著者
鈴木 俊太郎 邑本 俊亮
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.105-113, 2009 (Released:2012-03-06)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

This study identified factors related to the satisfaction with collaborative problem solving efforts and investigated the differential effects of these factors. In Study 1, a total of 240 university students participated in research. The research was a qualitative data analysis of group members' descriptions of their collaborative problem solving experiences. The results suggested that satisfaction was determined by a number of factors, especially changes in self-cognition, changes in others' cognition, and inclusion of the other in the self. In Study 2, the differential effects of each factor related to task conditions were examined. The factor of changes in self-cognition and inclusion of the other in the self influenced satisfaction, regardless of the task condition. In a well-defined task, group and personal performance were increasing members' satisfaction. For an ill-defined task, trust of the other members was increasing members' satisfaction. We concluded that satisfaction with collaborative problem solving was influenced by not only task performance, but also emotional and cognitive factors.
著者
鈴木 俊太郎
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

いじめ予防プログラムの基盤となる「ポジティビティ・フォーカスト・アプローチ」について、前年度の理論研究を踏まえて、実際のカウンセリング場面、心理教育場面に利用できるように手続きや方法論を明確にする作業を行った。ポジティブ心理学の中でも肯定的感情側面に焦点を当てたB.Fedricksonらの研究成果を基盤に、対人コミュニケーション場面において、自身の肯定的感情が、認知的枠組みを拡大・再構築していくというプロセスを、教育プログラムとして実行できるように調整している。最初は、カウンセラーとクライエントという特殊な2者関係、つまりカウンセリングの一場面でこのプログラムを想定し、そこでパイロットスタディを踏まえて、集団場面、教育場面での応用が可能な形にブラッシュアップを図っていった。プログラムは大きく分けて2つのフェーズから構成され、1.ポジティブ感情喚起フェーズ、2.認知再構築フェーズの2段階に分けられる。それぞれのフェーズでは、一定のタスクが参加者に課される。例えば、1.のフェーズでは、過去の失敗経験と成功経験を同時に想起してもらい、成功経験のみについてその後詳細に事実を説明してもらう。このような作業を行うと、次いで思い出してもらった失敗経験の記憶が想起しずらくなる、価値が低下するなどの効果が見込める(検索誘導性忘却という現象を利用したトレーニング)。また、これと並行して、ここまでの研究成果を学会発表という形で公表し、他の研究者からプログラム実施に関して様々な意見をいただき、ブラッシュアップを図った。遂行過程で大幅な改変の必要性や手続きの補強、倫理的配慮をご指摘いただき、考慮に入れることとなったため、年度内で予定していた実際に施行するプログラム開発まで至ることは難しかった。なお、この遅れについては、年度をまたいで、次年度の計画施行スピードを調整することでも解消可能と考える。