著者
石川 敦雄 西田 恵 渡部 幹 山川 義徳 乾 敏郎 楠見 孝
出版者
日本環境心理学会
雑誌
環境心理学研究 (ISSN:21891427)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-14, 2016 (Released:2017-05-08)
参考文献数
49

室内空間の多くは社会的な相互作用のための場であり,より良い対人関係・行動に配慮した室内空間が期待されている。本研究の主な目的は,一般的な水準の広さや明るさ等の室内空間の物理的要因が印象形成に影響を及ぼすかどうかを検証することである。実験1の156名,実験2の364名の社会人は,室内空間CGと人物の合成画像を見て対人印象と対人関係への期待を評価した。次に,室内空間CGを見て広さ,明るさ等の物理的要因と感情的要因を評価した。実験1および実験2の結果に基づくパス解析により,室内空間の「広々した」印象が対人印象「共同性」因子に影響し,その「共同性」因子が対人関係の期待に影響することが示唆された。これらの実験結果は,日常的な空間としてデザインされる物理的要因が印象形成に影響を及ぼすことを示している。
著者
高橋 祐樹 加藤 信介 小林 敏孝 吉井 光信 上原 茂男 樋口 祥明 高橋 幹雄 石川 敦雄 黒木 友裕 野崎 尚子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.76, no.662, pp.335-343, 2011-04-30 (Released:2011-07-29)
参考文献数
34
被引用文献数
1

This study investigated the effect of diurnal thermal changes on the circadian rhythm of human core body temperature, together with secondary effects on other psycho-physiological functioning and intellectual performance. Four male subjects (23 - 25 years of age) were observed under three experimental temperature cycles in a climate chamber. In Case 1, the temperature remained fixed at 24°C (control); in Case 2, a constant temperature of 24°C during the morning and the afternoon was raised to 27°C at 6 PM and remained constant during the evening, to evaluate the effects of body heating before sleep; in Case 3, the temperature control schedule is similar to Case 2 with the exception of the changing time, not at 6 PM but at noon, to reflect the normal circadian increase in core body temperature (CBT) in the afternoon. The change of the thermal environment caused amplitude increment or phase advance in rectal temperature (RT). Measurements based on electrocardiographs, salivary cortisol levels, psychological measurement tools and intellectual tests illustrated the beneficial effects of the temperature control. The results reveal that control of the thermal environment in spaces based on the circadian rhythm may regulate RT rhythm, leading to improvement in psycho-physiological state and intellectual performance of occupants.
著者
石川 敦雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.87, no.802, pp.797-808, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)
参考文献数
104

While surrounded by a built environment, various interpersonal cognitions and behaviors such as impression formation, communication, and cooperation are regulated and executed. It has become clear through many years of environmental psychology studies that the physical environment not only surrounds but also implicitly influences interpersonal cognition and behavior. This paper reviews the literature on the effects of visual environmental factors specifically brightness, color, and depth on interpersonal cognition and behavior in a little more than 20 years, clarifying the achievements and expansion of the research area, the challenges to be overcome, and the outlooks for the future directions.
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。
著者
千野 有紀子 中ノ内 恒如 岡崎 哲也 青柳 就介 石井 里奈 池田 貴之 鈴木 惟司 木林 卓弥 新部 友子 西端 純司 石川 敦 宮下 誠 松山 広樹 竹上 徹郎
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.132-136, 2017-12-01 (Released:2022-02-10)
参考文献数
6

AN69ST膜ヘモフィルター(sepXiris®,Baxter社製)の膜面積におけるサイトカイン吸着性能を比較検討した。【対象】治療開始15分後のヘモフィルター入口側IL-6≧1,000pg/mLであったsepXiris100®:10例,sepXiris150®:9例を施行した症例を対象とした。【方法】治療開始15分後,1時間後,24時間後,48時間後の4点でクリアランスを測定した。【結果】開始15分後,1時間後,24時間後,48時間後IL-6クリアランス(mL/min)の平均値は,sepXiris100®で24.5±18.6,8.8±7.8,6.1±5.2,7.4±12.0,sepXiris150®で25.4±8.2,11.8±5.3,-0.1±7.2,6.0±6.6であった。【結語】両者にサイトカイン吸着性能の有意差を認めなかった。
著者
寺西 慶 石川 敦之 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.A15-A29, 2016 (Released:2016-08-10)
参考文献数
115
被引用文献数
3 4

