著者
石山 育朗 鈴木 政登 松原 茂 滝口 俊男 工藤 照三 鈴木 義久 佐藤 吉永
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.42-52, 1998-06-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
27
被引用文献数
2

本研究は, ガム咀嚼時の自律神経機能を調べるため, 心拍数 (HR), R-R間隔の変動係数 (CVRR), 指尖容積脈波 (PTG) の波高 (WH) と変動係数 (CVwH), 血漿カテコールアミン (pAd, pNorad) 濃度等を指標に用い, ガム咀嚼時の各指標の変化を観察した.被験者は健康な男性11名 (年齢24.5±4.1歳) であった. 実験は被験者を閉眼仰臥位にして行い, 硬さの異なる3種のガム (I, soft; II, semi-hard; II, super-hard) を用い, 毎秒1回のリズムでガムIから順にそれぞれ6分間咀嚼させ, 間に6分間の休息をとった. HR, PTGの記録は, 安静時, 各ガムの咀嚼開始時, 咀嚼終了2分前, 咀嚼終了直後および4分後と, ガムIII咀嚼終了10分後に記録した. 採血は留置翼状針を介し安静時, 各ガムの咀嚼直後とガムIII咀嚼終了10分後に行った. その結果, HRはガム咀嚼時に-過性に増加し, CVRRは硬いガム咀嚼時に安静値より低下, 咀嚼直後休息時に上昇した. WHはガム咀嚼時に低下し, 咀嚼後休息時も数分間低値が持続, CVWHはガム咀嚼開始時に安静値より上昇した. ガム咀嚼直後のpAd, pNorad濃度は上昇し, pNorad濃度はガム咀嚼実験終了10分後も高値を示した.以上の結果から, ガム咀嚼時には交感神経活動の亢進, 末梢血管の収縮が起こり, 全身運動時とは異なる調節機序が推察された. ガム咀嚼終了後の休息時と回復期には副交感神経活動が亢進するが, 末梢血管系等への交感神経活動も弱い亢進状態が持続することが示唆された.
著者
長岡 宏明 永峰 正幸 嶽間澤 博 松田 稔 鈴木 義久
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, 1994-08-01

センサー自体に厚みがあるため、被写体に密着しての撮像が不可能となった。検知感度については光センサータイプが優れ、空気圧センサータイプは特に感度が鈍かった。しかし、感度が良すぎても、髪の毛や衣服などで検知する等、取扱上で不便な点もあった。外周センサータイプでは危険なほど圧迫してもセンサーが感知しないこともあった。
著者
兼清 健志 井出 千束 中野 法彦 鈴木 義久
出版者
藍野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

脊髄損傷モデルラットを用いて、骨髄間質細胞の培養上清の投与によって神経が再生する際、神経細胞に対する直接な効果だけでなく、シュワン細胞の浸潤や損傷部周辺のアストロサイトが活性化することを明らかにした。培養アストロサイトを用いて in vitro での骨髄間質細胞の影響を調べたところ、骨髄間質細胞の培養上清の添加によってアストロサイトによる炎症性ケモカインの産生が抑えられていた。また、脳脊髄液を産生し中枢神経系の維持に重要であるグリア細胞の一つである脈絡叢上皮細胞も骨髄間質細胞によって一部の栄養因子の産生が増加した。さらに、この脈絡叢上皮細胞の培養上清を脳脊髄液経由で投与し、神経再生を確認した。
著者
片岡 和哉 井出 千束 鈴木 義久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

アルギン酸スポンジを用いた脊髄再生の研究を引き続き行った。生後4週令のWistar系の脊髄を2箇所切断し約2mmのギャップを作成し、そこにアルギン酸スポンジを移植し脊髄内軸索の再生を観察した。なにも移植しないもの、コラーゲンスポンジを移植したものをコントロールとし比較した。術後4週、8週のトルイジンブルー染色、免疫染色、電子顕微鏡等により評価した。アルギン酸スポンジを移植したものは、術後4週より、脊髄断端より伸長したアストロサイトの突起を伴って多数の脊髄内軸索の再生が見られ、アルギン酸内をシュワン細胞に取り囲まれ長く伸長していた。一方、なにも移植しないものでは、脊髄断端よりの軸索の伸長はほとんど見られなかった。コラーゲンスポンジを移植したものでは、脊髄断端よりフラーゲン内への軸索の伸長は一部見られたものの数は少なかった。また、コラーゲンtype IV、コンドロイチン硫酸の染色では、なにも移植しなかったものではグリオーシスと思われる厚い壁の様なものができていたが、アルギン酸を移植したものでは見られなかった。電子顕微鏡による観察では、アルギン酸を移植した群では伸長する軸索、アストロサイトの突起、シュワン細胞が接している所見、一本の軸索が近位ではオリゴデンドロサイトによる髄鞘をもち、遠位ではシュワン細胞による髄鞘を持っている所見も得られた。一方なにも移植しない群では脊髄断端に厚いアストロサイトの創が形成され、その表面は基底膜で覆われていた。以上のことより、アルギン酸が脊髄内軸索の再生に良好な環境を提供していることが証明された。この論文は2004年4月刊行の「Tissue Engineering」誌に掲載される予定である。