著者
池田 潔彦 山田 雅章 鈴木 滋彦 鍋田 孝
出版者
静岡県林業技術センター
雑誌
静岡県林業技術センター研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Prefecture Forestry Technology Center (ISSN:09162895)
巻号頁・発行日
no.32, pp.29-35, 2004-03

静岡県産のスギ中日材や大径材と南アフリカ産グランディスの丸太より単板切削を行い,高分子イソシアネート樹脂接着剤を用いた単板積層接着により,28mm厚3タイプと9mm厚2タイプの化粧性を重視した構造用合板を製造した。全タイプについて構造用合板JASの2級曲げ試験と同1級曲げ試験を行い,28mm厚タイプは釘1面せん断試験,床組の面内せん断試験を行った。曲げ試験等の結果から,28mm厚の全層スギ合板では,JAS2級のヤング係数基準値を下回る個体が見られ,ヤング係数の大きな丸太を一定量合板原料に加える,表裏層の単板厚を大きくする,第2層の単板方向を表層と同一方向にするなど,原料面や製造面での対応が必要と思われた。一方,表裏単板と心板にグランディス,添え心板にスギ単板を用いた同厚のタイプはJAS1級の曲げ性能基準値を満たす製品製造が可能と考えられた。合板製造ロット内における変動係数は,ヤング係数が5~15%,密度が3~4%であった。また,スギを原料とした28mm厚合板の釘接合性能や水平構面のせん断性能は,木造住宅の剛床組等に用いる構造用面材として十分な性能を有していると思われた。
著者
奥山 剛 藤田 晋輔 林 和男 鈴木 滋彦 大谷 諄 岡野 健
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

最近の木造住宅は、省エネルギ-と、室内環境制御装置の導入によって、ますます気密化が進んでいる。一方、室内には無機材料が多用されるようになっている。このような住宅は将来増加の一途をたどることは明らかな状況である。住宅内のラドンの問題は、北欧やカナダ・アメリカでは大きな問題としてとりあげられているが、日本では、ここ5〜6年の間に、放射線安全工学の分野でとりあげられるようになったばかりである。放射線、特に低レベルの放射線に対する人間の健康への影響は不明な点が多いが、複合的な環境汚染が進むなか、木造住宅内のラドン濃度を低くおさえるための基礎的な調査が必要と考え、本総合研究を組識した。二年間にわたり、北海道から鹿児島まで12名の研究者に協力をいただき合計28の建物のラドン濃度を通年測定した。結果を要約すれば以下のとおり。1).全体としてみると、木造住宅はRC造住宅よりラドン濃度は低い。RC造住宅の新築のものに特に高いレベルのものがみられた。2).木造住宅では、床下及び地下室の濃度が高く300Bq/m^3を越える場合がある。そして、1階、2階と上階へいくに従って低くなる。このことから、木造住宅の最大のラドン発生源は床下地面であり、それは居室へと拡散していく。3).床下ラドン濃度は、一般に冬に低く、高温多湿となる夏期に高い。4).床下ラドン濃度は、床下地面の防湿施工によって低下する。5).床下換気口の適切な配置は床下ラドン濃度を低下させる。6).室内の空気が滞溜する押入れなどでは高いラドン濃度を示す。特にRC建物では1200Bq/m^3を越える場所がみられた。以上から、無機建材が用いられ換気が少なくなれば室内ラドン濃度が上昇することが明らかで、将来の日本の住宅もラドン対策が必要。
著者
安村 基 鈴木 滋彦 小林 研治
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

モンテカルロシミュレ-ションおよび信頼性解析により、日本建築学会「木質構造設計規準」による木材の繊維方向加力を受ける曲げ降伏型接合部の降伏モードの推定が妥当であることがわかった。繊維直角方向の応力を受ける接合部では、木材の破壊確率を想定した設計を行わないと危険サイドの設計となる可能性があること、モーメント抵抗接合部においても、確率的手法を取り入れた設計を行わないと、柱の折損など危険な破壊メカニズムを生じる恐れがあることが分かった。また、信頼性解析により CLT パネルの破壊メカニズムの推定が行えることを実験的に実証した。