著者
長谷川 彩香 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 = Annual letters of clinical psychology in Shinshu (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.19, pp.95-106, 2020-06

本研究では,評価懸念が強く自分の本一音を我慢して相手を気遣う傾向があると,親しい友人への援助要請に消極的な態度や抵抗感が高まるかどうか検討することを目的とした。大学生183名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。調査では「親しい友人」を一人想起させ,その友人に対する被援助志向性と気遣いを測定した。その結果,評価懸念が高く自分の気持ちを我慢してまで相手を気遣う傾向にある人は,相手が親しい友人であっても援助要請に抵抗感をもつことが明らかになった。
著者
鈴木 比香乃 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-75, 2018-06-01

本研究では、過敏型自己愛の攻撃表出に至るプロセスを解明するために,自我脅威場面において喚起される恥や不安が攻撃表出に与える影響を,過敏型と誇大型の高低を組み合わせた4タイプごとに比較検討した。大学生266名を対象に無記名の質問紙調査を実施した結果、過敏型と誇大型の傾向がともに高いと,恥や不安は攻撃表出の抑制としづ適応的な働きをするが,過敏型の傾向のみが高い場合は,恥や不安が攻撃表出を促進するという不適応的な働きをすることが示された。
著者
北津 加純 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.39-49, 2017-06-01

感情のラベリングの方法の違いが,感情変化や認知的負荷に及ぼす影響について検討した。その結果,感情のラベリングを行う際に,自分自身で、ラベルを生成するよりも選択肢をもとに感情をラベリングした方が,画像による不快度や覚醒度が低下した。また,認知的負荷については自分で、ラベルを生成する条件が最も高かった。感情ラベルを選択肢から選ぶことで,自身の感情状態との距離化が生じ,不快度,覚醒度が小さくなる可能性が示唆された。認知的負荷がかからず感情制御効果も高い,選択肢を用いたラベリングは,今後カウンセリングなどの臨床場面での応用が期待される。
著者
西 くるみ 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.19, pp.57-70, 2020-06-01

本研究では,援助要請先の対象を大学の学生相談室と想定し,援助要請をしやすくする際に必要とされる情報は何かを分類すること,相談室へ援助要請するために必要とされる情報は人によって異なるかどうか検言すするととを目的に研究を進めた。必要な情報は「相談室の実績」「相談相手」「相談室のシステム」に分類できることが示された。実際の介入には不気味イメージを払拭できるような情報提供が効果的であること示唆された。スティグマについてはこちらから介入できる効果的な情報は得られなかった。また,「情報があれば行く」という状態になるためには,少なくとも不利益イメージが低くなることが必要であるということが示された。
著者
長谷川 彩香 高橋 知音
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.19, pp.95-106, 2020-06-01

本研究では,評価懸念が強く自分の本一音を我慢して相手を気遣う傾向があると,親しい友人への援助要請に消極的な態度や抵抗感が高まるかどうか検討することを目的とした。大学生183名を対象に無記名の質問紙調査を実施した。調査では「親しい友人」を一人想起させ,その友人に対する被援助志向性と気遣いを測定した。その結果,評価懸念が高く自分の気持ちを我慢してまで相手を気遣う傾向にある人は,相手が親しい友人であっても援助要請に抵抗感をもつことが明らかになった。
著者
上村 桃香 茅野 理恵
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.17, pp.29-40, 2018-06

教育現場の抱える課題に対し,その課題固有な教師の効力感に焦点を当て,いじめ対応教師効力感に関する研究を行った。研究Iの教育学部生を対象にした調査から,教員養成課程の学生がいじめ対応の行動イメージに対して,漠然としたイメージしか持っていないことや,いじめに対応することに対して不安な気持ちを抱いていることが明らかとなった。研究Ⅱでは,いじめ対応教師効力感尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討し,十分な結果が得られた。研究Ⅲにおいて,いじめ対応教師効力感と被援助志向性との関連を検討した結果,被援助志向性を高めることがいじめ対応教師効力感を高める要因となる可能性が示された。
著者
金子 杏弓 高橋 史
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.16, pp.21-26, 2017-06

本研究では,被援助志向性に影響を及ぼす感情的側面として心理的負債感を仮定し,心理的負債感を感じやすい者ほど他者に対する援助要請への志向性が低いという仮説を検証した。大学生・大学院生92名を対象に質問紙調査を行った結果,被援助志向性と心理的負債感の聞には統計的に有意な相関がみられず,仮説は支持されなかった。この結果は,被援助志向性と心理的負債感がそれぞれ独立して援助要請行動に影響を及ぼしている可能性を示唆している。今後は,被援助志向性および心理的負債感が援助要請行動に及ぼす影響について検証を重ねる必要がある。