- 著者
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鈴木 聡志
- 出版者
- 日本カウンセリング学会
- 雑誌
- カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.1, pp.43-50, 2010 (Released:2015-12-14)
- 参考文献数
- 24
わが国では1934年からの約10年間に教育相談施設が多数開設され,それに伴い教育相談のあり方が議論された。当時の教育相談は,親等に忠言(アドバイス)を与えることを主としていた。本研究は,昭和10年代の教育相談における忠言の科学性に関する議論を,現代的観点から再検討する。常識に基づいた忠言が推奨されていたが,これは科学的ではないようである。知能検査と実態調査が科学性を保証すると考えられていたが,それらは処置をもたらさなかった。条件発生的考察も科学性を保証すると考えられていた。これはゲシュタルト心理学に基づく児童理解で,これが展開していたなら,わが国独自の臨床心理学となる可能性があったと考えられる。