アルカノールアミンによるCO2の化学吸収法は,発電所などの大規模CO2排出源における排出削減措置として現在最も有効な手段の1つと考えられている.現在,主にCO2回収過程におけるエネルギーコストの削減を目的として様々な吸収液が開発されており,CO2吸収液に用いられるアミンの分子設計が実験・理論の両面から精力的に進められている.本稿では,CO2とアミンの化学反応の理解・分析において理論計算,特に量子化学計算および第一原理分子動力学計算がどのように用いられてきたかを解説する.
著者
森谷 友昭 金子 裕哉 新井 崇博 清水 宣寿 青木 香織 高橋 時市郎 木口 実 片岡 厚 石川 敦子 松永 正弘 小林 正彦 森田 珠生 山口 秋生
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.69-79, 2017 (Released:2017-06-03)
参考文献数
11

本論文では,暴露試験により計測された木材表面の色を基に,木材画像の色の経年変化シミュレーションを高速に行う手法を提案する。暴露試験は,約1年間計測したデータを基に木材表面の色と試験実施場所の気候の関係性を明らかにした。求められた関係性により,提案する手法は温度,雨量,日射量を入力することで任意の地点での木材表面の色変化をシミュレーションすることができる。また,提案手法は建築物の外壁に取り付けられた木材表面の色変化シミュレーションができる。建築物の3D モデルを用意し,事前に遮蔽計算を行う。遮蔽計算の結果を基に提案手法への入力である,温度,雨量,日射量を各箇所で増減させることで,例えば,地面近くの木材では降雨の跳ね返りにより色変化が速い,というように,木材の周囲環境を考慮した木材表面の色変化シミュレーションができる。
著者
石川 敦雄 楠見 孝
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 = Japanese Psychological Review (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.530-554, 2016-04

When interacting with others, the indoor physical environment influences interpersonal cognition and behavior explicitly as well as implicitly. Several studies in the field of traditional environmental psychology have focused on explicit processes such as pleasure, arousal, and stress. Additionally, some models of interpersonal cognition and behavior have been proposed. In recent years, more studies have been focusing on implicit social cognition. Furthermore, embodied cognition and the automaticity of social cognition are the major topics studied in this field. However, the implicit psychological influences of the indoor physical environment on interpersonal relationships are still unclear. In this paper, we first review the literature on the implicit influence of the indoor physical environment on interpersonal cognition from the perspective of the quantity and quality of physical factors, and that of the evaluation methods of implicit processes. We then discuss the advantages and disadvantages of the research methods used to study the implicit processes indicated by behaviors, subjective evaluations, and response time. Finally, we reveal the significance of and problems in the study of the implicit influence of the indoor physical environment.
著者
高田 雄太 大越 昌樹 星野 稔 石川 敦之 石川 誠 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.242-249, 2014 (Released:2014-10-12)
参考文献数
47

DNAは電荷輸送特性を有し,生理的な機能のみならず電荷輸送デバイスとしての応用が期待されている.電荷輸送特性のうち,ホール移動に関して,実験的・理論的研究から多くの知見が得られてきた.しかしながら,過剰電子移動(EET)に対する知見は限定的である.本研究ではMarcus理論に基づいて,密度汎関数理論(DFT)レベルの量子化学計算によるDNA内EET速度の算出を試みた.隣接チミン間のEET速度の計算値(2.31 − 3.49 × 1010 s−1)は,実験値(4.4 ± 0.3 × 1010 s−1)を良く再現した.また,ミスマッチ(MM)塩基対を含む系に本手法を適用し,MM塩基対の挿入によるEET速度低下のメカニズムを明らかにした.