著者
宮澤 絵里 鈴木 惟司
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.38-44, 2013 (Released:2013-05-28)
参考文献数
18
被引用文献数
2

多摩丘陵西部に位置する首都大学東京南大沢キャンパスにて,2009-2010年に移入鳥類ガビチョウGarrulax canorusの営巣場所と繁殖活動を調査した.ガビチョウは二次林からなる比較的自然状態に近い環境だけでなく,生垣や植栽林等のより人工的な環境にも営巣していた.巣の地上高は平均139.3±SD 44.57 cm(90-208 cm,N=10)であった.繁殖活動は4月から7月を中心に行っていた.2009年に本調査地内で出生し巣立ち前に標識された3個体のうち,オス1羽が翌2010年夏に本調査地内で繁殖に成功し,2010年9月,12月および2011年11月にも同じ場所で確認された.このことから,ガビチョウのオス個体において近距離の出生分散および1歳齢での繁殖成功が起こりうることが明らかとなった.
著者
鈴木 惟司
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.30, pp.47-51, 2007-03

オガサワラカラスバトは小笠原諸島産絶滅固有種である。本種は明治時代に至るまで生存していたが、他の絶滅固有鳥類と同様、生態に関する情報はほとんど残されていない。最近行なわれた古文献再調査の結果、本種は小笠原の林に多いオガサワラビロウの実を食していたことが示された。
著者
鈴木 惟司 前田 尚子
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.77-91, 2014-03-20 (Released:2016-03-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 3

テンナンショウ属Arisaema(サトイモ科Araceae)は良く目立つ鮮紅色の集合果(果実序)を生産する。本属の果実は鳥によって摂食され,その種子は鳥によって散布されると考えられている。しかしテンナンショウ属の種が多数知られている日本でも,その果実食者(種子散布者)についての詳しい調査は未だ行われていない。著者らは,南関東低地で生育するミミガタテンナンショウA. limbatumとカントウマムシグサA. serratumを対象にして,自動撮影カメラを利用してその主要な果実食者を調査した。ミミガタとカントウは植物本体や果実の形状・サイズなど似通っているが,前者では夏季の7–8月に,後者では秋10月以降に鮮紅色の成熟果実が出現するという違いがある。調査は2008–2013年の期間に東京都八王子市内(多摩丘陵)と神奈川県秦野市内(丹沢山麓)の二次林で行われた。なお結果的に資料は概ね後者で得られている。ミミガタの果実を採取した鳥はヒヨドリHypsipetes amaurotis 1種であった。ヒヨドリは本種にとって最重要な果実食者と見なせた。このほかアカネズミApodemus speciosusも果実を採取するのを確認した。本種は果実というより種子を摂食していた。一方,カントウでは8種の鳥が果実食者として記録された。そのうち主要と思われるのはヒヨドリ,ルリビタキTarsiger cyanurus,シロハラTurdus pallidusおよびヤマドリSyrmaticus soemmerringiiの4種であった。他の4種はソウシチョウLeiothrix lutea(外来種),トラツグミZoothera dauma,アカハラT. chrysolaus,ジョウビタキPhoenicurus auroreusである。またそれ以外にアカネズミ属の個体による採食も記録された。
著者
鈴木 惟司 森岡 弘之
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-49, 2005-09-30 (Released:2007-09-28)
参考文献数
22
被引用文献数
5 6

メグロApalopteron familiare は小笠原諸島 (小笠原群島) 固有種で, 母島列島と聟島列島で分布が確認され, 前者では現在も生息, 後者では戦後の生息確認はないものの, 戦前に生息が確認されている。しかし, 小笠原群島の中央にあって最大の島父島をもつ父島列島においては, メグロの確実な生息・分布記録を示す資料が知られず, 過去における当地のメグロの分布状況は不明確なままであった。筆者らは, メグロが父島に生息していたかどうかを検討するため, メグロの記載者であるKittlitzのものを含む古い文献を再調査した。その結果, Kittlitzの書き残した文書の中に彼自身が1828年に父島でメグロを観察したことを示す記述を見いだし, メグロがかつて父島にも生息・分布, その後何らかの理由で絶滅したとの結論を得た。
著者
千野 有紀子 中ノ内 恒如 岡崎 哲也 青柳 就介 石井 里奈 池田 貴之 鈴木 惟司 木林 卓弥 新部 友子 西端 純司 石川 敦 宮下 誠 松山 広樹 竹上 徹郎
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.132-136, 2017-12-01 (Released:2022-02-10)
参考文献数
6

AN69ST膜ヘモフィルター(sepXiris®,Baxter社製)の膜面積におけるサイトカイン吸着性能を比較検討した。【対象】治療開始15分後のヘモフィルター入口側IL-6≧1,000pg/mLであったsepXiris100®:10例,sepXiris150®:9例を施行した症例を対象とした。【方法】治療開始15分後,1時間後,24時間後,48時間後の4点でクリアランスを測定した。【結果】開始15分後,1時間後,24時間後,48時間後IL-6クリアランス(mL/min)の平均値は,sepXiris100®で24.5±18.6,8.8±7.8,6.1±5.2,7.4±12.0,sepXiris150®で25.4±8.2,11.8±5.3,-0.1±7.2,6.0±6.6であった。【結語】両者にサイトカイン吸着性能の有意差を認めなかった。