクチン(NovaDigm Therapeutics社)のMRSA皮膚・皮膚組織感染の予防効果および重症化防止効果ならびにその作用機序に関するYeamanらの研究論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Jansen K. U. <i>et al</i>., <i>Vaccine</i>, 31, 2723-2730 (2013).<br>2) Schmidt C. S. <i>et al</i>., <i>Vaccine</i>, 30, 7594-7600 (2012).<br>3) Yeaman M. R. <i>et al</i>., <i>Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A</i>., 111, E5555-5563 (2014).<br>4) Yeaman M. R. <i>et al</i>., <i>Front. Immunol</i>., 5, doi : 10.3389/fimmu.2014.00463 (2014).<br>5) Lin L. <i>et al</i>., <i>PLoS. Pathog</i>., 5, doi : 10.1371/journal.ppat.1000703 (2009).