著者
周 仲光 鈴木 敏郎 津坂 辰男 鴨居 郁三
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.95-100, 1988

ニトロソアミンの食品衛生上の問題に関連して, 各種の原料生肉のNO<SUB>2</SUB>-およびNO<SUB>3</SUB>-塩類の含有量と, 畜肉加工品製造工程中におけるNO<SUB>2</SUB>-およびNO<SUB>3</SUB>脚の消長について検討を行った。<BR>その結果, 各豚肉試料中のNO<SUB>2</SUB>-量は0.07-0.09PPm, NO<SUB>3</SUB>-量は約1.60-2.30PPmの範囲であり, いずれも微量で部位間にも大きな差は認められなかった。また, 鶏肉中のNO<SUB>2</SUB>- (0.07PPm) およびNO<SUB>3</SUB>- (1.92PPm) も豚肉と同様, その含有量はきわめて少なかった。しかし, 凍結ウサギ肉ではNO<SUB>2</SUB>- (0.29ppm) が豚肉の約4倍, NO<SUB>3</SUB>- (5.54ppm) で約3倍とその含有量は豚肉, 鶏肉に比べてかなり多くなっていた。<BR>一方, 塩漬工程中では, 香辛料の添加などにより, NO<SUB>2</SUB>-およびNO<SUB>3</SUB>-ともにその含有量は増加していた。また, 乾燥, くん煙, スチームクッキングなどの工程中に発色剤無添加製品でも, NO<SUB>2</SUB>-およびNO<SUB>3</SUB>-の双方が増加することが明らかになり, その含有量はくん煙条件などの違いによりかなり変動していた。<BR>次に, ロースハム中のNO<SUB>2</SUB>-の分布を調べたところ, 中心部のNO<SUB>2</SUB>-濃度は0.28PPmであり, 外部の0.62PPmに比べ, 明らかに低くなっていた。<BR>また, ピックル液中のNO<SUB>2</SUB>-塩濃度 (0-500ppm) を変えた場合, その添加量が増すにしたがって, ロースハム中のNO<SUB>2</SUB>-の残存量も増加していったが, 製品の肉色は, NO<SUB>2</SUB>-濃度が50ppm以上のであれば, 良好な色調が得られることが明らかになった。
著者
多田 耕太郎 寺島 晃也 中村 優 鈴木 敏郎
出版者
日本食品保蔵科学会
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.85-91, 2012 (Released:2013-10-08)

畜産副産物である豚皮を有効利用するため,膨化したスナック様食品へ加工する方法の開発を試みた。その結果,脱毛した豚皮を100℃の熱水に60分間浸漬することにより皮の形状を保持したまま脱脂と豚皮組織の脆弱化を図ることができた。脱脂後の豚皮は80℃で4時間通風乾燥し,水分を約2%まで減少させた後,200℃でフライヤーを用いて油揚あるいはパン用オーブンを用いて焙焼することにより顕著に膨化した。膨化した豚皮は従来の農産物を主原料としたスナック類とは異なり,タンパク質が多くコラーゲンを豊富に含み,さらに焙焼したものは低脂肪でカロリーが抑えられていた。官能評価は油揚あるいは焙焼で膨化した豚皮のいずれも良好であった。本結果から,これまで低未利用状態にあった豚皮を有効利用した新規な食品を,食品添加物を用いずに一般的な食品加工装置で製造できることが明らかになった。
著者
多田 耕太郎 小泉 亮輔 寺島 晃也 中村 優 鈴木 敏郎 鈴木 敏郎
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.167-174, 2012-12-14
被引用文献数
1

豆乳生産時の副産物であるオカラを添加して冷凍ソーセージの解凍後の品質評価を行った。塩漬肉の5,10および15%をオカラで置換した冷凍ソーセージを製造し,その解凍後の品質を検討した。すなわち,真空包装したソーセージを-20℃で7日間冷凍保存した後に解凍した。その結果,オカラ無添加のソーセージは冷解凍後に多量のドリップ流出がみられたのに対し,オカラを添加したソーセージは冷解凍後のドリップ流出が顕著に抑制され,歩留まりが向上した。さらに冷解凍後にオカラ無添加ソーセージのテクスチャーは顕著に低下したが,オカラを10%まで添加することにより低下が抑制された。官能評価では,オカラ無添加の冷凍ソーセージは低評価になったのに対し,オカラ10%添加の冷凍ソーセージはオカラ無添加の非冷凍ソーセージと同等の高評価を得た。オカラを15%添加したソーセージは冷凍の有無にかかわらず官能評価は低かった。これらのことから,冷凍ソーセージにオカラを添加することで食物繊維を含有させ,保水性を向上させることができた。また,10%程度のオカラ添加が良好な品質を備えた冷凍ソーセージを加工する上で適当であることが明らかになった。